ラグビーW杯:外国人が感激した日本流おもてなしの具体例

 

強敵とぶつかったとき、相手の技術や知識を自分のものにして、それを武器にして相手に対抗する。
相手の力を利用して相手を倒すという展開は日本のアニメでは鉄板。

歴史をみると、これは日本人の長所でもある。
日本の特徴は、外国のすぐれたところを取り入れる学習能力の高さにある。
古代では遣隋使や遣唐使が中国に学んで国を発展させた。
近代においては西洋から技術や思想を学び、明治維新に成功してアジアで唯一の「五大国」のひとつになった。

日本は吸収スピードがとにかく速い。
明治の日本を見たチェンバレンという外国人がこう感嘆した。

日本がかくも多くの新思想と新制度をまるごと呑みこむ能力を、外国人たちはしばしば呆然として驚き眺めるのみであった。

「逝きし日の面影 渡辺 京二(平凡社)」

 

くわしいことはこの記事をどうぞ。

明治日本はヨーロッパの「良いとこ取り」英の海軍、独の憲法など

 

さて、いま日本でラグビーW杯が開催されている。
それで世界の注目を集めているのが、ホスト国としての日本の「おもてなし力」だ。

ニューズウィークの記事(2019/10/16)

試合内容以上に各国の選手やメディアから称賛されているのが、出場国チームに対する「おもてなし」だ。

ラグビーW杯で考えさせられる、日本の「おもてなし力」

 

来日外国人を着物や茶道、歌舞伎などの日本文化でもてなすのは当たり前。
今回のラグビーW杯で世界の人たちを感激させた日本流おもてなしに、相手の文化で相手を歓迎するというものがある。
日本人が相手国の文化を学んで身につけて、それを相手に披露するというもの。

ニュージーランド代表「オールブラックス」がキャンプ地の千葉県柏市にくると、地元の子供たちはニュージーランドの伝統的な踊り「ハカ」をやって見せた。
ハカはオールブラックスが試合前に相手チームへ行うパフォーマンスで、これをオールブラックスに披露したというのは個人的には初耳。

ウェールズ代表が北九州にくると子供たちがウェールズの聖歌「カロン・ラン」を合唱して、選手や監督、イギリスにいるウェールズ人を感動させた。

熊谷市でアルゼンチンとアメリカの試合が行われたときには、会場からアルゼンチン国家の大合唱が聞こえてきて、アルゼンチンのレデスマ監督を驚かす。
試合後の会見で監督はこう話した。

中日スポーツの記事(2019/10/10)

「スタンドで1500人もの子どもたちが、私たちの国歌を覚えて歌ってくれた。感激しました」と熊谷の観衆のおもてなしに感謝し、米国のゴールド監督も「スタジアムの雰囲気、環境、どれをとっても素晴らしい。日本でこの大会が開かれたのは世界のラグビーにとって良いこと」と日本大会の運営をたたえた。

「1500人の子どもが国歌歌ってくれた…」アルゼンチン監督 熊谷市のおもてなしに感激

 

この逆をやられたらどうなるか?
アルゼンチンで行われた日本代表の試合で、現地の人たちが立ち上がって「君が代」を歌っているのを見たら日本人は瞬殺されると思う。

感謝や感激は連鎖する。
熊谷でのおもてなしと外国人の反応を知って、全国の日本人が感動した。

・これは選手達にとって最高のおもてなしだったよね。
・おばちゃんはこんなんにめっちゃ弱いねん。(T_T)
・素晴らしい
そして嬉しい
・国境を越えたおもてなしo(^-^)o
・今回のラグビーワールドカップはこの様な感動する物語が多い。素晴らしすぎる。そして日本代表の選手の頑張りも諦めない精神で子どもたちのお手本に凄くなってると思う。
・熊谷市のおもてなしに感激
・日本人は上手にスペイン語を発音できるので、アルゼンチンの人たちは、なおさら驚いたと思う♬

自国の国旗や国歌に誇りをもつのは世界の常識。
そういう国際感覚が身につけば相手の気持ちもわかって、他国の旗や歌にも敬意をはらうことができるようになる。
相手国に敬意をもって学び、その文化やよさを吸収して相手に披露する。
今回のラグビーW杯では、日本人のよさをいかした日本流のおもてなしが大成功をおさめている。

 

 

日本人の学習意欲や能力の高さは、幕末の日本に開国をせまったペリー提督のお墨付き。
当時、“鎖国状態”にあった日本人を見て彼はこう思った。

他国が発展させてきた成果を学ぼうとする意欲が盛んで、学んだものをすぐ自分なりに使いこなすことがある。

「日本賛辞の33撰 波田野 毅(ごま書房)」

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。