日本はどんな国なのか?
世界有数の先進国、自殺率の高い国、外国人がマナーを賞賛する国、痴漢が社会問題になっている国などなど人によっていろんな見方ができるけど、だれがどう見ても同じものがある。
それは日本が島国ってこと。
そんな国に住む人たちについて、明治時代の教育者で東洋大学の設立者としても有名な井上円了はこう表現した。
わが人民は数千年来太平の海波に浴し、数百年来外国の交際を絶ちしをもって、未競争、未経験の人なり。
「欧米各国 政教日記 (井上 円了)」
仏教哲学が専門だけど、妖怪をマジで研究した井上円了は「お化け博士」「妖怪博士」なんて呼ばれた。
いわゆる「こっくりさん」(テーブル・ターニングTable-turning)の謎を科学的に解明したのも彼である。
「わが人民は数千年来太平の海波に浴し~未競争、未経験の人なり」という井上の言葉は日本とヨーロッパを比較したもので、戦争も交流もさかんだった欧州各国は昔からいろんな経験をしていた。
井上は日本の閉鎖性を否定的に考えて、日本はヨーロッパに学ばなければいけないと主張する。
島国はいい意味でも悪い意味でも、日本という国を特徴づけてきた。
まえにアメリカ人と話していたとき、「いま世界でエンペラーと呼べる人物は日本の天皇だけ」と聞いて「なるほどなあ」と思った。
イギリス、タイ、ヨルダンなどにいるのはキングであってエンペラーではない。
こんな存在がいるのは日本だけで、それが日本をユニークな国にしている。
王も皇帝(天皇)も君主だけど、日本には天皇家が一度も途絶えたことがないという伝統がある。
その“奇跡”については、まったく別の文化圏にいる外国人のほうが気づきやすいかもしれない。
明治時代の日本を訪れたアメリカ人シドモアがこう記した。
欧州の君主や権勢を誇る王族は、日本の統治者・天皇に比較すると成り上がり者にすぎません。皇室は紀元前六六〇年に初代神武天皇が即位して以来とぎれることなき系統を保っています。後代へ下って、現在の天帝の子孫、睦仁(明治天皇)は歴代系図から一二二代目となります
「シドモア日本紀行 講談社学術文庫」
また大正時代に来日した天才物理学者・アインシュタインはこう言う。
近代日本の発展ほど世界を驚かせたものはない。一系の天皇を戴いていることが、今日の日本をあらしめたのである。私はこのような尊い国が世界に一カ所ぐらいなくてはならないと考えた。
「日本賛辞の33撰 波田野 毅(ごま書房)」
日本が島国ではなかったら他国に侵略・支配されていて、この尊い国が世界から消えていたかもしれない。
1500年ほどの歴史のどこかで、きっとそうなっていたと思う。
大陸と陸続きだったら、13世紀の元寇でやられていただろう。
日本は中国からいろいろな影響を受けたけど、易姓革命は受け入れなかった。
中国の歴史は、皇帝が倒されて新しい皇帝が誕生するという易姓革命のくり返しだったけど、日本ではこれが一度も起こらなかった。
(朝鮮半島では、高麗から朝鮮にかわったときに易姓革命が起きている)
中国人や朝鮮人の記録を見ても、その点で日本との違いを感じている。
きょう即位式がおこなわれて、新しい天皇(エンペラー)が誕生する。
世界で唯一無二の伝統が引き継がれるわけだ。
日本の歴史や文化に思いをはせながら、その瞬間を見届けよう。
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