【異常は異常】“反日教育”に反旗をひるがえす韓国の人たち

 

最悪といわれる日韓関係が改善されたらいいなあ、と願う人にとってはエヴァンゲリオン(いい知らせ)がある。
韓国の高校で「反日教育」がおこなわれた、ということが韓国で問題になった。

朝鮮日報の記事(2019/10/24)

「教師たちが反日スローガンを生徒に強要、反対したらイルベかと非難」

*イルベとはこの場合、「反社会的人物」という意味

まず各クラスの担任が生徒たちに「反日不売スローガンが盛り込まれたポスターを制作させた」という。
具体的には、 「買いたくても買うのはやめよう」「NO 安倍」「日本は謝罪せよ」といった内容だ。
そして一週間後、1、2年の生徒約300人がそんな“反日ポスター”を持って校庭に集まり、「歴史を忘れた民族に未来はない」「安倍の自民党は亡びる」「アイ・ラブ・コリア」といった反日愛国スローガンを叫ぶ。

そのとき様子が朝鮮日報の記事にある。

体操服姿のある教師が、スローガンを叫ぶ際に最後の部分を大きな声で2回ずつ繰り返すよう促し、「日本経済侵略に反対する、反対する」「臨時政府100周年記念おめでとう、おめでとう」といったスローガンを連呼させた。こうした姿を仁憲高校のナ校長は朝礼台右端に立って見守っていた。

 

ほかにも生徒たちは、教師からわたされたピンで反日ポスターを胸にとめて運動場を走らされる。
日本人のボクには意味と目的がさっぱり分からない。

こうした活動に一部の在校生が「生徒たちは政治の道具ではありません」「何も分からない純粋な生徒たちを相手に考えられない教育を行った」と抗議の声を上げた。

教師は生徒に反日スローガンを叫ぶよう要求し、これに逆らう生徒は「反社会的人物」というレッテルを貼る。
安っぽい表現だけどこれはもう“狂育”だ。

どういう理由や目的でこんな活動をしているのか朝鮮日報が学校側に問い合わせると、「連絡が取れなかった」という日本でもよくあるオチ。

韓国社会では「反日愛国」にもとづく活動は異常であっても、正常の範囲内として問題視されないガッカリな傾向がある。
今回、韓国メディアが「これはおかしい」と認識して報じたのいいけど、ボクが見た限り、そんな勇者は朝鮮日報だけだ。
ハンギョレ新聞・中央日報・東亜日報などの他の全国紙(日本語版)はこの「反日教育」にはだんまり。
「教師らは、生徒たちが皆見ている公的な場であからさまに政治扇動を行い、教育の中立を損なう行動をほしいままにした」という生徒の叫びには、耳をふさぎたくなる日本人もきっといる。

 

韓国での「反日教育」については、個人的にも最近こんなことがあった。

 

いま韓国で行われている日本製品の不買運動(ノージャパン、ボイコットジャパン)について、ソウルの小学校で英語を教えているアメリカ人にメールで聞いてみたら、こんな返事がくる。

yeah. Korean people really are boycotting stuff. When I mentioned Japan one of my students he instantly responded, ‘Oh 나쁜 일본’ ‘Bad Japan!’

 

韓国の人たちはボイコット運動を熱心にやっている。
勤務先の学校で「日本」と言及したら、小学生がすぐに「悪い日本!」と反応した。
子どもの脳にこんな情報を植え付けたのは、学校か家庭か社会か分からないけど、とにかく韓国での“教育”の成果だ。

韓国在住のジャーナリスト・藤原修平氏が日本大使館前でおこなわれたデモを取材したときには、小学生が「イルボンノムドゥル(日本の野郎ども)」と大声で叫んでいたという。

くわしいことはこの記事をどうぞ。

韓国の反日教育①小学生が「謝罪しろ、日本の野郎ども!」

 

一部か全体か分からないけど、韓国では韓国人でさえ心を痛める反日教育がおこなわれている。
*朝鮮日報には「これはこの高校だけのことではないだろう」と書いてある。

幼稚園に通う孫娘から「おじいさん、日本は私たちの敵だよ」と聞いて、ソウル大学の元教授イ・ヨンフン氏が衝撃を受けて、反日教育からの脱却を目的に「反日種族主義」という本を書く。(著者は複数いる)

「韓国人はまだ中世的な善と悪の観念で、日本との関係を認識して評価している」、「反日感情が限界に到達したという危機感でこの本を書くことになった」と話すイ氏は歴史資料をもとにこんな定説を否定する。

「慰安婦は日本軍に連行され、性奴隷にされた」
「徴用工は日本に強制連行され、奴隷にように働かされた」

こうした説は韓国社会で“事実”とされているけど、実は“フェイク”だとイ氏は主張する。
それはそのとおりで、根拠がなくても、何度も大声を出せば事実になるというのはおかしい。

読売新聞の記事(2019/09/11)によるとそんな本が韓国でベストセラーになっているのだ。

反日批判本、韓国でヒット…日本を悪とみなす通説覆す

日韓の夜明けは案外近いかも。

タイトルの「反日種族主義」というのは「無条件に絶対不変の敵対感情」を持った人間のこと。
そんな人たちが反日教育をおこなって韓国社会をゆがめ、日本との関係を悪化させているとイ氏は心配している。
心で思うだけではなくて、あの国で具体的に行動したのはすごい。

韓国では「反日愛国」の考え方が支配的だけど、国民の考え方や見方はひとつではない。
それに反発して声を上げ始めた高校生や元教授がいて、通説となっている反日論を批判した本が売れているのだから、これから韓国は変わるかもしれない。
異常を異常と認識して、「おかしい」と言えるのは正常化への第一歩だ。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

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2 件のコメント

  • 「反日教育はやめよう」ということではなく「反日と叫ぶことを強要された」ってことなんですよね。
    でもソレを批判した生徒たちは立派だと思う。 日本だとどうかなぁ。
    こういうのって彼らが嫌いな大日本帝国時代の教育そのままですよね。
    80年前のことを忘れない国じゃなかったんですね~しっかり忘れてる(^▽^;)
    改めて歴史の反省しない国だと思う記事でした。

  • いまだにこれを報じた韓国紙は朝鮮日報以外にはありませんよ。
    日本の学校で生徒に反韓スローガンを叫ばせたら大問題になりますけど、向こうは静かですね。
    ユニクロのCMとか細かいことでは大声をだしますけど。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。