生き物への見方は、日本人は欧米人より中国人に似てる件

 

もし日本に、こんなシーフード・レストランがあったらどうなるか?

お客さんに新鮮なカニを食べてもらうため、店先に生きたカニをつり上げる「カニ・キャッチャー」を置いておく。
マグロの解体ショーやいけすのある国だから、多少の批判があっても大きな問題にはならないと思う。

でもシンガポールではこうなった。

AFPの記事(2019年10月25日)

カニを虐待しているとネット上で激しい批判が巻き起こっため、店は24日、このサービスの中止に追い込まれた。

カニつりクレーンゲームに「虐待」と批判殺到、稼働中止に

 

シンガポールにある海鮮レストラン「カニの家」が高級カニを生きたまま捕獲するクレーンゲームを設置。
1プレイ約400円で、ゲットしたカニは持ち帰ってもいいし、そのレストランで調理してもらって食べることもできる。

つり上げられたカニが傷つかないよう、店のオーナーはゲーム機の内部にクッション素材をしくなど配慮したと言うけど、この動画を見た人から「これはやり過ぎだ。カニたちの余生を、さらに苦しいものにする必要があるのか。不愉快極まりない」といった批判が山のようにやってきた。

シンガポールの動物虐待防止協会も「カニたちに不必要な害を与えるもの」「人々が動物を単にもてあそぶ対象とみるようになる」「カニは生き物だ。おもちゃではない」とお怒りだ。
カニをつり上げようとしたら、自分がつるし上げられたというオチ。

そんなこんなでこのサービスは中断に追いこまれた。
ちなみにこのオーナーが中国で経営するレストランでも同じような「カニ・キャッチャー」を置いているけど、中国のお客さんはよろこんでいるという。

日本のネットの反応を見ると特に問題視しない人が多い。

・最近、近所のヨーカドーのゲームコーナーにカブトクワガタ虫のあった
・一時熱帯魚が普通のゲーセンに置きまくられてたな
・名古屋の海老キャッチャーはまだ現役だよ
・釣りと同じ、むしろ針でぶっさす釣りの方が残酷だろ
・釧路で見た
・台湾によくある海老釣りと何が違うんだ?

日本人のこのへんの感覚はシンガポール人より中国人に近そうだ。

いまの日本でも動物虐待がクローズアップされているから、昔はOKでも今はNGというものがある。
でも全国を見れば、生き物のクレーンゲーム機はたくさんあって、生きた毛ガニを捕まえるものもある。
だからシーフード・レストランで「カニ・キャッチャー」を置くのはギリセーフでは?
ネットで調べてみたら、2018年12月の時点でロブスター、ウーパールーパー、カブトムシ、サザエ、ミドリフグ、ホタテのクレーンゲームがあった。

 

これは伊勢海老のクレーンゲーム

むかしテレビで、1回500円の「伊勢えびキャッチャー」を見たことがある。
でも超動き回るから、クレーンで挟むだけでもかなり難しい。
つり上げたところで伊勢えびがジャンプするから、まあ無理ゲーだ。

 

きょねんスイスの動物保護法が改正されて、ちょっとした話題になった。
それまではスイスでは生きたロブスターを熱湯に入れて調理していたけど、それが禁止され、ロブスターを気絶させて永遠の眠りにつかせたあとで調理するよう法律で義務づけられた。

くわしいことはAFPの記事(2018年1月11日)をどうぞ。

ロブスター、生きたままゆでては駄目 スイスが動物保護法改正

この話を知り合いの中国人にしたら、「本当ですか?ヨーロッパは面倒くさいですね。気持ちは分かりますけど、そこまでする必要性は理解できません」と言う。
これはボクも100%同意見で、動物愛護の精神は分かるけどこれはやり過ぎ。
日本人でもこんな安楽死のような対応を支持する人はいるだろうけど、その割合はシンガポールや欧米社会で特に多いと思う。
彼と話をしていて思ったけど、こうした生き物への見方は日本人と中国人はよく似ている。
しかし同じではない。

 

 

こちらの記事もいかがですか?

イスラム教徒が豚肉と犬を嫌う理由(不浄)。猫を好きな理由

「Why did you come to Japan(You は何しに日本へ?)」は失礼な質問?

イスラム教を知ろう! 「中東・イスラム」カテゴリーの目次①

外国人の「日本人あるある」。またかよ!と思わせる5つの質問

日本はどんな国? 在日外国人から見たいろんな日本 「目次」

日本人・タイ人・インドネシア人の動物観の違い。やっぱ宗教?

 

2 件のコメント

  • 中国人は北部と南部で顔つき、性格などが結構異なります。

    北部中国人は、韓国人と同様に、傲慢で気が荒い人が多いようです。

    南部中国人は、日本人と同様に、控え目で大人しい人が多いようです。

    また、中国北部の料理は味付けが濃く、南部の料理は味付けが薄い為、日本人には南部の料理の方が口に合うようです。

    因みに自分は広東省(広州・深圳・中山)、福建省(厦門・福州・泉州)、海南島に行きたいです。

  • 「南船北馬」という言葉が示すように、中国は南北でいろいろ違います。
    でも自分の意見をはっきり言うところは全国共通です。日本人に比べれば、ですけどね。
    南部の広東料理は辛さ控えめだったので、個人的には好きです。
    福建省に行くなら、土楼がおすすめです。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。