すこし前の記事で、スイスで動物保護法が改正されたことを紹介した。
それまではロブスターを生きたまま熱湯に入れていたけど、この法改正によってそれが禁止され、ロブスターを気絶させて殺したあとで調理することが義務づけられた。
くわしいことはこの記事をどうぞ。
この話を聞いた中国人は、「ヨーロッパは面倒くさいですね。」という正論のあとに、「そこまで動物愛護を言うなら、ロブスターを食べるなって話ですよ。どうせ殺してしまうんですから」と言う。
ボクも基本的にはこの意見に賛成だけど、スイスの人たちは「好きな物を食べるのは人間の権利だから仕方ない。でも、なるべく“人道的に”苦しまずに殺してあげたい」とか言うのだろう。
スイスの動物保護法とボクの人生には1ミリも接点がないからどうでもいいけど、その中国人の言葉でこのデザインが頭に浮かんだ。
それとアメリカ人の口ケンカも。
これは戦国時代の真田家の軍旗に描かれたデザインで「六文銭」という。
真田家の家紋もこれ。
日本では古来、人が死ぬと三途の川をわたってあの世に行くと考えられてきた。
その船代(渡し賃)は六文とされていたから、死者があの世で困らないように、日本では棺に六文銭を入れる習慣があった。
ところで、なんで七でも八でもなくて「六」なのか?
その理由はお地蔵さんに由来すると言われる。
仏教の考え方では人は死後、次の6つの世界(六道)に生まれ変わる。
天道・人間道・修羅道(阿修羅道)・畜生道・餓鬼道・地獄道
すべての世界にいる人を救いたいという地蔵の考え方が六地蔵にあらわれているのだ。
六文銭もこんな地蔵信仰に由来するという。
だからこの六文銭は、人が最後に使うお金になる。
毎日が“修羅の世界”の戦国時代で真田家がこれを家紋や軍旗のデザインにしたのは、「いくさで死んでも、あの世への渡し賃は用意してある。だから死を恐れず全力でたたかえ」という意味で、味方の武士を鼓舞する目的があったという。
話は変わって、数年前に2人のアメリカ人と居酒屋でお酒を飲んでいた時のこと。
1人のアメリカ人が前にそんな六文銭の話を聞いて感動して、六文銭が描かれたTシャツをアマゾンで買ったと興奮気味に話していた。
*いまネットでそのTシャツを見てみたら、「外国人にも大人気です」とあった。
武士が死を覚悟してたたかう、というアイデアはアメリカ人好みだと思う。ほかの外国人も好きそう。
そのTシャツはそのアメリカ人にとっては自分史上最高の一品で、それを着ていると戦国時代の武士とつながったような高揚感を感じるらしい。
日本に住んでいる全アメリカ人男性のうち、70%は武士の生きざまや価値観・考え方に興味がある。(個人的見解)
それを聞いた別のアメリカ人が「でも、そんなことを言うなら、はじめから家来を殺すなって話だよ」と冷や水をぶっかける。
「あの時代にそんなことできるわけねーだろ!」と言うアメリカ人に、「でもな」と反論する2人の英語は早すぎてボクには理解不能。
まあ21世紀の日本にいる人間が戦国武将に平和主義を説いても意味はない。
動物園のライオンがアフリカの原野で生きるライオンにサバイバル術を話しても、「お前、それサバンナでも同じ事言えんの?」と言われて終わりだ。
このとき2人が何を言いあっていたかは謎だけど、アメリカ人が武士と議論が好きなのはよく伝わった。
*どこの国か忘れたけど、真田の六文銭を正反対の意味で理解していた外国人がいた。
あの旗には、自分は敵を殺すけど、ちゃんとあの世に行けるよう相手に六文銭をあげるという“慈悲”があると誤解していた。どこでそんな情報を得たのかは不明。
外国人にはかん違いによる感動がたまにある。
こちらの記事もいかがですか?
「Why did you come to Japan(You は何しに日本へ?)」は失礼な質問?
コメントを残す