【いつもの日韓】勝手に解釈して「日本は冷たい」と言う韓国

 

カンボジアを旅行中、食堂にいたらこんな食べ物を運ぶ人がいた。
よく見ると、クモのフライだった。

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このとき同じ席にいたカンボジア人のおっさんが「うまそうだろ?」と勝手に同意を求めてくる。
こっちの感想はその正反対なのに。

価値観の違う外国人が相手だと、同じものを見ても、まったく違う受け止め方をすることがよくある。
個人的な経験ならいいけど、国家間のことになるとわりと面倒くさい。
日本の場合、接点の多いお隣さんを相手にするとそんな思いをするが多い。

2日前の11月4日に、タイで安倍首相と韓国のムン大統領が10分ほどことばを交わした。
簡単なやり取りだったけど、両首脳が直接話をしたのは昨年の9月以来だから、その意味ではわりと画期的だ。
いま日韓関係は戦後最悪と言われるほど悪化しまくりで、日本による輸出管理強化に怒りと不安を感じている韓国側は、何とかしてこの措置を撤回させようとがんばっている。
ムン大統領の求めに安倍首相が応じたことからも、関係修復を韓国側が強く望んでいることがうかがえる。

関係が悪化した原因は双方それぞれ、ではなくて韓国側にある。
韓国最高裁が日本企業に賠償を命じて、日韓の約束(1965年の請求権協定)をひっくり返したこともそうだけど、その結果生じた国際法違反の状態を韓国政府がずっと黙認していたことも大きい。
いま日本政府は、韓国側がこの状態を是正する具体案を提示しないかぎり、話し合いに応じないつもりだ。

でも韓国政府が解決案を示さないから、両首脳の間では”断絶状態”が続いていた。
それで今回、お互いに目を見て会話をしたということで韓国側が勝手に期待する。

韓国の青瓦台(大統領府)は「両首脳は韓日関係が重要だという意見で一致し、韓日関係の懸案は対話で解決すべきだという原則を再確認した」と発表。
「その他にも必要ならより高位級の協議をする案も検討してみよう」というムン大統領の提案にも、安倍首相も「あらゆる可能な方法を通じて解決案を模索する努力をしよう」と答えたという。

くわしいことは韓国紙・中央日報の記事(2019.11.05)をどうぞ。

韓日首脳歓談後…韓国国家情報院長「GSOMIAの復旧、排除できない」

 

なるほど。
だが待て。
「懸念」というのは日本の輸出管理強化のことで、これを「対話で解決すべき」という「原則」を主張しているのは一方的に韓国だ。
日本は韓国に約束を守るよう要求している。
日本にとっての原則は韓国側が合意を守ることだから、韓国に都合の原則を安倍首相も「再確認した」というのはおかしい。

そう思って日本の報道を見ると「そんなことは言ってない」という状態で、外務省はこう説明している。

産経新聞の記事(11/4)

安倍首相は文氏に2国間の問題に関する日本の原則的立場を伝えた。昨年10月のいわゆる徴用工判決で生じた日韓請求権協定に違反する状態の早期是正を求めたもようだ。

安倍首相が文大統領と11分間面談 「原則的立場」伝える

 

ムン大統領が徴用工問題の解決について「高位級の協議をする案も検討してみよう」と提案したことについても、茂木外相があとから「レベルの問題よりも、内容が重要だ」と言ってこれを却下。
誰が話すかは問題ではなくて、日本は韓国に具体的な解決策を要求しているのだ。

「対話で解決すべきだ」というムン大統領の原則に、「韓国は約束を守るべき」という原則を突き付けたのが実際で、「再確認した」ことがあるのなら、いまの日韓には埋まらない溝があることぐらい。
なのに韓国政府内には、ムン大統領のことばが安倍首相の「共感を得た」という見当違いな見方があって、それをベースに日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を延長しようとする動きも進んでいる。

くわしいことは中央日報の記事(2019.11.05)の記事をどうぞ。

韓日首脳歓談後…韓国国家情報院長「GSOMIAの復旧、排除できない」

 

安倍首相とムン大統領の話とは「雰囲気が友好的だった」とか「両国関係の重要性を確認した」という韓国側の発表を日本はハッキリ言って迷惑と思っている。

このことについて見解を求められた菅官房長官は、「韓国側の発表内容にコメントしない」「韓国側の発表は韓国側に聞いていただきたい」と突っぱねた。
この前の日にも西村副長官が同じことを言った。

それを伝える中央日報の記事(2019.11.05)は感情的になっている。

冷たい菅官房長官「韓国の発表は韓国に聞いていただきたい。日本の立場に変わりない」

勝手に期待して、相手が自分の思いどおり動かないと「冷たい」と文句を言う。
「韓国のことは韓国に聞いてください」というのは、「自分は知らない。関わりたくない」ということ。
日韓の間ではこんな不毛なやり取りがある。
韓国側が一方的な解釈して自分たちのペースでものごとを進めようとするのを、「そんな事実はない」と日本が否定する。
韓国人との個人的な付き合いでもこんなことはありそう。

「あいつもクモが好きなんだって」という思い込みから食事の用意を進められても迷惑でしかない。

韓国人のことは韓国人が知っている。
韓国の野党議員も今回の件については、大統領府が「短い歓談を大きく誇大包装して報道発表文をばらまいたものとみられる」とコメントした。きっとこれが正解。
上げ足を取るのではなくて、上げてもない足を取ろうとするからコワい。
日本はいまの韓国ムン政権とは「話しても時間のムダ」を超えて、「話すだけでリスク」と考えているのでは?

 

 

こちらの記事もどうぞ。

「飢え」が変えた食文化。日本と世界(ドイツ・カンボジア)の例

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」

 

2 件のコメント

  • 東アジア諸国(日本、中国、朝鮮半島)は、他地域と比較して圧倒的に戦争が少なかった影響で、戦争に対する謝罪や賠償で揉めているのかもしれませんね。ヨーロッパ・印パ・中東諸国は紀元前から戦争を繰り返していますので、いちいち謝罪や賠償をしている暇がないでしょう。

    その一方で、東アジアは世界的に自殺率が高く、
    「縦社会と集団主義の行き過ぎによる圧力」「自殺を罪としない精神」「社畜生活」の3つが主な原因となっています。

  • 謝罪や賠償では東アジアでも韓国が際立ってます。
    日本と戦争をしてないのですけど。
    台湾と比べるとその差は歴然です。
    まあそういうお隣さんと思って付き合うしかないでしょう。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。