ハラール給食はわがまま?多文化共生の敵は”自分ファースト”

 

イスラーム教では豚肉を食べたり、アルコールを飲んだりすることが禁止されている。
そんなムスリム(イスラーム教徒)でも食べられるものを「ハラール(フード)」という。

 

浜松市のスーパーにあったハラール・マーク

 

日本に来るムスリムが増えてことで、ハラール対応の食べ物がいま全国的に増加中だ。
一蘭は豚を一切使わない「ハラール豚骨ラーメン」なんてものを開発した。
ただそうなると、当然こんな問題もでてくる。

朝日新聞の記事(2019年11月8日)

「お友だちの子どもが小学校で宗教食(豚肉除去)に対応してもらえず困っています」。東京都新宿区の女性(42)からニュース4UのLINEに取材依頼があった。

「ハラール給食」はわがまま? ムスリム一家の苦悩

 

給食でのハラール対応については全国一律ではなくて、地方やその園・学校によって違う。
豚肉を一切使わないハラール給食を提供する保育園もあれば、そんな対応がなくて娘を退園させたムスリムの親もいる。

少子高齢化のすすむこれからの日本では、多文化共生は避けられない。
たくさんの外国人労働者を受け入れるため、日本政府はことし4月からビザの条件を緩和している。
となると共生や共育では、宗教上のタブー(禁忌)と現場の負担増がぶつかって、両者が「困っています」という事態になる。
厳密なハラール対応を求めると、食材だけではなくて調理道具も専用のものが必要になるから、それができる保育園や学校は限られるだろう。
そのための税金が使われることに、市民がどこまで理解をしめすか。

このニュースに対するネットの反応をみると、8割ぐらいの人がこの要求を無理筋と考えている。
「弁当を持って行けばいい」「嫌なら母国で生活すれば」「ムスリムだけの学校を日本に頼らず作ってくれ」といった意見がほとんどだ。

日本の学校ならどこでも保護者が意見を言う機会はあるから、そういうときに「ハラール対応の給食がほしい」と要望することはいい。
でも、最終的には学校の決定を尊重する必要がある。
ハラール給食はわがままではないけど、それを無理強いするのは現実無視の自分勝手。
多文化共生の敵はそんな「自分ファースト」だ。
外国人が自由や権利を主張し過ぎれば、日本人の間で反感や拒否感が芽生えて、排外主義の大樹に育ってしまう。

 

これと同じ問題は2年前、浜松市でもあった。
ムスリムの女性が「ルールだから駄目というのではなく」とハラール対応の学校給食への理解を求めるスピーチをしたところ、どちらかというと世間の反感を買ってしまった。

くわしいことはこの記事をどうぞ。

イスラム教徒の日本社会への不満とは?浜松市での外国人との共生

ボクは浜松に住んでいるから、このとき「外国人はわがまま」「イスラーム教徒は面倒くさい」といった声を何度か聞いた。
表立っては言えないだろうけど、本音ではそう思っていた人が多いはず。
これもそういう要望を出すのはいいけど、最終的には、自分より市や学校の意思を優先しないと共生はむずかしい。

ただ、これについては気になるうわさがある。
このムスリムにそう言うよう”そそのかした”日本人がいたというのだ。
「外国人に厳しい日本社会」「多文化共生への理解のない日本人」ということを外国人の口から言わせたかった日本人が背後にいたらしい。
ボクは個人的に外国人の知り合いは多いし、彼らを支援する日本人から話を聞く機会もある。そのなかで、そんな話を耳にした。
スピーチをしたムスリムがたたかれて、後ろにいた日本人はノーダメージだったから、「あの人がかわいそう」と。
日本に批判的な人が自分でそれを言いたくない場合に、外国人を利用することは十分考えられる。
ただこれは、「そういう話を聞いた」ということで確実な根拠はない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。