「香港は燃えているか?」
なんて1960年代の名作映画「パリは燃えているか」のようなことを書いてみた。
でも香港はいま間違いなく燃えている。
大学に集結したデモ隊の若者と警官隊との間で激しい攻防戦がくり広げられている。
警官隊が催涙弾を撃ち込めば、若者たちは火炎瓶で応酬だ。
産経新聞の記事(2019.11.18)
警官隊は放水車のほか、音波を投射してダメージを与える音響兵器も投入。若者らは手製の投石機などを使って抵抗を続けた。
17日夜には警察車両が火炎瓶を受けて炎上、陸橋も炎に包まれるなど大学周辺は騒然とした。香港理工大で激しく衝突 警官隊が未明に突入 負傷者多数か
香港の騒動に日本のネットの反応は?
・もうやめなよ
市民はうんざりしてるぞ
・これが東アジア圏の最重要ニュースだろう
・詳しい状況を知りたいけど情報が錯綜しててわからない
詳しい方いれば、いけないルナ先生で例えるとどんな状況か教えて
・日本の安保闘争みたいになってきたな
・これで香港社会はずたずたにされる。
香港人という一体感はもう無くなっただろう。
反政府活動をおこなう若者たちは徹底抗戦を宣言しているし、政府・警察側にも妥協する様子は見えない。
このまま年を越えそうだ。
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香港の人たちはこの混乱をどう思っているのか?
最も正確なその答えは「人それぞれ」だ。
政府に反対する人もいれば支持する人もいるし、それ以外の人もいるから一言では言えない。
でもそれでは何の参考にもならないから、ここでは2か月前に日本へきた香港人の話を書いていこうと思う。
その香港人は40代の女性で看護師として働いている。
香港人としてのプライドをもっていて、自己紹介するときは「香港人です」と言い、中国人とは明確な一線を引いている。
その人が支持するのは政府でもデモ隊でもなくて、平和。
元の静かな生活を求めている。
いまの香港人を大ざっぱに分けると、30代以下はデモに共感する人、40代以降は香港政府を支持する人が多いという。
その人は反政府デモに批判的で、騒ぎのきっかけとなった逃亡犯条例の制定には賛成の立場だ。
香港の外で犯罪をしても、香港に逃げ込んでしまえば罪に問われない。それはおかしいと思っていたから。
くわしいことはこの記事をどうぞ。
ここからはその香港人から聞いたことを箇条書きで書いていく。
聞いた話をそのまま載せるから、事実かどうかの裏付けはしていない。
だからこれは、ひとりの香港人の認識と思ってほしい。
・いまのデモ隊はやりたい放題。
法律を無視して政府の建物に入って手あたり次第に破壊する。
彼らは地下鉄に乗るときは切符を買わない。改札口を飛び越えて入ってしまう。
仲間が地下鉄の車両に乗り込むまで、運行をとめてしまうこともあるから迷惑だ。
でも、彼らはほとんど逮捕されない。
・彼らが反政府活動を続けていられるのも、香港の金持ちが資金を提供しているから。
*香港に戻ってきたら捕まらないという現在の法律で、香港の外でワイロをもらっていた人たちが助かっている。
・いま米中が対立しているから、アメリカが中国を屈服させるために、香港のデモ隊を陰で支援しているという噂がある。
具体的には、反政府活動をする人は1日に3~40,000円もらっていると聞いた。
・これまで警察はずっと我慢していて、ぬるい対応をしていた。でもそれでは対応できなくなったから、最近は取り締まりが激しい。
話を聞いていて一番印象的だったのは、いま香港が分裂しているということ。
*ちなみにボクが「香港は分断されていますね」と言っても、「分断」と紙に書いても、その香港人はその言葉をいまいち理解していなかった。
香港ではそういうとき、「分裂」ということばを使うらしい。
いま香港では分裂が始まっているから、身近な人とでも民主化デモの話はしなくなった。
7月ごろ職場の若い看護師に「デモ隊はやりすぎだと思う」と話したら、「あなたは中国に洗脳されている」と非難されて気まずい思いをした。
*本人は自分を100%香港人と思っていて、中国人や中国政府には否定的なのに。
自分の気持ちとしてはデモ隊に反対だけど、それを言う雰囲気はない。
だからいまは、早く元の平和な香港に戻ることを願っている。
香港はいつまで燃えているのか?
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おそらく、この香港での学生・市民によるデモに対して、日本は、他の西側先進国よりも否定的に捉える人が多いでしょうね。(そんな話はメディアからは絶対に出てきませんが。)
その理由は、日本人が本能的に秩序を好むからです。70年安保など日本でのかつての学生運動や左翼運動でも、最初は主要メディアも一般市民も同情的だったのですが、次第に彼らの行動が過激になってけが人や死者まで出るに及んで、国民の心は離れていってしまったのです。今まさに、香港デモに対しても、日本では同じような段階に来ているのではないですかね?
が、日本人は、自分たちの力で自由と民主主義を勝ち取った経験がないことを忘れるべきではないと思う。
中国では、天安門事件を初め、チベット・ウィグル弾圧など、現在の香港の人々(特に若い人たち)にとっては「明日は我が身」かという思いに駆られる人がいるのも無理はないことでしょう。
彼らの行動を支援するという訳ではないが、その危機感は理解できます。
偶然にも、戦後に自由と民主主義を他国から与えられ、それを今も享受している日本人は何と幸福なことか。
うまい解決方法は・・・きっと見つからないのでしょうね。世の揉め事の常です。
自由・民主を求めるデモに最初は支持や共感していたのが、暴徒化していくのを見て引いていった人は多いと思います。
着地点が見えませんし、長引きそうですね。