日本製品の不買運動、ついに「文化」として韓国社会に定着?

 

ことしの7月はじめに始まった韓国での日本製品不買運動は、7月下旬~8月の間がいちばん盛り上がっていた。

日本の飲食物は店の商品棚から撤去されて、日本食レストランは閑古鳥が鳴り響く。そのあと閉店した店も多い。
でもこれだけでは、国民感情を満たすには不十分だ。
国民がボイコットすべき日本商品を紹介するサイト「NoNoJapan」は韓国企業の商品であっても、一部に”日本”が混じっているものは「敵」と認定した。

中央日報の記事(2019.08.03)

NoNoJapanはグーグルプレイに公式アプリケーションとしても登場した。特に国内消費者は日本からの輸入製品だけでなく日本産原材料が含まれた品目まで不買運動に含めている。これを受け、日本産原材料を使用する企業は代替材探しに入っている。

強まる「ボイコットジャパン」…消費者は0.01%日本産原材料まで見つけだす=韓国

 

ごくわずかでも日本の侵入は許さない。
そうしたものを見つけだしては会社を糾弾する。

「魔女」を探して根絶やしにしようとした中世ヨーロッパの魔女狩りのようだ。
ただ、実際におこなわれた魔女狩りの多くは、社会不安から発生した集団ヒステリー現象だったとみられている。
「NoNoJapan」の場合はどうか。

原材料まで国民にチェックされるということで、このときの韓国企業は戦々恐々で、「日本関連の原材料がないか会社レベルで確認している」と記事にある。
坊主憎けりゃ細胞まで憎いのだ。

でも一方で、激化する反日活動に危機感を感じる人もいて、上の記事には、「国内の製造業が深刻な危機に直面し、連鎖的に小商工人にその被害が及ぶしかない」と書いてある。
でもいまの韓国でこの不買はそのまま正義。
国民運動に正面から反対したら、今度は自分が攻撃対象としてロックオンされてしまうから、こうやって遠回しに警告するしかない。

文政権に近い意見をもっていて、反日感情をあおっていたハンギョレ新聞も「行き過ぎ」に恐れを感じ始めたのもこのころだ。
とはいえ”正義の行為”を否定すると自分が火だるまになるから、不買運動を「覚醒した民主市民として当然の意思表示であり、正当な主権行使であることは言うまでもない」と擁護しつつも、社説(2019-08-06)で方向転換をうながす。

一部で行われている過度な対応や荒唐無稽な行動は非常に残念だ。(中略)今からでも「NO JAPAN」ではなく「NO安倍」に焦点を合わせるなど、賢明で成熟した対応を模索する必要があるとみられる。

「NO JAPAN」ではなく「NO安倍」、賢明で成熟した対応を

 

反日感情をあおったのは韓国メディアなのに、「荒唐無稽な行動は非常に残念だ」となげく無責任っぷり。
自分で点けた火をあわてて消す行為をマッチポンプという。
このあと運動のシュプレヒコールが「NO JAPAN」から「NO安倍」に変わったけど、やっていることは日本製品の不買運動だから本質はまるで変化していない。

 

でも、国内の航空会社や旅行会社、ビール会社などの被害が明らかになってきり、こうした鎮静化の努力でノージャパンも下火になってきたけど、不買が足りないとまだあおり立てる人もいる。

 

「日本製品をやめて国産品を買おう」という考え方には共感できないけど、発想としては理解できる。
でも、放射能被害を暗示して「日本に行けば鼻血が出る」と書かれたTシャツを販売する政治家がいたのは驚いた。
日本ではいま隣国へのヘイト行為が問題視されているけど、さすがにこんな政治家を生み出す社会ではない。

 

日本では「不倫は文化」と言った芸能人がいたけど、韓国では「不買は文化」という言葉が飛び出した。

韓国マート協会のキム会長は日本のビール、飲食物、タバコが消えたことをふまえて、これを韓国の文化と指摘する。

中央日報の記事(11/29)

キム会長は「日本製品不買運動は1つの文化として定着したようだ」とし「私たちは経済貿易報復が撤回されるまで、歴史の反省があるまで不買運動を継続する」と語った。

韓国マート協会会長「日本製品不買運動は1つの文化として定着」

「歴史の反省があるまで継続する」というのは最初の目標と違うだろう。
引き際を見失ったギャンブラーか。

 

不買運動は「NO JAPAN」から「NO安倍」へ変わり、いまは韓国の文化になったらしい。

でもキム会長、その新文化が生まれたせいで、犠牲になる韓国人社員がいることを知ってください。

【日本製品の不買運動】結果、韓国企業で社員の切り捨て始まる

 

それと日本人からしたら、それは「珍文化」として冷笑されていることも。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

4 件のコメント

  • 本当にいつ見ても支離滅裂ですね。

    >国内消費者は日本からの輸入製品だけでなく日本産原材料が含まれた品目まで不買運動に含めている。

    そのくせ半導体原料の輸出規制は緩和しろと……。

    >歴史の反省があるまで不買運動を継続する

    韓国が求める「反省」がなされるまで日本の原材料は使わないのなら、輸出規制を緩和しても無意味じゃないですか。

  • みんな自分の都合や利益から言っているから、全体では統一されていません。
    結局はご都合主義ですよ。
    GSOMIAを延長したとき、韓国は日本から謝罪があったと発表しましたが日本は否定しました。
    でも、ふだんは「日本は謝罪をしない」と要求しています。
    その時々の利益で言う感じですね。

  • 日本製品を買いたくないならもう国交断絶を訴えればいいのに。
    日本のネット民は断絶をずっと訴えているんですけどね~。 向こうのネット民は訴えないのでしょうか?
    日本はこういうのを恥と考えるけどあちらは文化(笑) あ。いかん。笑ってしまいました。
    歴史の反省をしない国だからこういう支離滅裂なことが起こるんでしょうね。
    少し前に半島国はいつも戦争の被害国になるという記事を読みました。
    色々と半島があげられていましたがではイタリアは?と思ってしまいます。
    やはりローマ帝国は偉大だということなんでしょうね。

  • 日本との断絶は困るでしょうね。
    道徳的優位に立てる国がなくなると、きっと元気もなくなると思いますよ。
    不買を文化というのはさすがに反日世論に迎合しすぎですが、そう言うといいアピールができて自分に利益があるのでしょう。

    でも同時に、「反日種族主義」のように行き過ぎた反日を批判する本がベストセラーになっています。
    反日が反・反日を生んでいるという揺り戻し現象も起きていますよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。