フィッシュアンドチップスはイギリス人の発明じゃなかった

 

日本人のソウルフード、お好み焼きが世界に広がりつつある。
前にそんなことを記事に書いた。

【日本の食文化】外国人がお好み焼きを好きな3つの理由

アメリカ人とイギリス人とこの話をしていたときに、それぞれの国でお好み焼きにあたる食べ物は何かときいたら、アメリカ人の答えはピザ。
お好み焼きはジャパニーズ・ピザといわれるからそのまんまだけど、ピザは安くてどこにでもある食べ物だから、値段と距離感でもお好み焼きに近いという。

「そういうことならフィッシュアンドチップスかな」とイギリス人。
食べ物としては形も味も全然ちがうけど、身近でお手ごろで国民的に人気のあるファストフードといえば、フィッシュアンドチップスが思い浮かぶらしい。

 

フィッシュアンドチップスは白身魚のフライとフライドポテトの組み合わせ

 

この場合の「チップス」とはフライドポテトのこと。
フライドポテトは和製英語でイギリスではチップス(chips)、アメリカではフレンチフライズ(French fries)になる。
日本語のフライドポテトでも意味は通じるらしいけど、初めてそれを聞いて「ジャガイモひとつを丸々揚げたもの」と想像したアメリカ人もいた。

日本ではピザに比べたら身近な食べ物じゃないけど、イギリス人が西友で白身魚のフライとフライドポテトを買って「これは完全なフィッシュアンドチップスだ」と言っていたから、ある意味、これ以上なく簡単に作ることができる。

 

歴史をみると日本でいえば江戸時代後期、19世紀の中ごろにフィッシュ・アンド・チップスはイギリスで登場した。
それを提供する店は、1860年にジョセフ・マリンがロンドンでオープンしたレストランが最古とされる。
いまでは国民食になっていて、イギリスではマクドナルド1店舗に対してフィシュアンドチップスの店は7~8つあるという。

イギリス料理を代表する食べ物がフィッシュアンドチップスだ。
と書きたいところだけど、今回話を聞いたイギリス人いわく、イギリスを代表する料理はローストビーフであってフィッシュアンドチップスではない。
まあこのへんは人によって考え方が違うでしょ。

2人と話をしていたときに、フィッシュアンドチップスを作ったのはイギリス人ではないことを知った。
てっきり生みの親はイギリス人だと思っていたけど、これは思い込みだったらしい。
お好み焼きを初めて作ったのは外国人で、それが日本の国民食になったようなものじゃないか?

超初耳で超意外だったけど、2人とも知っていたから欧米では常識的なことかもしれない。

英語版ウィキペディアの説明にもフィッシュアンドチップスはイングランド生まれで、白身フライもフライドポテトも移民がもたらしたとある。

Fish and chips is a hot dish consisting of fried fish in batter served with chips. The dish originated in England and is an example of culinary fusion of its two main ingredients, each brought by immigrants.

Fish and chips

 

「イギリス人じゃなかったら、だれがフィッシュアンドチップスをつくったんだ?」ときいたら、アメリカ人もイギリス人もそこまでは知らず、スマホで調べて「それはユダヤ人が作ったものだ」と言う。

上のウィキペディアの説明では、メインとなる2つの具材(白身フライとフライドポテト)をイギリスに持ってきたのはスペインとポルトガルからきたユダヤ人移民(Jewish immigrants from Spain and Portugal)とある。
ただ、だれがこの2つを組み合わせたかは載っていない。
*僕が見落としてなければ。

でも、今回得られた情報を総合的にみてフィッシュアンドチップスは、ユダヤ人が作ったイギリス生まれの食べ物と考えて間違いなさそうだ。

この食べ物はイギリスの植民地だったニュージーランドでも大人気。
むかし会ったニュージーランダーは、「いちばんおいしいフィッシュアンドチップスを作るのは中国人」と言っていたから、大事なのは作り手の人種より味なんだろう。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。