韓国にとってはきっと命と同じぐらい大事なもの、それはメンツ。
特に相手が日本となると、何があってもメンツを失うわけにはいかない。
この前のサッカー日韓戦のときには、「日本にはじゃんけんでも負けてはいけない」なんてことが韓国の全国紙に書いてあった。
さて先日、中国で開かれる日中韓首脳会議に参加するために、安倍首相と文大統領が中国を訪問した。
韓国紙によると、ここでも「日韓戦」がおこなわれていたのだ。
北京で2人と会った習近平国家主席は日韓で差をつけたという。
文大統領と午前中に会って話をした習主席は、午後には安倍首相と会談をおこなう。結果、習主席は文大統領と昼食を食べて、安倍首相とは夕食を共にした。
韓国の視点では、これは「韓国軽視」になるということでご立腹。
というのは、相手国に礼を尽くす場合は昼食会よりも夕食会に招待するものだから。
安倍首相をディナーに招待したということは、日本を韓国より厚遇したことになる。
中国の真意は分からないけど、韓国ではそうみている。
この扱いの差は韓国人のプライドを傷つけるものだから、韓国メディアが政府に問いただす。
朝鮮日報の記事(2019/12/24)
「韓国が日本よりもぞんざいに扱われている」との指摘に韓国政府関係者は「われわれは夕方には李首相との会談と夕食会があるため、事前に昼食会を済ませた」「特別な意味はない」と反論した。
北京に立ち寄って「習皇帝」に謁見せよ?
日本の報道で、中国での対応が韓国より上か下かというのは見た記憶がない。
外交関係者はともなく、ふつうの日本人ならどうでもいいことだろう。
じゃんけんさえ負けられない国は大変だ。
というか、自分で自分を追い詰めている。
スポーツの試合で韓国と戦うとき、日韓戦には「運命の」とか「宿命の」といったまくら言葉がよくつく。
ボクの知る限りで、歴史上初めての「日韓戦」がおこなわれたのは753年(奈良時代)で、場所は奇しくも中国。
それも今回と同じように、日本と韓国(当時は新羅)からきた人の扱いが上か下かで日韓がバトルした。
唐の都・長安で日本と新羅の使者が中国側に招かれたとき、唐が用意した日本の席は新羅より下座だった。
いまもそうだけど、上座に座るのは「格上の国」というのが常識だったから、これでは日本が新羅より下になってしまう。
唐がボスというのは当然としても、日本にとってこれは屈辱的で受け入れられない。
だから日本がこれに抗議すると、席順を動かされたくない新羅も中国側に声を上げる。
さて、この席順争いはどうなったか?
その結果を見る前に、新羅に対する当時の日本の見方を確認しておこう。
このころ日本はハッキリ言って新羅を「格下」とみていたのだ。
高校日本史ではこうならう。
7世紀末から日本が上位に立とうとしたので、新羅との対立が目立つようになった。
「日本史用語集 (山川出版)」
やがて日本は新羅を「従属国」と考えるようになった。
くわしいことはこの記事をどうぞ。
韓国の人には悪いけど、古代日本人は「新羅より上」と考えてたんだ
日本がそうみるようになったことにも根拠があって、新羅は752年に日本へ朝貢して形式的には日本の属国となっているのだ。
この使節団は、奈良の大仏の塗金用に大量の金を持ち込んだと推定されている。この際は王子による朝貢であり外交的には日本に服属した形となった。
先ほどの長安での席順争いはこの翌年に起きた。
だから日本としては、これは絶対に負けられない戦いだったのだ。
結果は日本の主張が認められて、この勝負はかぐやの、いや日本の勝ちに終わる。
唐は新羅が日本の従属国であることを認めて、日本が上座に座ることを認めた。
歴史上初の日韓戦を制したのが大伴古麻呂(おおとものこまろ)という遣唐使。
古麻呂は長く新羅は日本に対して朝貢を行っていることから席順が義に適っていないとして抗議し、日本と新羅の席を交換させている。
ということで、歴史上初めてと最新の日韓戦はいずれも日本の勝利に終わったようだ。
今回の件で、日本が韓国にライバル心を燃やしていたか知らないけど。
それよりいちばん大事な日韓首脳会談では、お互いが顔をあわせて話をしたこと以外に成果はなく、こちらは引き分け。
さて来年はどんな戦いが待っているのやら。
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