2019年、広がる日本人の認識「韓国に譲る必要はない」

 

日本人にとって2019年ほど、隣国と心の距離が離れた年はなかったと思う。

個人的には、ことし1月に文大統領が言い放ったことばに驚かされた。
2018年に韓国最高裁が日韓請求権協定をひっくり返して、日本企業に賠償を命じてしまう。
日本との約束を破り国際法にも違反した状態を、韓国政府は野放しにしたままその年は終わって2019年をむかえる。

年が明けて文大統領が言ったことは「日本が謙虚な立場を持つべきだ」、判決については「不満があっても仕方がないという認識を持つべきだ」といった内容で、「合意違反」という自分の立場を豪快にスルーした。
結局、約束を守ることのないまま、ムン政権は2019年も終えようとしている。
さて来年1月は何を言うのだろう。

約束を破った側が守った側に「謙虚になれ」と言うのは、日本人の発想からはかけ離れている。
そんなムン政権の態度は1年を通して変わらなかったため、日本では韓国に親しみを感じる人は過去最低を記録した。

日本人は韓国をどう思う?親しみと日韓関係は過去最低

慰安婦合意もふくめて、信じれば裏切られて、なぜか説教までされてしまう。
そんな隣国に対して、日本人の認識もそれに応じたものへ変わってきている。
日本経済新聞が日韓関係に関して世論調査をおこなったところ、「日本が譲歩するぐらいなら関係改善を急ぐ必要はない」と答えた人が70%、「関係改善のためには日本が譲歩することもやむを得ない」は20%だったことが判明。

くわしいことはこの記事をどうぞ。(2019/12/22)

内閣支持率横ばいの50% 日経世論調査

関係改善を優先して、日本政府に韓国への譲歩をせまるマスコミは日本国内もいくつもある。
でも冷静にいまの韓国の様子を見れば、安易な譲歩はその場しのぎにしかならず、本当の関係改善につながらないことを国民が分かってきている。
この1年間、ムン政権がおこなってきたことへの当然で正当な評価だ。

「安易に韓国へ譲ってはいけない」という考え方はいま日本社会に浸透していると思う。

元日本代表監督で日本サッカー協会(JFA)会長を務めた川淵三郎氏がインタビュー記事で、韓国について「みっともないことするなよ」と言っている。
2002年の日韓ワールドカップのとき、責任者だった川渕氏は「えっ」と驚く経験をしたという。
大会の呼び方は、本来ならアルファベット順で「JAPAN・KOREA」になるはずだけど、日本の後ろになるということで韓国側が不快感をしめした。

かなりごねて面倒くさくなったのだろう。W杯組織委員長のヨハンソンが「決勝は日本で行う代わりに、韓国・日本の順でもいいか」と日本へ打診する。

その後のことは、文春オンラインの記事(2019/12/30)にある。

私たちは受け入れた。だが、鄭夢準(チョンモンジュン)韓国サッカー協会会長は「日本から勝ち取った」と名称のことだけ宣伝した。みっともないことをするんじゃないよ、と思ったものです。

「みっともないことするなよ」日韓W杯で韓国に思ったこと――川淵三郎が語る「反日種族主義」

 

韓国相手に「譲り合いありがとう」は通じない。
日本が大人の態度で譲ったら、「勝ち取った」と国内へ宣伝されるのはこのときだけはない。
政治や経済とは別に、日本のスポーツ界でもこんな認識は広がっているのだろう。

最近、この反対があった。
韓国は日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表して、日本をゆさぶったものの日本は1ミリも動じなかった。
こちらをチラチラ見るムン政権を日本政府は一切スルー。
現実的には日本から何も引き出せないまま、ムン政権はGSOMIAの延長を発表する。
この結果に日本からは「完全勝利」という声が飛び出して、それを聞いた韓国側は反発した。

中央日報のコラム(2019.11.28

一見、日本が勝者として映る側面があるが、よく見ると必ずしもそうではない。しばらく休火山だった韓国国民の反日感情が爆発したが、これは日本が輸出規制措置の発動で自ら招いたものだ。

勝利しても勝ったふりをしないのが外交というが=韓国

 

韓国にしてみれば「みっともないことするなよ」といったところか。
まあ確かに「勝って兜の緒を締めよ」は日本人の価値観だから、あまり露骨に勝ち誇るのはよくはない。

結果的には「するする詐欺」に終わったGSOMIA騒動だけど、このとき日本政府に譲歩を要求する日韓のメディアをよく見た。
政府がそんな圧力を拒否して、一歩も引かなかったのは民意の後押しがあったから。
「日本譲るぐらいなら関係改善を急ぐ必要はない」という世論ほど韓国にとってやっかいものはない。
でも、約束を破った側が守った側に「謙虚になれ」と言うような態度に変化がなかったら、日本人の対韓認識もきっと変わらない。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

2 件のコメント

  • 文大統領の今年の名言(?)がもう一つ。8月の国民向け特別演説での一言、「我々は二度と日本に負けない」がありましたね。まったく愚かしい。
    韓国との関係は、相手が敵対することを望んでいるのだから、仕方ないのでは。別に隣国だからと言って、特別に良好な関係を保持することもないでしょう。隣国同士でも中の良くない例なんて、世界中にたくさんありますよ。むしろ良好な関係の隣国2国関係の方が珍しいくらいです。

  • それもありましたね。
    日本は約束を守ってほしいと言っているのに、ムン政権は「二度と負けない」となるから話にならない。
    個人的には韓国人との友人との関係が大事で、国同士の付き合いはほぼどうでもいいです。
    でも日本には韓国ではなくて反日が嫌いという人が多いとおもうので、台湾のようにあちらがそれから脱却してほしいとは思いますよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。