【日本の多文化共生】刑務所でインド人のヨガはダメなのか?

 

いまの日本で外国人は珍しい存在ではなくて、もはや住民だ。

10年ぐらい前なら、浜松市という地方都市での個人的な経験だけど、コンビニで外国人の店員さんがいたら「きょうセブンで外国人がレジ打ってた!」と話題になったけど、いまではコンビニのスリランカ人スタッフに宅配便の受付をしてもらっても何の話題にもなりゃしない。

いまの日本は2年前より共生が加速化している。

今の日本に驚いた!東京23区、新成人の8人に1人が外国人。

 

個人の好き嫌いに関係なく、日本はいま間違いなく多文化共生社会へと進みはじめている。
だから小中学校では、豚肉を食べられないイスラーム教徒や牛肉がダメなヒンドゥー教徒の子供のために「給食をどうしようか?」ということが課題になる場合もある。

学校に通うヒンドゥー教徒がいれば、刑務所に入るヒンドゥー教徒もいる。
するとここでもやっぱり多文化共生、宗教の違う外国人の受け入れが問題になるのだ。

栃木県の刑務所でヒンドゥー教徒のインド人受刑者がヨガを禁止されて、それを知った日本弁護士連合会(日弁連)がこう動いた。

弁護士ドットコムニュース(2020年01月28日)

刑務所「体操は許可、でも似た動きのヨガは禁止」 日弁連「人権侵害」と改善求める

ヨガの禁止は人権侵害になるのか。
でも、体操はいいけどヨガはダメというのは説得力に欠ける。

 

とはいえ記事を読むと、この栃木の刑務所は受刑者の主張を聞いて、柔軟な対応をしているのもたしかだ。
まずこの刑務所には「運動時間帯」と「余暇時間帯(作業日は夕食終了後から就寝まで)」がある。
そしてインド人受刑者が求めたヨガは次の7つ。

・瞑想
・頭立ちのポーズ
・太陽礼拝のポーズ
・コブラのポーズ
・弓のポーズ
・肩立ちのポーズ
・橋のポーズ

時間帯とヨガの内容を考えた結果、刑務所側は「頭立ちのポーズ」は下手したら大けがにつながる可能性があるとして全面的に禁止した。
瞑想は運動時間帯と余暇時間帯にやっていいこととなる。

それ以外の「〇〇のポーズ」については運動時間帯ならいいけど、余暇時間帯はやってはいけないときまった。
理由はこうだ。

余暇時間帯の運動は居室棟の静穏を乱すおそれがあり、また自殺・逃走などを防止する必要があるとして、余暇時間帯に行うことを許可されなかったという。

 

インドのヨガはよく分からないのだけど、太陽礼拝や橋のポーズとかってそんなに騒がしいのだろうか。
ちなみにこの人は独房にいる。
それにヨガが刑務所での自殺や逃走につながるというのも謎。
コブラや弓のポーズをやりまくると身体が柔らかくなって、わずかなすき間から通り抜けられるようになるとか?
ダルシムじゃないんだから。

ただこの刑務所で認めらている「室内体操」には、弓・肩立ち・橋のポーズとよく似た動きがあるらしい。

そんなことで日弁連はこの決定をヒンドゥー教徒受刑者への人権侵害と認め、余暇時間帯に好きなヨガができるように勧告したという。

 

これは栃木県の刑務所だけの問題じゃない。
多文化共生が進むこれからの日本でも同じようなことが起きるはず。
文化や宗教の違う人をどう受け入れるか?という問題はすでに全国である。
宗教の教えで絵を描けないとか楽器を演奏できないという子供がいて、学校が本人や保護者と話し合いを重ねていろいろと試行錯誤している。
このとき大事なことは、外国人の言うことすべてを受け入れるのは現実的にむずかしいのは当たり前なのだから、できないことについては「これはできます。でも、これ以上はできません」としっかり一線を引くことだ。
例えば「絵が描けない」と言う子供の保護者に、人物ではなくて花やリンゴなどはどうか提案するとか。

刑務所の対応を全面的に支持するわけではないけど、時間帯と内容を考えて「ここまではいいけど、これはダメ」と可能な限り柔軟に配慮したことは参考になる。

 

 

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4 件のコメント

  • 多文化共生を考える上で、この事例を真っ先に取り上げることは適切ではないと思いますが。だって刑務所の中の話ですよ?
    罪を犯して服役中の囚人に「自国の文化・宗教を行動で実践する」自由なんぞ、与えられるはずがない。
    刑務所が許可し指定した範囲でしか、行動の自由が得られないのは当然です。それが嫌なら方を守るか、自国へ帰れ。犯罪服役者については、文化・宗教の自由は、彼ら自身の心において保持されていれば十分です。
    外国人囚人の人権問題は、一般外国人の人権問題が十分に考慮されてから、その後で考えればよい。
    インド人でも、フランス人でも、レバノン人でも同じです。日本の法律・司法で裁かれるのが嫌なら、日本へ来るな。

  • 日本の社会にあるものは日本国憲法に反してはいけません。
    天皇も国民として憲法に従う義務があります。
    日本では刑務所の上に憲法がありますから、この刑務所の対応が合憲ならOKで、違憲ならアウトです。

  • そういう硬直的な「憲法第一主義」は、リベラル系思想の人がよく主張することですが、残念ですけど、教条主義的・理想空論的で、正しい見解かどうか疑問点も多く、現実社会の問題解決にはあまり役立たたないと思います。非現実的な野党の主張とよく似ていますね。

    >日本の社会にあるものは日本国憲法に反してはいけません。
    例外はいくらでもありますよ。たとえば外交官特権なんかそうです。米軍基地内の統治なんかもどうですかね? あるいはまた、人間ならともかく、たとえば富士山が憲法違反の状態になってしまったらどうします?
    >天皇も国民として憲法に従う義務があります。
    天皇が国民であるかどうか、確か学説により意見は割れていると思いましたが。「国民の統合の象徴」を担う人間は「国民である」と言えるのでしょうか?(私自身は、天皇も一人の国民であると考えていますが。)
    >刑務所の対応が合憲ならOKで、違憲ならアウトです。
    もちろん法律上の定義ではそれが正しいのですよ。しかし問題は、合憲かどうかを誰が判断するのか? 判断する権利・権力・責任を有しているのか? 問題点に実質的な関わりを持つ関係者で判断できるのか? ということだと思います。

  • では、現在の日本で憲法の上位にあるものは何でしょうか。
    「富士山が憲法違反の状態になってしまったら」というのは具体的にどんな状況ですか?

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。