ほおに手を当てて、何やら考えているこのおじいさんは古代中国の秦で政治家をしていた商鞅(しょう おう:紀元前390年 – 紀元前338年)という人。
高校世界史でならう重要人物だから、知らなんだ人はここで覚えておこう。
法家思想を基に秦の国政改革を進め、後の秦の天下統一の礎を築いたが、性急な改革から自身は周囲の恨みを買い、逃亡・挙兵するも秦軍に攻められ戦死した。
ここに「法家」とあるように商鞅は法による国の統治を重視して、法治を国中にいきわたらせた。
その結果、国民はみんなしっかり法を守るようになりました。
めでたしめでたし。
とはいかず、商鞅は自ら定めた法治によって自分の首をしめてしまう。
強引に国を改革したことから商鞅は多くの敵をつくり、命を狙われることになってしまい、あるとき都から逃げ出した。
エクソダス(逃亡)の途中、宿に泊まろうとしたけど、商鞅は旅券を持っていなかった。
そのあとのことは毎日新聞のコラム「余禄」(2020年3月6日)に書いてある。
すると相手が商鞅と知らぬ宿の主が「商鞅様の法律で旅券のない者は泊めてはならないことになっています」。けんもほろろに断られた商鞅は「法を徹底させた結果がこうなるとは……」と嘆息する
古代中国の秦で…
全国を統一したときの秦の領土(紀元前210年)
こんな2000年以上の前の中国の法治に学んでほしい国が日本の隣にあった。
朝鮮半島が日本に統治されていた1919年3月1日に、日本からの独立をもとめる「三・一運動」が起きる。
くわしいことはここを見てくれ。
パゴダ公園には数千人規模の学生が集まり、その後市内をデモ行進した。道々「独立万歳」と叫ぶデモには、次々に市民が参加し、数万人規模となったという。
自主独立を訴えた3月1日は韓国で特別重要な日で、このとき行われる記念式典での大統領の演説はいつも注目度が高い。
例年は日本を非難する反日傾向が強いのだけど、ことしは新型コロナウイルスが韓国を襲っているせいで、文大統領は日本に対して協力姿勢を強調する。
でもそれはいつものご都合主義で、自分が果たすべき義務に目を背ける一方的な主張だった。
聯合ニュースの報道(2020/03/01)からこの日の文大統領のことばを抜き出してみよう。
「過去を直視してこそ傷を克服することができ、未来へと進むことができる」
「過去を忘れることはないが、われわれは過去に留まることもない」
「共に危機を克服し、未来志向の協力関係に向けて共に努力していきたい」
文大統領「日本は常に最も近い隣国」 過去直視と未来志向強調
なるほどなるほど。
だが待て。
現状をみると、韓国は1965年に結んだ日韓請求権協定を2年前にひっくり返して、国際法違反の状態をつくり出して、いまもそのままだ。
日本はそれを是正するよう求めているけど、文大統領は自分勝手な国内事情を持ち出して違反状態を黙認している。
商鞅が求めたのは法治だけど、文大統領がしていることは違法の放置だ。
過去の直視を拒否して過去を忘れ、「未来志向の協力関係に向けて共に努力していきたい」という主張は通じない。
「日本は常に最も近い隣国」だからといって、自分のことばを自分で否定する国とはまともに付き合えない。
文大統領の「3・1演説」への読売新聞の意見を見てみよう。(2020/03/04)
日韓両国は、「元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)」問題を巡り、対立が続く。文氏は具体的な解決策を示し、協力の阻害要因を取り除かねばならない。
文大統領演説 新型肺炎が促す日韓の協力
いま最も大事なことは韓国が自ら生み出した国際法違反の状態を是正すること、その一点に尽きる。
未来志向の協力関係は、韓国政府が具体的な解決策を提示したそのあとにある。
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