aを“ア”と発音するオーストラリア英語で、日本人がカン違い

 

このまえアメリカ人とカナダ人とイギリス人と焼肉を食べに行った。

 

 

店によると右上の四角い肉が「アメリカン・ステーキ」ということだけど、アメリカ人に言わせると「これステーキじゃねえ。それにアメリカンでもねえ」ということだ。

みんな日本で英語を教えているということで、話題は自然と日本人の英語になった。
ジャパニーズ・イングリッシュの特徴といえば、なんといっても「LとRの区別がつかない」ということがあって、これができないと「read」のつもりが「lead」(導く)になってしまう。

*これは日本語話者の宿命。
幕末にやってきた日本初のネイティブ英語教師のマクドナルドも、日本人にはLとRの発音がむずかしいと指摘した。

ボクはこの段階をクリアしたと自負しているけど、いまは別のハードルを越えられないでいる。
「wouldの発音がうまくできないんですよ」とこぼすと、アメリカ人が「まあ、そこまで細かい発音は気にしなくていいんじゃないの?正しいことを言おうとするから、日本人はよく黙ってしまうし。話さないから、いつまたっても話せない」と言う。

このへんのことはこの記事をどうぞ。

「Why did you come to Japan(You は何しに日本へ?)」は失礼な質問?

そのあとイギリス人が「英語は国によって違う。オーストラリア人を見てみなよ」と言う。

 

アメリカ英語とカナダ英語はほとんど同じで、ネイティブでも区別がむずかしいらしい。
この二つと比べれば、イギリス英語は明らかに発音や語彙がちがう。
これがオーストラリア英語となるとあまりに独特で、この3人からすると比較対象にならない。

よく言われるオーストラリア英語の特徴は、「a」(エ・エイ)を「ア・アイ」と発音することだ。
だからアメリカやイギリス英語の「today」がオーストラリア英語では「トゥダイ」になる。

ネットをみると、オーストラリア英語をやゆする感じで「イッツ ファイン ダイ」(It’s fine day)と言うこともあるとか。

こへんの発音は、イギリスの下町英語(労働者階級の英語)とされるコックニーの影響だろう。

語源的に14世紀には雄鶏(コック)が生んだような形の悪い卵を指し、16世紀初めには都会育ちで本当の生活を知らない子を指したという。

コックニー

オーストラリアの地図(16世紀)

 

知人の日本人がワーキングホリデーでオーストラリアに住んでいたとき、最初これがわからず苦労した。
あるとき一緒にいたオーストラリア人が「ダタ」と言うのだけど、この意味がさっぱり分からず、時間を止められる。
「すまないけど、ダタなんて単語は知らない。どういう意味だ?」とたずねると、「いや。絶対に知ってるはずだ。ダタだ!ダタだ」と言われて戸惑ったとき、ピコーンと上の法則を思い出す。
「オーストラリア英語では a を“ア”と発音するから、データ(data)のことか!」と気づいて会話の歯車が動き出した。

いちど外国人に笑顔で「イッツ ファイン ダイ!」と言うと、自分の中の何かが変わるとおもう。

ちなみにアイスクリームを乗せた炭酸飲料の「クリームソーダ」をオーストラリア人は「スパイダー(蜘蛛)」と呼ぶ。
オーストラリアやニュージーランドではこの言い方が正しい。

 

庭(?)にやってきたワニをフライパンで撃退するオーストラリアの日常

 

 

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7 件のコメント

  • >(Dataのことを「ダタ」とオーストラリア人に言われて)「すまないけど、ダタなんて単語は知らない。どういう意味だ?」とたずねると、「いや。絶対に知ってるはずだ。ダタだ!ダタだ」と言われて戸惑った

    あーこれ、日本語でも昔同じような話が実はあったのですよ。Dataという単語を言う時に、最も多数派の「日本式カタカナ語発音」は「データ」だと思います。英語がかなりできる(もしくは日本語が少し不自由な)人だと「デイタ」ですかね。これに対し、パソコンとかほとんど自分で触った経験のない爺様は、TVとかでも平気で「データー」と発音するので、「ああこの人、英語も理数もIT関係にも全く知識のない人なのだな」と分かります。
    で、チョット昔(20年くらい前?)、『単語末尾の「-er」や「-or」に長音(ー)を割り当てるのはおかしい!』という一派の人が現れて(特にIT分野で)、「データ」「コンピュータ」「マスタ」「ドクタ」「レーザ」が正しい発音・記法だと、強力に主張し始めました。役所だと、文科省国語審議会の学者たちに反旗を翻して、通産省官僚にそういう人が多かった。その中でも極端な人がいて、Dataを「デタ」と言っている人が少数いたのです。「デタ」「デタ」って何が出た? 月でも出たのか?

    ばっかばっかしい。カタカナ語はしょせんは日本語ですよ。「-er」や「-or」に長音記号を割り当てるのは単なる日本語への変換規則に過ぎません。現在では、経産省もIT専門家も、伝統的な日本語(国語審議会の「日本語なんちゃら規則」に準じた方法)の通りに「コンピューター」と記述することがほとんどになりました。IT分野でこちらの記法に最初に戻した代表的な企業がMicrosoftであり、そのことをわざわざネットに公表もしています。

  • 日本でもDataを「デタ」したことがあったというのは初耳です。
    身内で正確さを突き詰めていってガラパゴス化するようで日本人的ですが。
    ウイルスとかビタミンとか、カタカナ語に慣れると英語に接したとき戸惑います。

  • チョットごめんなさい。
    virus(ヴァイラス、バイラス)は、昔、大怪獣ガメラの映画に登場した悪役怪獣の名前にもなった由緒正しい(?)英単語です。
    ただし、ウィルス(ラテン語)やヴィールス(ドイツ語)だって、必ずしもカタカナ語読みというだけではありません。むしろ、ラテン語起源の学術用語や医学用語に関しては、カタカナ日本語読み(ほぼローマ字読みに近い)の方が、元々の単語の読みに近く、むしろ英語の読み方の方が奇妙な発音だったりする場合もあります。
    中世からルネサンス時代まで学問の中心は長らくローマ・カソリック教会であり、世界標準の学術用言語は明らかにラテン語(現イタリア語の元になった言語)でした。野蛮人の居住地であったブリテン島で学問が盛んになったのはずっと後のことであり、そこで使われていた英語が学術用語の中心になってきたのは大英帝国時代以降の、比較的最近の話なのです。
    vitamine(ヴァイタミン)も医学用語の一種ですから、おそらく、ラテン系言語では「ヴィタミン(ビタミン)」に近い発音をするのじゃないかな?
    イタリア人とかフランス人にしてみれば、英語の発音の方が「由緒正しいラテン語の発音を歪めた野蛮人の発音」であると、そう考えている場合も多いですよ。

  • dataの発音、米語だと/deit※/など、※はeの反対のシャワー。
    英語だと、/da:t※/。
    だから、豪州に限らず、ダータ、もしくはダタに聞こえることが多い。

  • ネットでアメリカ人とイギリス人の発音を聞きましたが、私には「データ(デイタ)」としか聞こえませんでした。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。