日本語で「台湾」と書いて「とも」と読む。
そう言ってもいいぐらい、日本と台湾の関係は前から良好。
4カ月ほど前に発表された台湾の世論調査では、最も好きな国で日本と答えた人は59%で世界1位。
2位の中国(8%)やアメリカ(4%)と比べてもダントツだ。
くわしいことはこの記事を。
きょねん6月、知人の台湾人2人が友人を連れて日本へ旅行でやって来た。
東京、京都、大阪、名古屋、神戸には行ったことがあるという日本通がいたから、今回は伊豆半島をチョイスしたという。
そんなことで静岡県民のボクが3日間、3人を箱根の博物館や城ヶ崎海岸なんかに案内した。
伊豆を満喫中の台湾人の背中
台湾と韓国には、かつて日本に統治されていたという共通の歴史がある。
同じ過去があっても現在は正反対で、韓国は日本にとても厳しい一方、台湾は親日的で謝罪や賠償を要求してくることがない。
だから日本と台湾では、歴史認識のちがいが外交問題に発展することはほとんどない。
「台湾人は日本が好きですから!」と話す3人にその理由を聞いてみると、統治時代に日本は台湾を近代化しましたからと1人が答える。
ほかの2人もこれに同意見。
この言葉を韓国人から引き出すのはむずかしい。
では、あの時代の日本が台湾に何をしたか具体的にたずねると、「台湾の歴史はわたしたちよりグーグルのほうがくわしいです」と言って台湾版ウィキペディアの説明を見せてくれた。
總督府致力廢除「三惡」,即鴉片、纏足與辮髮。同時加強衛生體制,改造下水道并進行捕鼠工作。改農曆為公曆,在街頭放置時鐘,培養臺灣人的守時觀念。推行市區改正計劃,對後來臺灣城市的營建影響深遠。
日本はこのとき、アヘンの吸引・纏足(てんそく)・辮髪(べんぱつ)の「三悪」を台湾から追放して、下水道を整備するなど社会の公衆衛生を発達させた。
さらに街に時計を設置して、時間を守る概念を培ったとある。
とはいえ、1912年におきた林圯埔事件や1930年の霧社事件などの「抗日運動」についての記述もあるから、「台湾の人たちは日本統治に感謝している!」という思い込みはしないほうがいい。
この台湾人3人と話をしていて意外だったのは、韓国では常識の「日帝残滓」(にっていざんし)を誰も知らなかったことだ。
日本による朝鮮統治時代に、日本から朝鮮半島に伝わった文化・文物を除去すべき対象とする罵倒用語。韓国や北朝鮮でマスコミや日常会話でも使われる。
残滓とは「残り滓(かす)」という意味だから、日帝残滓はふつう排除の対象となる。
でも、芸術、文学、権利、義務、大統領、首相、長官といった韓国社会でよくつかう言葉や、貨幣単位の「ウォン」(圓)も日帝残滓だから、すべてを完全に除去することは不可能だろう。
このときの台湾人は、日帝残滓という言葉を見たのは初めてで、その意味を伝えると「台湾でこの発想はないですね」と驚いていた。
これはもう、韓国との圧倒的なちがいを感じざるをえない。
*歴史をたどれば、日本の文物が撤去された例は台湾にもあるけど、現代の常識ではない。
日帝残滓の排除と似た意味で、韓国には「親日清算」という言葉がある。
韓国でいう「親日」とは日本統治に協力した人たちのことで、言ってみれば「裏切り者」。
だから文大統領が「親日を清算する必要がある」ということをよく言う。
日本と韓国では「親日」の意味がちがいすぎるから、一緒にしないよう日本政府(菅官房長官)はわざわざ注意を呼びかけたこともある。
NHKニュース(2019年2月27日)
韓国大統領「親日を清算」は「日本語の意味と異なる」
台湾には韓国のような、清算されるべき対象の「親日」はいないだろう。
先ほどのように、統治時代の日本は社会を近代化したということを言えば韓国では「親日認定」される。
韓国でポピュラーな日帝残滓の除去はこの時代の建物を撤去することで、2カ月ほど前にも全国紙の中央日報がこんな記事(2020.01.08)を載せた。
住民たちは凶物として撤去を求めているが、学界では日帝強制労働の痕跡を保存しなければならないという主張が出ている。
仁川の旧三菱社宅、「凶物は撤去を」「近代文化財の保存を」
先月の正月休みに(台湾では旧正月を祝う)、日本へ来た別の台湾人にこの記事を見せたら言葉をうしなった。
台湾にも日本統治時代の建物はあるけど、住民がそれを「凶物」と表現して撤去を求めることは考えられないし、台湾人の一般的な見方だと「近代文化財」で保存対象になるか観光スポットに変えるという。
韓国と台湾を同時にみると、教育が本当に大事なのだとよく分かる。
おまけ
今回の台湾人と知り合ったきっかけは、1人が学生時代に台湾の世新大学で日本語のボランティアガイドをしていたから。
ボランティアチームには日本語学科の3,4年生が属しています。無料のボランティアサービスである事に加え、学生たちの熱心なガイドは、日本人観光客にとてもよい評判です。
台湾へ旅行に行くなら、ここでガイドのお願いをするといい。
ホームページには旭日旗のデザイン
韓国だったらこれも「親日」に認定されて削除を要求される。
おまけ
いま台湾メディア「中央通訊社」のステキな記事(2020/03/18)を発見。
北部の新竹市に日本統治時代かた残っていた警察官舎の修復工事が始まった。
式典に出席した副市長はこう話す。
竣工後は新竹の歴史を伝える同市初の「新竹故事館」に生まれ変わると紹介し、市民が文化財に親しみ、地元の歴史に触れる場所となることに期待を寄せた。
日本時代の警察官舎、新竹の歴史伝える文化施設に 修復工事が着工/台湾
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台湾人がアニメを見て感じた「日本と台湾の学校との違い」とは?
台湾に関してもう一つ、現地で感じたことは、「食べ物が美味い」ということです。私は日本人なので、なんだかんだ言って、日本の食べ物が一番好きです。和食だけでなく、日本風の洋食でも、中華でも、他の国・地域の料理でも。
で、海外も何か国か滞在したり旅行したりしましたが、そのうち台湾の料理が最も自分の口に合っていました。台湾の地元料理もそうですし、寿司とか、刺身とか、カレーとか、ハンバーガーとかでもそうでした。
その辺の感覚も、かつては日本領の一部だったことと関係あるのですかね? 現地では、刺身なんかは「日本人が教えた食べ物だ」と言ってましたけど。
台湾料理が日本料理に近いというのは、中国人ガイドも話していました。
中国本土の人間からすると、台湾の料理は味が薄いし油も少ないそうです。
それで、あれは日本の料理に近いと思ったそうです。
日本統治の影響はあるでしょうね。
太平洋戦争後の二二八事件や白色テロなどがあったからこそ親しくしてもらえる土台のようなものができた事も関係しているかもしれませんね
犬がいなくなったら豚が来たと当時は揶揄されたそうですからね
そのへんはぜひ、実際に台湾人に聞いてみてください。
違った答えが来ると思いますよ。