きのう4月18日の記念日は分かりやすいところで「よいは」から、「よい歯の日」と「よいお肌の日」だった。
日本書紀の「推古天皇3(595)年の4月に淡路島に香木が漂着した」という文がお香についての日本最古の記述であることと、「香」を分解すると「一十八日」になることから「お香の日」でもある。
でもここで注目したいのは、1885(明治18)年4月18日に「専売特許条例」(いまの特許法)が公布されたことで制定された「発明の日」。
いろんな外国人と付き合っていると、じつは日本人はいろんな発明をしていることに気づく。
これからその具体例を紹介しようとおもう。
*ちなみにこの言葉は2000年ほど前から中国で使われていて、古典の漢書などで「発見」は開き明らかにするという意味で用いられた。
アメリカ人やタイ人、インド人などいろんな外国人に国民性について聞くと、「では、日本人はどんな性格や特徴があるんだ?」と質問返しをくらうこともある。
まあそんなときは、日本人には発明の才能があって、外国人を驚かすようなものを生み出すという説明をしたりする。
辞書で見ると発明とは、「今までなかったものを新たに考え出すこと。(デジタル大辞泉)」という意味で、日本人の場合は、いままでなかったものをゼロから作り出すことより、既存のものを組み合わせて新しいものを考え出すという創造力に“らしさ”がある。
その具体例として、ボクが外国人によく紹介するのがこれ。
キットカットは1935年(昭和10年)にイギリスで誕生したもので、もともとは労働者階級のための食べものだった。
「Have a break(休憩しよう)」という言葉にその名残りがある。
くわしくはこの記事をどうぞ。
イギリス由来のお菓子が日本へ来たらこうなりました。
日本で抹茶キットカットを見つけたイギリス人は上の画像をSNSにアップして、日本語を知らない友人に向けて、「このキットカットはどんな味だと思う?」と問いかけた。
「Anyone (who doesn’t know japanese) wanna guess what flavour this kitkat is?」
これがそのときのやり取り。
Either mint or green tea. Is it green tea?
Yup green tea.
Omg! Amazing.
I bet they’re a taste sensation.
ミントか緑茶。緑茶かな?
そう、緑茶。
オーマイガー!すごい。
*抹茶は碾茶(テンチャ)を粉末にしたもので、緑茶は煎茶を粉末にしたもので厳密には違うけど、ヨーロッパ人にそこまで要求するのは無理。
とにかく海外にいる外国人(きっとイギリス人)からすると、抹茶とキットカットの組み合わせは常識の外にあるから、「きっとセンセーションな味だ」と感じるらしい。
日本というと海外では忍者や侍が有名だけど、日本人の好みやセンスに合わせて作った「魔改造キットカット」のほうが“らしさ”は表れている。
抹茶キットは他の外国人にも人気で、少し前はタイ人の間で爆発的な人気をよび、日本旅行の定番おみやげだった。
東京、京都、大阪をまわった20代のタイ人の女の子は、茶・化粧品・ぬいぐるみを買いまくり(上の写真)、研修生として日本で働いていたタイ人男性は母国に戻るとき、家族や友人のおみやげリクエストに応えたらこうなった(下)。
抹茶キットカットは新しい食べ物だけど、茶そばや茶だんごのように、何かにお茶を入れる食べ物は昔からあった。
だから発想自体はとても伝統的だ。
以前、アメリカ人と京都を旅行したときに、清水寺近くのお土産屋で彼がこんなものを見つけて、「日本、マジかよ」と驚いていた。
ドイツ人留学生が気に入ったのは日本酒キットカット
でも、これらは日本人をターゲットにしたものだから、すべての外国人がおいしく召し上げれるわけじゃない。
トルコ人とリトアニア人(ヨーロッパの国)に抹茶キットカットを食べさせたら、「無理無理無理」と残された。
八つ橋や日本酒にキットカットをドッキングさせる発想は、世界で日本人しかありえない。
でもここまでくると、もう組み合わせるものがなくなるんじゃないか?
というボクの考えは甘くて、キットカットの日本化は日々、進化・深化していて、最近ではイギリス人がこんなメッセージと写真をSNSに投稿していた。
「Some limited edition KitKat flavours available in Japan right now.」
いま日本で食べられる限定版キットカットで、このイギリス人がピックアップしたのは下の2点。
「ゆずって英語で何て言うんだ?」と思って辞書を見たら「Yuzu」と書いてあった。
外国人に聞くとこれで分かる人も多いらしい。
これで通じない人には、「citrus fruit」(柑橘類の果物)と言えばイメージしてもらえる。
それととこれも紹介していた。
sakuraは説明不要だけど、外国人にkinakoは意味不明。
これはタイ人の投稿
抹茶や酒だけではなくて、さらに桜やゆずなどを加えて新しいキットカットを生み出す。
「キットカット+1+1」という組み合わせなら、発想しだいで終わりがない。
外国人に海外のキットカットについて聞くと、だいたい2~3種類しかなくて逆にこっちが驚かされる。
でも世界からみればそれが普通で、日本人がユニークなのだ。
日本ではマクドナルドに行くと、いつも新しい限定メニューがある!と話すインド人もいた。
忍者や侍より、魔改造キットカットのほうが日本人のらしさが表れていると先ほど書いたのは、それは完全に過去のものだから。
20世紀前半の歴史学者・津田 左右吉(つだ そうきち:明治6年 – 昭和36年)は日本人の精神を理解するのなら、昔ではなくて現在に目を向けるように指摘する。
過去のそれぞれの時代の生活において日本精神がはたらいた如く、現代には現代の生活においてそれがはたらいている。それを見るのが日本精神を明かにする最も適切な方法である。
「日本精神について (津田 左右吉)」
日本人の発想や精神などの“らしさ”は、遠くじゃなくて身近なものによく表れている。
津田左右吉
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『日本書紀』『古事記』を史料批判の観点から研究したことで知られる。栄典は従三位勲一等瑞宝章、文化勲章。
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