台湾と韓国で違う日本への見方 ② 被害者意識・謝罪要求編

 

ここ一年ほどこんなふうに、日本統治を受けた台湾と韓国の違いに関心を持ってこのブログにいらっしゃる人が増えている。

 

 

日本に対する見方や反応を知ると、台湾の親日っぷりと韓国の反日っぷりがあまりに対照的で、「同じ過去があるのになんで?」と疑問に思う日本人が多いということだろう。

実際、新型コロナウイルスで苦しむ日本への反応でも大きく違っている。
台湾ではトップの蔡総統がこんなメッセージをして、

「日本の皆さんへ、
手を携えてこの闘いに勝ちましょう!
地震も、台風も、台日の協力で乗り越えてきました。」

 

市長と地下鉄会社はこんな応援を送ってくれた。

 

「日本を統治していた台湾と韓国の違い」を知りたい人たのめに前回書いたのは台湾編で、今回は韓国編。
結論から言うと韓国ではいまでも過剰な被害者意識があって、日本への謝罪要求はそこから出てくる。
同じ歴史があっても過去を乗り越えた台湾にこんな意識はないから、自然と応援メッセージがでてくる。
両者の表面だけを見ると、ちょっと理解できないかもしれない。

 

さて、もし韓国でも文大統領が日本語で応援メッセージをしてくれたら、間違いなくここで紹介させてもらうのだけど、そんな素敵なニュースはついぞない。

それどころか国民からは大統領府へ、韓国の感染検査キットを日本には輸出しないよう訴える声が上がっているのが現状だ。

レコードチャイナの記事(2020年4月9日)

請願は「ある企業が検査キットの日本独占販売契約を結んだとのニュースを見た」とし、「韓国に友好的でない日本への検査キットの輸出を禁止してほしい」と訴えている。

「コロナ検査キットを日本に輸出しないで」韓国大統領府に請願相次ぐ

 

韓国大統領府のホームページには国民の声を直接届ける国民請願掲示板があって、そこに上の請願が出されたというから頭痛が止まらない。
請願者はもし検査キットを日本に輸出するなら、次の4つの条件を満たしてからだと主張する。

「慰安婦への蛮行を認め、謝罪すること」
「731部隊の蛮行を認め、謝罪すること」
「竹島の領有権主張を撤回し、謝罪すること」
「正しい歴史教育を行うと約束すること」

 

すると韓国メディア・釜山日報がこれを取り上げてしまう。(2020-04-09)

“코로나19 진단키트 일본에 수출 맙시다” 국민청원 잇따라

釜山日報によるとこの請願は4月9日に出されて、その日の午前11時50分のころには約3,200人が同意した。
メディアが報道したことでこの情報は確実に拡散されるし、最終的には何人の同意を得るかわからない。
もし1カ月(来月9日)までに20万人以上の同意が集まったら、大統領府は正式に回答することになっているという。

レコードチャイナの記事の見出しにあったように、いま大統領府のホームページには「日本政府の公式謝罪を受けるまで日本への検査キットの輸出を禁止してほしい」「日本への新型コロナウイルス検査キット輸出反対」といった国民請願が相次いで寄せられている。

こういう声は韓国社会の例外で、一方では批判の声も上がっている、という報道を探してみたけど残念無念ながら見つからず。

 

台湾ならこんな反応はない。
日本にマスクを送るには、「南京大虐殺での蛮行を認め、謝罪すること」「正しい歴史教育を行うと約束すること」という条件を付けるべきだと政府に要求する人が現れることはないし、すぐに3000人以上の同意が集まる現象は台湾社会では起こらない。

 

 

話はそれるけど、きょうの朝鮮日報は一面のトップニュースに「日本の不手際」を持ってきた。
全体からみれば妊婦に汚れたマスクを送ったのはごく少数で、そもそもこれと韓国はまったく関係ないのに、全国紙が日本の小さなマイナス面を大々的に報じるところも台湾とは違う。
中にはマスクに感謝する日本人もいるけど、そういうのは読者のニーズに合わないから伝えない。

 

2年前、「トンカツには日本の帝国主義熱望が込められた」という韓国メディアの記事があって、話があまりにも見えず驚いた。

牛肉や豚肉を食べることで日本人の体は大きくなって、それが回りまわって韓国への侵略につながった。
だからトンカツは「日本帝国主義化のための尖兵だったわけだ」という結論に達する。

くわしいことはこの記事を。

韓国人が見たトンカツ①「日本帝国主義の熱望」が込められている

これが「出会いの席を楽しくさせる話題」として紹介されていたから、日本との常識や価値観の違いを感じざるをえない。

 

ほかにも旭日旗を「戦犯旗」と憎悪する韓国では、ズワイガニやジェットエンジンまでも旭日旗に見えると苦情が上がったこともある。
もうまるでついていけない。

【韓国の旭日旗騒ぎ】ズワイガニの次は航空機エンジン

 

 

 

 

一つ一つは極端なケースだけど、台湾では考えられないことが韓国ではよく起こる。
これは結局、被害者意識が強すぎるからで、台湾人との認識の違いはそれぞれのウィキペディアの記述を見れば一目瞭然。
台湾版では日本統治の良い面も紹介しているけど、韓国版ウィキペディアではほぼほぼ暗黒だ。
韓国版のすべてを読んではいないけど、台湾版では「同化政策」と書いているものが韓国版では「民族抹殺」となっている。

くわしいことは機械翻訳して読んでほしい。

일제_강점기

 

 

これが韓国版ウィキペディアの記述(機械翻訳だから少し不自然)で、項目だけでも敵意や憎悪が伝わる。
前回の記事にある台湾版と比べると日本への見方の違いは歴然で、韓国ではこういう認識で教育が行われるから行き過ぎた被害者意識がつくられてしまう。
そしてそれが、「慰安婦への蛮行を認め、謝罪すること」「731部隊の蛮行を認め、謝罪すること」といった謝罪要求につながる。
検査キットは別として、日本に謝罪や反省を要求することは韓国の政府もメディアもよくやることで常識的だ。

台湾にはこれがなくて、「日本の皆さんへ、手を携えてこの闘いに勝ちましょう!」となるから好きにならずにいられない。と同時に疑問も浮かぶ。

日本統治という共通の過去があっても、現在の視点と伝え方が台湾と韓国ではまったく違うから、日本への反応も極端に変わってくる。

 

ただ最近はその反動もでてきた。

韓国には国内の反日教育や、政治家が反日を政治利用することに批判の声も上がっていて、「池上彰スペシャル!」(フジテレビ系 2020年2月2日放送)では、事実に基づいて正しい韓日関係を築こうと活動する、元ソウル大学教授で『反日種族主義』を書いたイ・ヨンフン氏の意見を紹介していた。

以下、番組のキャプチャー

 

 

 

 

いまの韓国でこういう主張はまだまだ少数だけど、夜明けは近づいている(と期待する)。
ちなみに台湾はもう昼間だ。

 

おまけ

これは記事の翌日、4月21日の韓国の全国紙・中央日報の紙面

 

 

1960年の朝鮮戦争(韓国では韓国戦争)で韓国側についてくれた国には、マスクを送って支援しようとしているけど、「ただし、政府は日本支援に対してはやや慎重な立場だ」と記事にある。
200万枚のマスクを送って、日本を積極的に支援してくれた台湾とはやっぱり違う。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

日本はどんな国? 在日外国人から見たいろんな日本 「目次」

外国人(アメリカ人とヨーロッパ人)との会話がで盛り上がる話題

 

2 件のコメント

  • うーん、どうかなぁ。
    「杉作よ、ブログ主さんの希望はされど、韓国の夜明けはまだまだ遠いぞ」と私だったら言いますけど。
    むしろ逆行しているのでないことを願うばかりですね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。