【写真が伝える反戦平和】ベトナム人が泣いた「英雄の母」

 

ベトナム戦争は知っていたけど、終わった日までは知らなかった。
それが2日前の4月30日で、何人かのベトナム人がSNSでそのことや反戦平和を訴えていたのを見て初めて知った。

1975年のこの日、北ベトナムが南ベトナムの首都サイゴン(いまのホーチミン市)を手に入れてアメリカとの戦争に終止符を打つ。
この出来事をアメリカ側は「サイゴン陥落」と言い、現在のベトナム政府は「サイゴン解放」と表現して、毎年4月30日は「南部解放記念日」としてベトナムの祝日となっている。

 

サイゴン陥落直前に逃げ出した南ベトナムの市民

 

戦いが終わると、ベトナム戦争の勝利と指導者ホー・チ・ミンを讃える歌「大勝利の喜ばしい日にホーおじさんがいるようだ」が歌われた。

大勝利の喜ばしい日にホーおじさんがいらっしゃるようだ

おじさんの言葉は輝く勝利となった

全ったき国を守る苦労は30年

民主共和国30年の抵抗は成功した

ベトナム ホーチミン

ベトナム ホーチミン

ベトナム ホーチミン

ベトナム ホーチミン

ベトナム戦争を象徴する一枚「安全への逃避」

当時、朝食の準備をしていると自宅近くでナパーム弾の爆撃が始まり、家族や近所の人々とともに川に飛び込んだところ、撮影していた沢田に助けられた。

沢田教一

 

でも勝利が大きければそのための犠牲も甚大で、あるベトナム人が「これを見るといつも涙がでてくる」とSNSにこの写真を載せた。
*画像はそのキャプチャー

 

 

フランス・アメリカから国を守る戦争で息子9人と孫2人を亡くしたグエンさんは、「ベトナム英雄の母」と呼ばれて敬意を集めている。

文字がなくても世界中の人に伝えられるというのが写真のいいところで、戦争が生き残った人に与えた痛みがよくわかる。
「輝く勝利」のために、このおばあさんは子供とご飯を食べることができなくなってしまった。

 

長崎の原爆の悲劇を伝える「焼き場に立つ少年」

少年は直立不動の姿勢で、背中の弟を火葬する順番を待っている。
くわしいことはこの記事をどうぞ。

ローマ法王と皇后陛下を動かした少年・戦後最大の危機から核軍縮へ。

 

知人のベトナム人に聞いたら、彼は上の写真を知らなかったけど、こうした母親はベトナムにたくさんいてそうした写真もよく見たと言う。

I have never seen that photo before. But i did saw many photos have the same meaning to. On some special days that relate to the war in Vietnam, we often broadcast videos and stories about the war to remind the nowaday generation to protect and contribute to Vietnam. Including the life of those very brave brave mothers.

 

ベトナム戦争に関わる特別な日にはテレビで当時の様子を流すというのは、8月15日の日本も同じだけど、若い世代に国を守ったり貢献する意識を育てるというところが日本とはちょっと違う。
これは、もしベトナムを侵略する国があれば再び銃を取って戦うということだろう。

日本人ならとにかく反戦平和で国を守ることより、そういう戦いをしなくていいよう周辺国と友好関係を築こうという発想になる。
自ら武装(軍隊)を解除して中立の立場でいる「非武装中立論」なんてベトナムにはないだろうし、日本で国民に「protect and contribute to Japan」と意識させるような日は知らない。
ベトナム人と日本人では基本的に愛国心の強さが違っていて、このへんは日越の歴史教科書を読み比べるとよくわかる。

 

「ベトナム英雄の母」

 

 

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2 件のコメント

  • >ベトナム戦争の勝利と指導者ホー・チ・ミンを讃える歌「大勝利の喜ばしい日にホーおじさんがいるようだ」
    ♪ ベトナーム ホーチーミン
    ♪ ベトナーム ホーチーミン  (「ナー」と「チー」を高い音で)

    この歌、とあるTV番組(「水曜どうでしょう」ベトナム編)で現地のガイドのおじさんが歌っているのを聞いたのですが。歌の内容に全然似合わず、すごくの~んびりした歌なんですよ。あれがベトナムの抵抗と独立を称える歌であったとは!この記事で初めて知りました。
    そしてTVで聞いたあのメロディと歌声を思い出して、ずっこけました。

  • 私にも「水曜どうでしょう」でこの歌がでてきたほうが意外ですよ。
    国民にいまでも親しまれているのですね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。