【海外が驚くアナログ日本】いまでもファックス送信ってマジ?

 

いま世界中でいろんな騒動を巻き起こしている新型コロナウイルス。

各国で起こる騒ぎにはそれぞれのお国柄や国民性が表れているものもあって、例えばイスラーム教の影響力の強いイランでは政府の自粛要請を無視して、「いまこそ祈りが大事じゃ!」なんてイスラーム教の指導者が呼びかけたことで、モスク(イスラーム礼拝所)に信者が殺到してクラスター感染を引き起こすという漫画のようなオチを見せてくれた。

また自分中心主義のフランスやイタリアの国民が指示に従わず、自由気ままに外出していたことで、政府や自治体が頭を抱えることもあった。

では海外から見た日本はどうか?

外国人読者を対象にする英字メディアのサウスチャイナモーニングポストは、日本のアナログ文化に注目して、「今週のアジア」のカテゴリーに西洋人記者が書いたこんな記事(2020/05/05)を掲載した。

Japanese decry boomer-era tech as hospitals file coronavirus cases by fax

 

日本の病院はコロナウイルスの症例をファックスで送っている!
世界有数の先進国の「後進性」が外国人記者の目には異質に映ったらしい。

でもこのバカバカしさは当事者がよく分かっていて、この記事では、日本の医者が手書きで報告書を作成したあと、国の機関にファックス送信することにウンザリして「もう、こんなことはやめようよ」とぐちをこぼしている。

“Come on, let’s stop this,” said the doctor, apparently a specialist in respiratory medicine at a public hospital. “Reporting cases in handwriting? Even with the coronavirus, we are writing by hand and faxing.”

この医者に言わせると、こんな慣行は平成を飛び越えて「昭和の遺物」(Showa period stuff)。

 

新型コロナとの戦いは時間との勝負で現場は疲弊しているのに、こんなことに手間と時間を取らせる国が2020年にあった。
このへんは本当に昭和から時計の針が動いていない。
まあ、病院がコンピューターウイルスの攻撃を受けたときを想定してのことかもしれないけど。
この医師の告発は大きな反響と共感を呼んで、5月10日からは電子メールで送信できるようになったとか。

でもこんなアナログ文化は病院だけではなく日本社会の特徴で、さいきん政府がおこなった調査では、国内のほぼすべての企業と一般家庭の3世帯に1世帯にはファクシミリが設置されていると記事で紹介していた。

世界に逆行する日本の一面にはネットでも賛否両論。

・手続きが厄介なのは申請者が心折れるのを待ってるのかねw
・これほんと馬鹿
・手書きは偽造がしにくいんだよな
・手書きは燃やせるから
・気付きやすいし残るからバカにできん
・なんでこんなFAX好きなんだろ
・銀行もFAX使ってるよな。
原因はバブル世代

 

日本のアナログ文化はファックスだけじゃない。
この前も何かの海外メディアで、政府が人との接触を「最低でも7割、できれば8割」と訴えているのにもかかわらず、ハンコをもらう/押すためだけに、部下と上司が電車や地下鉄に乗って出勤する日本のサラリーマンを「現代の珍獣」のように書いた記事があった。

見たか世界、これが日本だ。
来年のオリンピック開会式を楽しみにするがいい。

でもこうした外国人は日本を科学技術の大国と考えていたから、そのイメージとのギャップに驚いただけで、日本を「後進国」と思っていたワケではない。(たぶんきっと)
多くのノーベル賞受賞者を出し、アビガンを開発した日本の技術力は世界でも折り紙つきだけど、「なにこれ?」と思うような前時代的な面も残っている。
外国人から見ると日本にはそういう二重性があるのだ。

 

 

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4 件のコメント

  • この辺の「外国人記者が日本人のFAX重視に呆れる」という話についてですが。
    先ず知っておいてほしいのが、欧米人に比較して、日本人は、(記者でなくても)日本語の書類を「絵画」のように認識する傾向が強い、ということです。つまり、日本人にとって手書きの書類は、A4用紙に描いた1枚の「絵」のようなものなんです。たとえ単なるハガキの書面であっても、日本人は、その横に、挿絵、イラスト、マンガ、ポンチ絵(←最後のこれはもう死語かな?)など、独自の2次元表現を付け加えて、自分の気持ちを相手に伝えようとするのです。その傾向は、ビジネス文書や医療系の専門文書であっても変わりません。
    これに対して、欧米ほか海外諸国では、電子メール等を利用して「正しい文法で文章を書けること」こそが、学歴と知力の証(あかし)であるのです。文書の端にマンガを描くなどという変な癖は、頭の悪い奴が授業を聞かずにやっている落書きか、もしくは特殊な才能を有する芸術家の仕事であると、社会一般でみなされているのです。
    様々なTV番組への投書のハガキやFAXを見てご覧なさい。挿絵の描いてない投書がどれだけあるかな? 文字だって絵文字だったり、変な記号でいっぱいだったり、まさに絵画芸術のようです。さらには、日本の一般民衆が永らく伝統行事として伝えている「年賀はがき」も、そのような日本人の有する「芸術性」の一つです。顔文字もその傾向を表す証拠の一つでしょう。(これに対して欧米のクリスマスカードは全て印刷物であり、文章以外にイラストを付け加えたクリスマスカードなんて聞いたことない。それはもはや現代芸術家のレベルですよ。)
    で、そういう表現を入れ込むためには、手書きのFAXに比べて電子メールはまだまだ不便だということです(電子メールだって最近はHTMLとか使ってやれないことはないのですが)。2次元情報を送るには現在でもFAXが最も便利な通信手段なのですよ。
    それが最も大きな理由であると私は思います。

  • >TV番組への投書のハガキやFAXを見てご覧なさい。

    ファックス文化も用途や目的、送る側の負担などでいいものだと思います。
    ただコロナ治療にあたっている医者がそれで悲鳴を上げているので、そこは考慮したほうがいいと思います。

  • > コロナ治療にあたっている医者がそれで悲鳴を上げているので、

    本当ですか?その病院を取材した外国人記者が「どうしてこんなやり方を日本人は?」と呆れただけではないのですか? あるいは、その医者はたまたま手書きが苦手(実は私も同じです)だったのでFAXを嫌っているだけじゃないですか? 日本全国全ての医者の大多数が「FAXよりも電子メールその他の電子デジタルデータ的な送信方法にしてほしい」と考えているのでしょうか?
    また、電子メールでの受付けが、本当に拒否されているのですか? その医者や記者が、報告のシステムについて調べ足りないだけではないですか?
    私の今までの経験上、こういう的外れな批判がよくありますからね。

    外国人が主張しているから正しいってことはありませんよ。

  • 5月10日から電子メールでの提出を許可したことには、それなりの理由や不満があったと思いますよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。