新型コロナとの戦いに勝利しつつあり、飲み屋で飲んだり飲んだり飲んだりする日常生活も戻ってきた韓国では、いま日本への支援を検討しているらしい。
お隣さんが困っていれば無条件に手を差し伸べるというのはご近所づきあいの話で、韓日関係はそう簡単にはいかない。
コロナウイルス感染を確認する検査キットを日本に送るのなら、韓国では「国内の対日世論」に配慮しないといけなくて、「日本政府からの要請を実施の前提とする」という。
「日本からお願いされた」という形を作ってからでないと韓国の場合、スムーズに支援することができないのだ。
くわしいことはこの記事を。
支援が私怨に? 無条件の日本支援を“許さない”韓国の対日世論
ぶっちゃけて言うとそれは国内の「反日感情」で、韓国ではこの国民情緒に反した行動をとると集中攻撃を受けて政治家なら支持を失ってしまう。
ついこの前も韓国大統領府のホームページには、日本に検査キットを送るのなら「慰安婦への蛮行を認め、謝罪すること」「正しい歴史教育を行うと約束すること」といった条件を付けるべきだという国民請願が出された。
釜山日報によると、その日の午前中のうちに3000人以上がこの請願に同意したというからすごい。
くわしいことはこの記事を。
もちろんこれは国民の総意ではなくて一部の声だけど、韓国の政治家やメディアがこういう空気を無視するわけにはいかない。
それでも実は韓国としては日本を支援したいのだ。
そうすれば日本に「借り」を作ることができて、さまざまな交渉で韓国が有利な立場に立つことができるから。
具体的にいえば日本と通貨スワップ協定を結びたい。
コロナパニックの影に隠れていたけど、文政権の度重なる失策によって前々から韓国経済はかなり悪化・疲弊していて、コロナの脅威と反比例して今度はその恐怖が浮かび上がってきた。
それで韓国紙では最近、こんな記事を目にするようになった。
韓国経済新聞/中央日報の記事(2020.05.05)
いつのまにか4540兆ウォン…韓国の政府・家計・企業「負債急増」
中央日報の記事(2020.05.06)
韓国経済の収益源断たれるか…米中貿易対立再点火で暗鬱な輸出
何とかコロナ危機を乗り越えたいまの韓国にとって最悪の事態とは、企業が次々と倒産して最後には国際通貨基金(IMF)に助けてもらった、『朝鮮戦争以来、最大の国難』といわれる1997年の経済危機を再現してしまうこと。
このときは国にお金(外貨)がなくなったから悲惨な状況になってしまったということで、韓国はこの後、いざとなったら日本からお金を借りられるよう通貨スワップ協定を結んでおく。
でも素直にはなれなかった。
日本には韓国へ外貨を融通する義務があるわけではなく、韓国側からは感謝するどころか「恩着せがましい」と逆に日本を侮辱する声が政府だけで無く、マスメディア、ネット市民の声として報道され、日本側を大いに憤慨させた
通貨スワップは実質的に日本のメリットがなくて韓国への経済支援なのだけど、暗にでもそれを示すとこうやって怒り出す。
その反応を見て日本側も怒り返して、その延長にいまの日韓関係がある。
このあと韓国政府が釜山の日本総領事館前に慰安婦像の設置を黙認したことで、日韓通貨スワップは完全になくなった。
でも、いまの韓国はかなりヤバイ。
外貨が減って借金が増え、経済危機という悪魔の足音が近づいてきたことで、韓国としてはここで何とか日本と通貨スワップを結んでおきたい。
検査キットの提供はそのための「交換条件」とソウルファイナンスのコラム(05/04)に書いてある。
[홍승희 칼럼] 한일 통화스왑은 잠시 잊자
通貨スワップのことはしばらく置いておこう、というこのコラムはこんな文章で始まっている。
*これは自動翻訳
最近、いくつかのメディアで日本に防疫物資を支援して、日韓通貨スワップを締結しなければならないというニュアンスの主張が登場している。
国内の対日世論、国民の反日感情を納得させるには韓国のメリットを提示するのが有効だ。
通貨スワップを結んだら侮辱されるというのは論外としても、何かと引き換えに日本に支援を行うという韓国側のドライな態度はとても正しい。
逆に、困っていれば無償で助けてくれるという発想は甘すぎるのだ。
個人と個人なら損得抜きで仲良くすればいいけど、国と国の関係はそうではなくて、国民の生命や財産など国益を第一に考えないといけない。
韓国では前から「用日」といって自国の利益に応じて日本を利用しようとしてきたから、日本も同じ発想で対等に付き合えばいい。
「用日」の視点に立てば、日本への支援と通貨スワップの交換は自然な発想だとわかる。
とはいえ日本はいま韓国の検査キットを必要としていないから、この話は最初から成立しないのだけど。
国と国の関係が、相手が滅亡すれば自分も一緒に滅ぶような運命共同体じゃ困るし、利益を目的につながる共益関係なら期待も失望も少なくてうまくいく。
「漢江の奇跡」もそうだったけど、経済支援をしても感謝されるわけじゃないから、はじめからそういう相手と思って付き合うしかない。
韓国と同じように、国益重視の割り切った考え方が日本にも必要だとよく思う。
おまけに言うと、日本は台湾に対してそういうことをしたのだ。
中国との付き合うから得られるメリットの大きさを考えて、日本は台湾との国交を断絶して中国と国交を結んだ。
個人的に台湾人から「日本はあのとき裏切った」と言われた苦い経験がある。
でも国益を考えたら、日本はそうするしかなかった。
こちらの記事もどうぞ。
>でも国益を考えたら、日本はそうするしかなかった。
そうですかね?「台湾との国交を維持したまま、大陸中国との国交を開く」という選択肢もあり得たと思うのですが。なお現在の米国は、実質的に、そのように行動しています。
そのようにできなかったのは、当時の日本の政治家と国民の意思がしっかりしていなかったからだと考えます。
台湾人に「日本はあのとき裏切った」と言われてもしょうがないでしょう。それは全くの事実ですから。
いい勉強にはなりましたね。
日本もアメリカも台湾との関係を維持していて交流がありますが、アメリカが実質的に「台湾との国交を維持したまま」というのは初耳です。
これは具体的にどんなことでしょうか?