中国の共産主義:熊のプーさんと「あつ森」が禁止されたワケ

 

東洋では「郷に入っては郷に従え」、西洋では「Do in Rome as the Romans do」(ローマではローマ人のように行動しろ)というように、自分が誰であってどんな考え方をしていても、現地のルールにしたがって生活するのはいつの時代も当たり前。

だから昔の中国でイスラーム教徒はアッラー(神)と皇帝の両者に忠誠を誓って、信仰と現実の生活を両立させないといけなかった。

偶像崇拝が禁止されているイスラーム教では、本来はモスクにこんな生き物の像を置くことは絶対的なNGだけど、中国・西安のイスラーム教徒は中国の考え方や価値観に従ってそれを屋根に置いた。

 

 

皇帝がいた時代も共産主義の現在でも、中央政府が絶大な権力を持っているという点で中国は変わっていない。
中国人ガイドのその指摘は正しかった。
くわしいことは前回の記事を。

【神か皇帝か?】共産主義の中国でイスラム教徒が生き抜く方法

 

1911年の辛亥革命で皇帝が倒されて、政治体制が変わっていまの中国は共和国になっているけど、中央政府を怒らせるようなものは今でも存在を認められない。

現在の国家主席・習近平氏は、見た目が「くまのプーさん」に似ているということで一時期、インターネット上で風刺されていた。というか、国民にからかわれていた。
例えば、習主席が安倍首相と握手をして新聞やテレビでその写真が伝えられると、インターネット上ではプーさんとロバのイーヨーが握手している絵に置き換えられて拡散される。

習国家主席をプーさんになぞらえることはネット上で何度も起きていたから、ついにプーさんは中国政府から「バン」(禁止)されてしまう。
いま中国の検閲当局はプーさんの名前や画像の投稿をブロックしている。

イギリスBBCは中国独特の政治感覚をこう指摘した。(2017年07月18日)

これがほかの国なら、国の指導者をプーさんにたとえても特に問題はないかもしれないし、むしろ自分のイメージキャラクターがプーさんだというのは親しみやすくて良いことだと歓迎する国家首脳もいるかもしれない。しかし中国はそういう国ではないのだ。

中国検閲はなぜクマのプーさんを禁止したのか

 

プーさんの次は「あつ森」がバン。
いま世界中で大ヒットしている任天堂のゲーム「あつまれ どうぶつの森」も中国で消されてしまった。
このゲームでは他のプレーヤーとの交流が可能で、他の国ではそれが人気なのだけど、新型コロナウイルスのために集会が禁止されている香港では、民主派の活動家がこのゲームの世界で集会をおこなう。

香港の有名な民主活動家である黄之鋒さんは、「『どうぶつの森』は大人気 政治の世界ではこれでデモをしよう」とネット上で呼びかけて、「あつ森」を利用して民主化を訴える活動をしている。

バーチャル空間であっても、反中国の活動を本土の中央政府が認めるはずはなく、またもや禁止されてしまった。

FNNプライムニュース(2020年4月20日)

こうした動きを受けてか、中国の大手通販サイトは、海外版の「どうぶつの森」の販売を突如停止。
新型コロナウイルスをめぐり、思わぬところで、中国の政治問題が表面化している。

中国当局が恐れるワケ “手作り”で大人気のゲーム

 

時代や政治体制が変わっても、中国ではあいかわらず中央政府が絶対的。
それを不快にさせるものは、アニメキャラもゲームも存在は許されない。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。