日本にいる欧米人の声を聞くと、「日本人は差別意識が薄い」といったことをよく耳にする。
たとえばある外国人がネットに「日本に人種差別はあるか?」という質問をすると、日本の会社で働くアメリカ人は「ある」と答えて、忘年会か何かのお楽しみイベントで、日本人社員が顔を黒く塗る「ブラックフェイス」をしてパフォーマンスを行い、まわりもそれを楽しんでいるのを見て信じられなかったと書く。
ブラックフェイスについてはこの記事をどうぞ。
浜ちゃんの”黒メーク騒動”。日本と欧米の人種差別意識の違い。
でも日本に長くいる欧米人に話を聞くと、日本人の「人種差別」は憎悪や敵意が原因ではなくて、無知によるものが多いと指摘する人が多い。
上のブラックフェイスもきっとこれで、本人に問いただしたら「これが黒人への差別になるとは思わなかった。ごめんなさい」となると思う。
アフリカにいる黒人を動物のようにつかまえて売り飛ばす、そんな欧米のような残酷な奴隷制度がなかった日本では黒人差別への認識が薄いのは確か。
でも東アジアや東南アジアを旅行すると、あちらではそういう意識がもっと薄いと思う。
ホテルのテレビでCMを見てたら、黒人が登場して洗剤を使って体を洗うと白人に変身するというものがあって目が点になった。
いまから思えば、日本でブラックフェイスを見たアメリカ人の衝撃と同じかも。
こういう内容のCMを東南アジアの国でも中国でも見たことがある。
最近、台湾好きの日本人が集めるSNS上のグループで、「おはようございます 大好きな歯みがき粉 黑人牙膏」というメッセージと一緒にこんな歯磨き粉の画像があるの見て、画面を見たまま一瞬固まった。
黒人の歯の白さを強調したものだと思うけど、商品名もそのまま「黒人」。
投稿には「私も愛用してます」といった返信があったから、これは台湾ではどこの店にもある普通の商品で、日本人にも人気なんだろう。
でもこれ、日本での販売はあり得ないし、欧米社会なら訴訟を起こされて会社側は天文学的な慰謝料を支払うことになるかも。
調べてみるとこの歯磨き粉「黑人」は、1933年に上海で設立された会社(ホウリー&ヘイゼル・ケミカル・カンパニー:好來化工」が発売をはじめた商品だった。
欧米では「差別的」と批判され(そりゃそうだ)、いまでは中国・台湾・インドネシア・シンガポールなどのアジアでしか売っていない。
同社はこの商品はアジア以外では販売しないともアナウンスしている。
黑人は2004年のモキュメンタリー映画『CSA: Confederate States of America』(「CSA ~南北戦争で南軍が勝ってたら?」)にも登場する。
上の写真には「Darkie」という英語があるけど、これは欧米では黒人に対する侮蔑的な表現だから、のちに「Darlie」に変更されて、いまもそのままアジアの店頭に並んでいる。
日本でもブラックフェイスでアメリカ人を不快にさせることがあるし、「大好きな歯みがき粉」「私も愛用してます」と普通に言う人もいるから、欧米人目線で批判するつもりはないけど、それでも「黑人牙膏」という歯磨き粉にはビックリですわ。
別の記事でくわしく書くけどこの商品デザインの「元ネタ」はこれ、ブラックフェイスをした白人のエンターテイナー。
360度どこから見てもアウトです。
こちらの記事もいかがですか?
人種と民族の違い。黒人の日本人(民族)がいて「ふつう」の時代
「アジア人は差別意識が薄い」ですか? ふーん、この話を見る限り、私にはとてもそうは思えませんね。
>調べてみるとこの歯磨き粉「黑人」は、1933年に上海で設立された会社(ホウリー&ヘイゼル・ケミカル・カンパニー:好來化工」が発売をはじめた商品だった。(改行) 欧米では「差別的」と批判され(そりゃそうだ)、いまでは中国・台湾・インドネシア・シンガポールなどのアジアでしか売っていない。
あのねぇ、普通は日本人だったら、「欧米で差別的と批判されたので、そのまま全世界での販売を取りやめた」とするところですよ。それをやらずに、批判を受けずに済むアジアの数か国でそのまま販売を続けるとか。話にならんね。
これを差別意識と言わず、何と言うのですか? 知っててやってることの罪は大きい。人権意識が低い。
また、その程度のことに気づかないようであれば、ブログ主さんも同罪あるいは同レベル無知だと思いますがね。
「普通は日本人だったら」の根拠は何かありますでしょうか?
これは人気商品ですから、「〇〇人は入るな」という憎悪や敵意といった差別意識を持ってのことではないでしょう。