前回、「スパゲティをお箸で食べるのを、初めて見た」と驚いていたイギリス人の友人から、「ポットラック・パーティー」に誘われた。
ポットラックとは「ありあわせの料理」のこと。
ポットラック・パーティーは、レストランではなくて誰かの家でやる気楽なパーティーのこと。
適当に食べ物と飲み物を持って参加するパーティーで、欧米人はよくやっている。
とにかくこのポットラック・パーティーに、ボクは「日本代表」として参加したから、お好み焼きとお茶を持って行った。
しかし、予想外にお茶の人気がない。
自分が持って来た物に誰も手をつけないというのは、なかなかツライ。
ポットラック・パーティーには、こんな残酷な一面がある。
ちっ、オレンジジュースかカルピスを持って行けば良かった。
でも、ポットラック・パーティーはおもしろい。
サラダを持った来るベジタリアンのイギリス人がいれば、ピザを持って来るスウェーデン人がいる。
アメリカ人はメキシコ料理を持って来たかと思えば、フィリピン人はフィリピンの食べ物を持って来る。
いろんな国の食べ物がテーブルに並んでいるのは、なかなか壮観だ。
これで彼らの英語の会話が分かったら、言うことはないんだけど。
ここで生まれて初めて目にしたものがあった。
これもなかなか国際的な光景だ。
「お箸を使ってスパゲティを食べているのを初めて見た」と言って驚いていたイギリス人が、お好み焼きをナイフとフォークを使って食べている。
ステーキを食べるようにお好み焼きをナイフで小さく切って、フォークを刺して口まで運ぶ。
さすが。
ローストビーフの国から来た人間はやることが違う。
ナイフとフォークの文化で育った人間には、これが一番食べやすいのだろう。
お箸でお好み焼きを食べることよりは、外国人の彼女にはやりやすいはず。
ボクの中ではマナー違反ではないから、問題はない。
お好み焼きをナイフとフォークを使って食べているののを見ても、不快感は感じなかったし。
ボクがスパゲッティをお箸で食べていたものこんな感じなんだろう。
お好み焼きをナイフとフォークで食べるのも、イギリス(ヨーロッパ)の文化のあらわれだ。
料理を前にして、「自分の好きなような食べ方で、食べていいですよ」と言われたら、ふつうは自分にとって一番食べやすい食べ方で食べるはず。
ボクがお箸でスパゲティを食べたように。
食べ方にはその人が育った国や社会の文化があらわれる。
文化とは「行動様式や生活様式」のこと。
食事の仕方というのはまさに文化そのもの。
箸で食べ物をつまんで食べることや、ナイフで切ってフォークで口に運ぶという何気ない行動にも、背後にはその人が育った国の文化や伝統がある。
ある国に生まれ育つことで、自然にその国の文化を身につける。
文化はどこにあるかといえば自分の中にある。
日本人が日本文化であり、イギリス人がイギリス文化である。
外国にいたり異文化に接したりした時に、自分にとってもっとも楽なことが文化となってあらわれることがある。
タイを旅行していたとき、イギリスに留学している日本人と会った。
彼はイギリスでも「玄関」をつくって、そこで靴を脱ぐようにしているという。
靴を履いたまま部屋の中に入るのには、どうしても違和感を感じてしまう。
玄関をつくってそこで靴を脱ぐようにすると、気持ちが落ち着くらしい。
それが彼にとって、一番楽で自然なことなんだろう。
やっぱり、外国に行っても日本人は日本人だ。
日本の文化は、日本人の中にある。
おまけ
英会話に興味があったら読んでください。
ポットラックパーティーで、たこ焼きを焼くの「焼く」を英語で言うとどうなるかを聞いた。
イギリス人は「make」でいいと言う。
「bake(ベイク)でいいか?」と聞いたら、「それはパンを焼くときに使う言葉だからよくない」と言われた。
鉄板で焼いているから「grill(グリル)ではどうか?」と聞いたら、「それもおかしい」と言われる。
結局、「make」が一番ピッタリくるらしい。
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