インド人の食べ方は文化の違い?日本・韓国・米国人「マナー違反だ」

 

インドを旅行していて、すぐに気づいたことがある。

インド人はカレーを手で食べている!

「それがインドの文化なんです」と、中学校の先生が言っていたとおりだ。

「手を使って食べる」というのは、ヒンドゥー教のヴァルナ=ジャーティ制度(カースト制度)の影響があるらしい。

それはともかく、手でカレーを食べるのはマナー違反ではなくて、インドの食事のルールであってインドの食文化でもある。

 

ところ変われば、マナーも考え方も変わる。
日本だったら、手づかみで食事をしたらマナー違反だ。

 

 

外国人が集まるパーティーでこんなことがあった。

そこに、アメリカ人の男性と彼とつき合っている日本人の女性がいた。
そのアメリカ人が刺身を指でつまんで食べると、彼女が彼をにらみつけて言う。

「刺身を指で食べるんじゃない!」

アメリカ人が言い返す。
「手で食べる食べ物もあるだろ。ピザは手で食べてもいいんだよ」

彼女の声が大きくなる。
「刺身はピザじゃない!」

そのとおり。
アメリカではいいのかもしれないけど、日本でそれはマナー違反。

日本で日本のマナーに違反したら注意されるのは仕方がない。

 

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「ナン」は、ペルシャ語。
インドのヒンドィー語ではない。

 

これはどうだろう?

インドのコルカタ(旧カルカッタ)の宿で、こんなことがあった。

宿のフロントで、ボクと韓国人とアメリカ人で話をしていた時のこと。
何かに気づいたアメリカ人が、「おい、あれを見ろよ」と指さす。
顔には、嫌悪の表情が浮かんでいる。

 

彼が指さした先を見ると、フロントデスクにいるインド人がチョウメン(焼きそば)を食べていた。
客と向かい合って業務を行うフロントで、平気でご飯を食べているというのがすごい。

でもアメリカ人の顔をゆがませたのは、その堂々とした態度ではなくてそのインド人スタッフの食べ方。
指で麺をつかんで食べている。

「それが、インドだ」
と言われたら、そうなのかもしれないけど。

そのインド人は、焼きそばの麺を指でつかんで高く持ち上げ、顔を上に向けて口の中に入れていた。
指から垂れ下がっている焼きそばの麺と、大きく口を動かしてそれを食べている様子は、優雅さからはかけ離れている。

ハッキリいうと下品。

 

そう思ったのは、アメリカ人とボクだけではない。
韓国人も、「あれはないよな」とあきれていた。

 

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「食べ物を手で食べることはインドの食文化だ」

それは知っていたし、受け入れてもいた。
そのインド人もボクたちに嫌がらせをするために、そうした食べ方をしていたわけではないはず。

彼が指で麺をつかんで食べてもいても、別にボクが困るわけではない。
お金を損するわけでも、ケガをするわけでもない。

ただ、その場にいた日本人のボクとアメリカ人と韓国人は、不快感や嫌悪感を感じていた。

明らかにマナー違反だ。

でも、「あの食べ方はひどいな」とその場で言っただけ。
不快に思っても、彼にその食べ方を止めさせることはできない。
インドでは、外国人の感じ方より、インドの食文化を優先しないといけないだろうから。

 

日本で一緒に食事をしているインド人が、そういう食べ方をしていたら注意をする。
それは日本の食事のマナーに反する、と。

前々回の記事で書いたイギリス人も、スパゲティを箸で食べることは問題ないけど、ラーメンをすすって食べるのはイヤだという。
でも、イヤだとは思っても、ここは日本でそれが日本人の食文化だと思うから相手には何も言わない。

 

欧米人はズルズルと音を立てて麺をすすることをとてもイヤがる。
もし知らなかったら、このことは覚えておいた方がいい。

日本人や朝鮮半島では、麺類などを音を立ててすするが、欧米人は食事のときに音を立てることをひどく嫌う

(常識の世界地図 文春新書)

 

麺をすすって食べるのは、欧米ではマナー違反だけど日本では問題ない。

イギリス人の彼女は、自分が日本にいるのだから麺をすすって食べる人がいても、「それは日本の食文化」と考えて文句は言わない。

インドのホテルのフロントにいた日韓米のボクたちと同じだ。
チョウメンを手づかみで食べているインド人を見て、不快に感じたけど何も言わない。

 

外国人からしたら不快感や嫌悪感を感じさせて、「マナー違反だな」という言動があっても、それがその国の文化であったらやめさせることはできないし、何も言わない人が多いだろう。
聞こえないように文句を言うぐらいで。

 

ここまで書いてきたことぐらいならセーフ。

これらのことであれば、相手にイヤな印象を与えてしまうことはあっても、激怒させることはない。

でも、不快感を感じさせること以上の言動をするとアウトになってしまう。
「一線」を越えてしまうと、相手を激怒させる。
そうなると、その人も黙っていられなくて問題が起こる。

「マナー違反」や「文化の違い」ではすまされないことがある。
宗教や差別にかんすることだと、その「一線」を越えてしまう。

その「アウト」について、次回から書いていきます。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。