【危険な完璧主義】アメリカ人から見た日本人の仕事っぷり

 

横浜のスーパーマーケットの店内で、最近こんな説明を見たとある人がツイートして話題となった。

「厚生労働省の推奨に従い
レジ担当者も勤務中の水分補給をさせていただきます。
お客様のご理解をお願い申し上げます」

わざわざこんなこと書かなきゃならんの?と疑問をつぶやくと、これに賛同の声が殺到。

ネットを見てみたら、「そういうのは休憩時間にしろ。客の前で飲むな」といった店への批判は2割ほどで、あとは大体クレーマーにうんざりしていた。

・消防隊員が消火活動後お店によって水分補給してたら苦情が寄せられる世の中だからな
・こういうのは日本の欠陥だわ
・別にことわる必要なんて無いし、クレームも聞く必要が無い。しつこい奴は営業妨害で通報。
・日本って病的だよな。色々と
・救急隊員がコンビニ行っただけで通報する監視社会だからなw

このスーパーは全国展開していて全店舗でこの表示をしているというし、コロナ騒ぎでマスクが消えたころには「本当はあるんだろう!出せっ」と迫るクレーマーがいてドラッグストアの店員の心が病んだという記事を山ほど見たから、これはきっと全国的な問題だ。

 

「お客様は神様です」といっても、店員は奴隷じゃないし人権はある。
店やシフトによっては5~6時間もレジ打ちをしないといけないから、そのあいだ水分補給できないというのはちょっとした拷問らしい。

海外のコンビニやスーパーでは自由度がかなり高い。
店員同士でおしゃべりをしたりスマホをいじってるのは当たり前、韓国では受験勉強をしている店員を見てビックリしたという日本人と会った。

中には、客がいるのに納豆を食べるコンビニ従業員もいるらしい。
くわしいことはこの記事をどうぞ。

アメリカ人から見た日本と韓国:コンビニ店員の違いに衝撃

 

日本は金持ちと貧しい人の差が世界的に見れば少ない方で、社会的には中流が行きわたっている。
でも客と店員の格差は異常で、水分補給もそうだけど店内で、「このトイレは従業員も使わせて頂きます」、「この駐車場は従業員も利用します」といった案内がある国は世界に一体どれだけあるのか?

日本に住んでいるアメリカ人が百貨店かショッピングモールで、「この通路は従業員も歩きます」という表示を見て、はじめは意味が分からなかったと言っていた。
そのアメリカ人は、仕事中のあいさつが「お疲れ様」で週末には癒しを求める日本人の生活に違和感を感じている。

 

 

さてこの前、「日本のスーパーマーケットにはこんな張り紙がありますよ~」とネットに投稿したら、アメリカ人とオーストラリア人からこんなコメントがきた。

アメリカ人:I’ve been a cashier. Unless I’m checking out at an automated scanner I don’t have a problem if a cashier needs to eat, drink, go to the bathroom, etc. People working in customer service are just that, people. Let them drink water whenever they need.

キャッシャー(レジ係)をしているこの人は、ふつうは客がいても食べたり飲んだり、トイレに行くことができたし、カスタマーサービスにいる人も“人間”だから、必要なときに水を飲んでいたという。

オーストラリア人:I think it is perfectly normal to want to drink water. Some businesses can be unreasonable, but for the places that allows staff to drink when they are thirsty is OK, otherwise why would people work there.

水を飲みたくなるのは当たり前のこと。
それができない仕事もあるかもしれないけど、喉が渇いたときにスタッフが飲める環境であればそれは問題ない。
そうじゃなかったら、なぜ人びとはそこで働くのか?

 

20年以上食料品店で働いていたアメリカ人の意見はこうだ。

This is beyond stupid. Many customers think that people that work in the service industry are just robots and slaves to their every whim.

これは本当に馬鹿げている。
多くの客はサービス業界で働く人たちを、自分の気まぐれに奉仕するロボットや奴隷だと思っている。

そう話すアメリカ人でも、店員が客の前で水を飲むのは問題ないと言う。

When I was working we could drink water when we needed to, even in front of customers.

この反応はきっとアメリカ人やオーストラリア人だけではない。
店員の喉が渇いても客の前では水を飲めないというのは非常識で、「基本的な人権の侵害」と考える外国人は多いはず。
ボクが行った海外のスーパーやコンビニで、日本以上に厳しく真面目な態度で働いている店員は見たことない。
別のアメリカ人が言った「私はそれが危険な完璧主義だと思います」という見方には完全に同意。

そういえばフィリピンで、コンビニ店員が自分の目の前で鼻をほじっていたと日本人が怒っていた。

【文化とマナー】フィリピン人の鼻ほじりを嫌う日本人だが…

 

 

日本の深刻な社会問題で、欧米社会でも知られるようになった過労死。
いまでは「Karouhi」として海外の辞書に載っているし、英語版ウィキペディアにもくわしい説明がある。

戦争が終わったあと、日本人は高度経済成長をむかえて国は豊かになったけど、こんな代償を払っていたという。

It was recognized that employees cannot work for 12 or more hours a day, 6–7 days a week, year after year, without suffering physically as well as mentally. It is common for the overtime to go unpaid.

Karoushi

 

1日12時間かそれ以上の労働を週に6~7日もしていて、日本人は肉体的・精神的な苦痛を感じていた。
しかもサービス残業は当たり前。

いまの日本はこの当時とは違うけど、それでも欧米人の目から見たら、労働者に求められる水準や犠牲はまだまだクレージーだと思う。
その多くはクレーマーのせいだけど。

日本の「お客様は神様です」みたいな言葉で、アメリカでは「カスタマー・イズ・オールウェイズ・ライト」(客はいつも正しい)という言葉がある。

 

 

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4 件のコメント

  • > いまの日本はこの当時とは違うけど、それでも欧米人の目から見たら、労働者に求められる水準や犠牲はまだまだクレージーだと思う。(改行)その多くはクレーマーのせいだけど。

    「その多くはクレーマーのせい」ですって?
    ははは、そんなことはありませんよ。前半の話は接客業を含めた労働者全体の話であって、「その多くはクレーマーのせい」というのは、接客業に限った話でしょう? 話をスリカエてはいけませんね。
    接客業を始めとして、欧米人の目から見たら日本国内において労働者に求められる勤務態度の水準は厳しい、これは間違いないでしょう。(ただし、それを「犠牲」と表現するのはどうかと思うが。)

    日本の場合、真面目に働いているのは接客業の労働者だけではないですよ。接客業以外の労働者も、あるいは管理職も、経営者だってほとんどの人は欧米人に比べれば真面目に勤務していますよ。それこそ、欧米に比べて貧富の差が少なく、社会格差や階層が固定せずに誰にでも努力次第でチャンスがある、その理由だと思いますが。

    確かに、海外へ行くと欧米だけでなくどこでも、接客担当が頻繁に飲み食いしたりおしゃべりばかりしている光景をよく見かけますが、そんな店は私は嫌だ。少なくとも日本にはあってほしくない。そういう職場では管理職や経営者も真面目に働いていない(監督していない)ことがほとんどです。
    日本は、米国はじめ大陸の国のように天然資源に関してそれほど豊かな国じゃありません。つまり、真面目に働かなければ、現在のような先進国としての生活を国民全体が維持することはできないのであり、そのことを皆分かっているのだと思いますよ。国民が真面目に働くことをやめたらギリシャみたいになるだけです。
    真面目に働くのが嫌だったら、外国でも、南国でも、どこへでも行って日長一日のんびり暮らしてりゃいい。あるいは国内でホームレスになって社会に迷惑をかけるだけの存在になるか。選択は個人の自由ですからね。

  • クレーマーは接客業に限った話ではなく、いろんなところにいます。
    鉄道会社や病院に勤務している友人もクレーマーに神経をすりへらしています。

  • クレーマーって、本人は正しい事を正当に主張をしてるって信じて疑わないから、自分では気付かないのですよね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。