前回、日本に住んでいるドイツ人が学校の運動会や高校野球でおこなわれる「選手宣誓」を見て、「ナチス式敬礼のようだ」と思ったということを書いた。
詳しくは前回の記事を見てほしい。
国内ではなく、世界に目を向けると、意外なものがナチスの影響によって生まれている。
今回はそのことを書いていきたい。
・「ナチス」とは?
最初に「ナチス」について確認しておこう。
前回の記事を見た人で、「またかよ!」と思った人は飛ばしてほしい。
「ナチス」とは、ヒトラーが率いていたドイツの政党のこと。
ナチス(〈ドイツ〉Nazis)
1920年ドイツ労働者党を改称して成立。
翌年以降ヒトラーを党首とし、1933年に政権を掌握。反民主・反共産・反ユダヤ主義を標榜して、全体主義的独裁政治を推進。(デジタル大辞泉の解説)
1945年の第二次大戦敗戦と同時に消滅した。
ナチスについて絶対に知っておくべきことは、ナチスが「ホロコースト(ユダヤ人の大量虐殺)」という、人類史上最悪の蛮行をおこなったという事実。
ナチス・ドイツの国旗(ウィキペディア)
1942年(第二次世界大戦中)のドイツ国領土(ウィキペディア)
当時のナチス・ドイツの勢いがわかる。
これも知っておいた方がいい。
欧米では、ナチスを連想させるような言動はしてはいけないタブーになっている。
欅坂46がこのタブーに触れて、国際問題になってしまった。
また、ギリシャのサッカー選手はゴールを決めた後にこの「ナチス式敬礼」のパフォーマンスをしてしまったため、ギリシャ代表から「永久追放」の処分を受けた。
ファールによる「一発退場」どころではない。
ヨーロッパでこれをしたら、「一発永久追放」。
これも前回の記事をご参照あれ。
・ナチスの「遺産」:アウトバーン
ドイツに「速度制限がない」という自動車専用の高速道路がある。
まさに「スピード出し放題」。
日本では考えられないこの道路は、ドイツ語で「アウトバーン」という。
世界でもっとも有名な高速道路とも呼ばれている。
このアウトバーンは1933年にヒトラーが建設を開始した道だ。
日本では「飲み放題」や「食べ放題」の店ならいくらでもあるけど、絶対にないのは「スピード出し放題」という高速道路。
だから時速200キロという猛スピードで走ることもできる。
日本の車は安全重視で、速度が出過ぎないようにリミッターがつけられているけど、海外の車ではこのリミッターを外すものもあるらしい。
そうなったら、スピードの限界に挑戦することができる。
日本ではこんな高速道路は考えられない。
とはいっても、アウトバーンのすべての区間で「最高速度、好きなだけ」というわけではない。
スピードが制限される区域もあるのだ。
渋滞しやすい区間では、さすがに速度の制限があるらしい。
日本のお寺にある「卍」を、「ナチスのかぎ十字」と勘違いする外国人は多い。
このアウトバーンの建設に大きくかかわっているのが、ナチスの総統だったアドルフ・ヒトラー。
アウトバーンは、ナチス政権下で造られた。
言ってみたら、ナチスの「遺産」になる。
先ほど、「建設は1933年にヒトラーが着手。(デジタル大辞泉の解説)」と書いてしまったけどね。
「アウトバーン起工式で演説するヒトラー(ウィキペディア)」
この時代、世界恐慌のためにドイツ経済がうまくいってなかった。
国内にあふれた失業者の数は、600万人にものぼったという。
日本もこの時期は、昭和恐慌で大変だったけどね。
東北では、親が娘を売りに出すこともあったし。
それが二二六事件を・・・。ってキリがないから、やめとく。
ヒトラーはこのアウトバーンの建設を失業者対策として利用する。
この公共事業のおかげで、多くの労働者が働く機会を手に入れることができた。
さらに、アウトバーンがその後のドイツに果たした役割もとても大きい。
長距離走行を考慮して、トイレなどを備えるパーキングエリアも随所に設置されていた。
これらの基本構想は、ドイツを後年、世界屈指の自動車大国に成長させていく過程での大きな礎となった。
(ウィキペディア)
海旅行の楽しみに、「日本では絶対にできないことができる」というものがある。
たとえば、オランダではコーヒーショップで大麻を吸うことができる。
オランダでは、合法だから。
オランダのコーヒーショップ(ウィキペディア)
アメリカや韓国では実弾の射撃が可能だ。
ボクは中国で実弾射撃を経験したことがある。
あれは経験した方が良い。
本物の銃を撃つと、その振動や音の大きさが想像以上で驚いてしまった。
武器の危険性や破壊力というものを、実感として理解することができた。
武器や兵器を「見せない・聞かせない・言わせない」という態度では、かえって武器の持つ恐ろしさがわからなくなってしまう。
話がそれたけど、ドイツのアウトバーンもこの海外旅行の楽しみの一つ。
いつかこの高速道路で、アクセルを思いっきり踏んで車を走らせてみたい。
友人のインド人は、日本の高速道路で「先進国とは、こんな国のことだ!」と納得していた。
それは、日本のお家芸である「安全重視」の発想にもとづく、具体的な施策によて。
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