きょう8月20日は蚊の日。
1897年(明治30年)の8月20日、イギリスの細菌学者がハマダラカ類の蚊からマラリアの原虫を発見したことを記念して、この日がモスキートデーとなった。
ちなみにマラリア(malaria)の語源はイタリア語の「mal(悪い)」、「aria(空気)」でむかしマラリアは空気感染する病気と考えられていたという。
南米ベネズエラの近くに、トリニダード・トバゴという小さな島国がある。
日本で英語を教えていたトリニダード・トバゴ人に、母国でいちばん恐ろしい虫は何かネットで聞いたらそれは蚊だと言う。
「Well mosquitoes are quite dangerous in Trinidad because they sometimes carry deadly and life threatening diseases. Most common disease is Dengue Fever.」
日本の蚊は雑魚レベルだけど、トリニダード・トバゴにいるマラリアやデング熱のウイルスを持った蚊はかなり危険で、人に死をもらたすこともある。
このトリニダード・トバゴ人は15歳と21歳の2回、デング熱に感染して死にそうになったという。
ラスボスとはいかなくても、マラリヤやデング熱を運ぶ蚊なら中ボスぐらいにはなれるだろう。
とにかく数が多いからやっかいだ。
しかも蚊は進化していて、いまではチクングニア熱(Chikungunya)をまき散らすヤツもいるらしい。
「mosquitoes can now spread an even worse disease called Chikungunya which causes fever, joint pain and swelling in the hands and feet.」
発熱は2日ほど続き急に終息するが、関節痛、頭痛、不眠、全身疲労などは5日から7日ほど継続する。関節痛は年齢にも依るが2年ほど続くこともある。
蚊によってこんな病気に感染することで、年間約72万人が亡くなっているという。
1対1の勝負なら問題ないけど、人間社会にとって最も危険な生き物は蚊だ。
くわしいことはこの記事を。
現代でも多くの人命を奪っている蚊は歴史をひもとくと、世界的な帝国をもゆるがす力があった。
毎日新聞で、東京医科大学教授の濱田篤郎氏がそんなことを言っている。(2017年8月22日)
例えば5世紀におきた西ローマ帝国の滅亡。直接の原因はゲルマン民族の移動によるものですが、帝国内でのマラリアの流行も一因とされています。
国を滅ぼすこともある蚊の怖さ
ゲルマン民族が侵入するまえ、西ローマ帝国の首都があったイタリア半島には北アフリカなどから、マラリア感染者を含めた多くの移民が流入していた。
そんな状態でイタリア各地で蚊が大量に発生した結果、マラリアが大流行し、それが帝国滅亡の一因となったという。
ちなみに、この地にやって来た多くのゲルマン民族もマラリアによって命を奪われた。
日本人もマラリヤやそれを運ぶ蚊には悩まされていて、平安時代の平清盛もマラリアで亡くなったと言われる。
日本からマラリヤの脅威が去ったのは1960年代だから、歴史の中ではつい最近のことだ。
イギリスの細菌学者がマラリアの原虫を発見してから約120年が過ぎたいまでも、人類は蚊がもたらす恐怖から解放されていない。
でも技術と知識は確実に進歩した。
アメリカでは遺伝子を操作した約7億5000万匹の蚊をフロリダ州で放つことがきまり、CNNがニュースでこう報じる。(2020.08.20)
今回の実験の目的は、殺虫剤散布の代わりに遺伝子操作した蚊を使ってネッタイシマカを駆除できるかどうか検証することにある。ネッタイシマカはジカ熱やデング熱、チクングンヤ熱、黄熱病などの感染症を媒介する。
遺伝子組み換えた蚊7.5億匹を放つ計画、地元が承認 米フロリダ州
実験に使われる蚊は、成虫になる前に死ぬメスの子孫しか生まれないよう遺伝子を操作されている。
こんな蚊が7億5000万匹も野に放たれたら、人間や生態系にどんな影響がでるのか?
その答えは未来人しか分からないから、この実験に反対する人も多いのだけど、2021年にはテキサス州でもこの蚊を放つ計画がきまっている。背後で巨大な金が動いたと思われ。
でもある意味これは、アメリカ自体が巨大な実験体になっている。
これに成功したら、人類の多くがマラリヤやデング熱から解放されるかもしれない。
でも、病気ではなくて、蚊の成虫がいなくなるというのもどうなんだろう。
それは人がしていいことなのか、空恐ろしい気もする。
まあそれはとにかく、今度は蚊が震えて寝る番だ。
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>でも、病気ではなくて、蚊の成虫がいなくなるというのもどうなんだろう。
もしそうなったら、その後の変化は決まってますよ。
蚊のポジションにとって代わる何か別の昆虫が広まるだけのこと。ただし、もしかするとその時には、「ヒトを吸血しない昆虫」がそのポジションについているかもしれないですが。
自然界においては、蚊には蚊の役割があるはずです。それは必ずしも「ヒトから吸血する」ことが必須ではないのかもしれません。米国の実験的対策も、それを狙っているのでしょう。