日本で七夕というと、年に一度の全国的なお願いごとの日。
カラフルな短冊に「~になりますように」といったことを書いて竹の木に結び付けたり、「ささのは~」と歌ったりするどちらかと言えば子供が楽しむイベントだけど、七夕の元祖・中国ではそうじゃない。
古代中国では7月7日の夜に、天の川の両岸にある牽牛(けんぎゅう)星と織女(しゅくじょ)星が年に一度だけ会うことができるという伝説があって、星をまつる行事が行われていた。
*牽牛星はわし座のアルタイルで、織女星はこと座のベガ。
戦場ヶ原ひたぎと阿良々木暦が寝転がって見上げたシーンは有名。
愛し合う男女が年に一度しか会えない七夕は、中国・香港・台湾やシンガポールなどの中華圏ではとてもロマンチックな日で、日本でいえばクリスマスやバレンタインデーのような「恋人たちの日」というイメージがある。
中国大陸では、七夕は商店にとっての販売促進の一大商機となっており、伝統習俗は廃れており、人々の七夕に対する情熱は西洋の舶来品の「情人節」とは比べ物にならない。
情人は恋人の意味で、情人節とはバレンタインデーのこと。
愛とは具体的な形で表すもので、そこに商機を見出すのはどこの国も同じ。
7月7日に会う織り姫とひこ星
ふだん15光年離れている2人のソーシャルディスタンスは完ぺき
中国・ベトナム・韓国では日常生活は日本と同じ太陽暦だけど、文化的な行事は太陰暦(旧暦)にしたがって行われることが多い。
早くに民族文字の仮名を発明して、脱・中国文化をはかった日本はむかしから東アジアの異端児なのだ。
中華圏の七夕は今週の8月25日にあった。
だからSNSでそのころの中国人のメッセージを見ると、
~七夕情人节要到了哦~送束花给你心爱的她,表示你对她的爱吧💕💕
(~中国のバレンタインデーが近づいています〜愛する人に花束を送って、彼女への愛を示しましょう💕💕)
と花束のプレゼントを呼びかけるものが多くて、なかには「愛する人に下着を贈ろう」というメッセージもあった。
中華圏の七夕は恋人の日であることを考えれば、これらが必要品というのは日本人の感覚でもまあ理解できるとおもう。
問題は台湾だ。
台南のグルメや観光情報を発信している台湾人のHsu Hsuさんが、「地元の台湾台南市の成人式の会場❲七夕祭り❳ではコンドームが配られています」という言葉と一緒にこんな写真を載せた。
七夕祭りでコンドームの配布。
これには地元でも賛否が別れたらしく、「日本国の皆さんの貴重なご意見を聞かせていただけますか?」とHsu Hsuさんも戸惑っているようす。
さすが台湾、意図が分かりやすいし表現もストレートだ。
それにしても花束に下着にコンドームのプレゼントと中国・台湾の七夕は、五色の短冊に願いごとを書く日本のスタイルと違いすぎる。
七夕祭りでコンドームを配るという発想は日本じゃ1000年後もないだろうし、成人式でもこれは無理だろう。
と書いたけど、「ひょっとして」と思ってググったら、渋谷区が成人式のプレゼントでコンドームをわたしていた。
これならギリわかるけど、日本の七夕にコンドームはどう考えてもふさわしくない。
>成人式でもこれは無理だろう。
>と書いたけど、「ひょっとして」と思ってググったら、渋谷区が成人式のプレゼントでコンドームをわたしていた。
ガールフレンドと同伴で私が成人式に参加したときには、「結婚するまで純潔を守りましょう」という宗教めいた冊子が配られました。なんか、バツが悪かったなぁ。顔見合わせて苦笑するしかなかった。
でも、その日の夕方も特に行動は今までと変わりませんでしたが。
それもいまなら役所がたたかれるでしょうね。
時代は本当に変わっています。