漢服を着るも残念な中国人と、和服を着こなす日本人

 

5年ぐらい前、日本の大学で学んでいた中国人の女の子が京都旅行に行ったと言うから、何がいちばん良かったか聞くと、「着物を着て清水寺のあたりを歩いたことですっ」とうれしそうに話す。

これはもう、京都を訪れる中国人観光客の「鉄板」と言っていいと思う。
二年坂や産寧坂では、浴衣や着物を着た日本人観光客が歩いていると思いきや、じつは中国語を話していたといことがよくある。(コロナ前までは)
京都へ行ったら和服を着ながら歴史のある街並みを歩いたり、そこをバックに写真を撮ったりすることが中国人は大好きらしい。

 

欧米人が「マイコ!」とカン違いしていたけど、この人たちも中国人か台湾人

 

着物は中国の漢服から生まれた衣装だけど、帯を後ろでしめるなど、日本人の好みに合わせて別ものに変化させた。
日本は中国からいろんな文物を持ってきたけど、アレンジを加えて日本独特のものにしてしまう。
これが日本文化の大きな特徴で、20世紀前半の代表的な歴史学者・津田左右吉(明治6年 – 昭和36年)もこう書いている。

日本は、過去においては、文化財として支那の文物を多くとり入れたけれども、決して支那の文化の世界につつみこまれたのではない

「支那思想と日本 (津田 左右吉)」

*支那は中国のこと。いまこの言葉は侮辱語になるからNG。

着物についてはこの記事をどうぞ。

外国人の好きな日本文化「着物」。歴史と特徴を簡単にご紹介。

 

 

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ShaNHai48 中国大型女子偶像团体(@snh48cn)がシェアした投稿

和服を着るSNH48のメンバー
AKB48の姉妹グループとしてデビューしたものの、契約上のトラブルからいまは完全独立して活動している。
韓国のアイドルがこんな「親日行為」をしたら、謝罪会見は必至。

 

そのとき留学生の子は、中国人が国内で伝統衣装を着て観光地をめぐることはないと話していたけど、最近では漢服を着る中国人も増えてきているらしい。

サーチナの記事(2020-08-31)

嘆かわしい! 民族衣装を継承できる日本人、ちゃんとできない中国人=中国報道

でも日本人とは違って、「日本の和服は正統なスタイルで現代にまで伝承されているのに、なぜ中国の伝統衣装である漢服は正統なスタイルで伝承できないのか」と中国メディア「百家号」がなげく。

 

漢服の一例

着物や浴衣に比べて、漢服は全体的にゆったりしている。

 

日本ではチャイナドレスが有名だけど、これは17世紀~20世紀初頭まで中国を支配していた満州人の伝統衣装で、漢民族のものではない。

 

中国人が漢服を着て街を歩くというのは、伝統を大事にしていて素晴らしいことに見えるけど、日本人が和服を着るのと比較すると「漢服は正統なスタイルで現代に伝承されていない」と中国メディアは不満を言う。

というのも、漢服を着る中国人の若者のなかには漢服の正統な着こなしを理解せず、安価で売られる漢服風の衣装に運動靴を履く人の姿も見られるからだという。

 

普通の中国人が漢服を着るようになったのは、最近のことだから歴史は短い。というか、ないも同然。
だから知識もなく、コスプレ感覚で着て写真を撮って楽しむ若者が多いから、そういう人は漢服の正統な着こなしなんて気にしない。
なんせスニーカーを履くぐらいだし、中国の伝統文化に敬意を払っているようには見えない。
この点が日本人とは違う。
見る人によっては、日本人も和服をちゃんと着こなしていないだろうけど、中国人目線だと「民族衣装を継承できる日本人、ちゃんとできない中国人」になる。

日本に「着物警察」がいるように中国にも「漢服警察」がいて、「漢服の正統なスタイルを守りたいという正義感から、漢服の着方、髪型や靴などの間違いを公衆の面前で指摘することがある」と記事にある。
それで漢服コスプレの若者と漢服警官の間でケンカになることもあって、それがいま問題になっているとか。

せっかく伝統文化を復活させる動きがあったのに、中国人の敵は中国人だったという中国らしいオチ。

 

おまけ

日本人が中国で漢服を着ることもあるらしい。

 

 

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1 個のコメント

  • >日本ではチャイナドレスが有名だけど、これは17世紀~20世紀初頭まで中国を支配していた満州人の伝統衣装で、漢民族のものではない。
    チャイナドレスの満州人こそ中国人の代表であるとも言える。経済面では、上海を中心とする漢民族エリアが明らかに中国での主流派をなしていると思いますが。北京なんかはどちらの所属なのでしょうかね?
    なお、現代標準中国語(=普通話≒北京官話)は中国でも北方系の民族(おそらく「中国語を学んだ満州族や金族」のことを指す)による話法が元になっています。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。