ほんじつ9月10日は「牛タンの日」。
この由来は「牛(9)とタン(ten)」の語呂合せというかなりの力技。
そしてきょうは「パンケーキの日」でもある。
これも強引で、縦に置いたフォークを「1」、丸いパンケーキを「0」に見立て、毎月「10日」はパンケーキの日となった。
これが許されるなら、何でも記念日にできてしまいそう。
いまや日本の国民食、といっていいほど親しまれているこの食べ物。
次の首相の(もう言い切る)菅官房長官もパンケーキが好物という。
ただしそれは3000円という、庶民には想像できないような伝説上の一品らしい。
パンケーキの歴史は古くて、小麦粉と水を練ったものを焼くというシンプルなものなら、その歴史は紀元前の古代エジプトにさかのぼり、当時エジプト人は神への捧げ物としてパンケーキらしきものを作っていたという。
紀元前5世紀の古代ギリシャ人が書いた詩には小麦粉、オリーブオイル、蜂蜜などで作ったパンケーキを朝食で食べたとある。
日本はどうかというと、外国人目線の英語版ウィキペディアにはお好み焼き・おやき・どら焼きがパンケーキの一種として紹介されている。
言われてみたらそうだけど、個人的には、特に長野と岐阜の名物おやきにはパンケーキの実感がまるでない。
冬季における米の代用食として各家庭に受け継がれ、お盆の毎年8月14日には仏前の供物として備える風習があった
どら焼きについては、
Dorayaki are a sort of sandwich made from Western-style pancakes and anko.
外国人から見るとあれは、西洋のパンケーキとあんこからできるサンドウィッチの一種らしい。
この猫型ロボットの好物の起源はハッキわからないけど、あんこが登場したのが鎌倉時代と言われるから、それ以降のはずだ。
どら焼きについてくわしいことはここをどうそ。
日本人は中国由来のいろいろな文物を、自分たちの好みや価値観に応じて独自に変えてきた。
例えば中国から伝わった紙(製紙法)を日本人は独自にカスタマイズして和紙をつくり、いまでは世界的に有名になって世界文化遺産にも登録されている。
日本文化の特徴は、海外から伝わったものを別ものつくりかえてしまう。そんな「魔改造」にある。
パンケーキもその例外ではなく、もれなく日本化されてしまった。
まえにリトアニア人が「東京での楽しみは、ジャパニーズパンケーキを食べること」と言うのを聞いて、はじめてそんなパンケーキがあることを知った。
欧米で日本のパンケーキは特別のものとして、ネットを中心にけっこう知られているらしい。
これが日本版パンケーキ
日本人が考案したパンケーキはアメリカのパンケーキの影響を受けたもので、分厚くてふわっとしているのが特徴だ。
The Japanese have also created a souffle style cooked in rings pancake inspired by American pancakes which is taller and fluffier, found in Singapore, Toronto, Australia and the UK.
上のおじいさんは戦前の日本を代表する東洋史学者で、「京大の学宝」とも呼ばれた内藤湖南(慶応2年 – 昭和9年)。
海外(中国)から伝わったものを独自に発達させるという日本文化の特徴は、江戸や明治時代の定説だったと内藤湖南は言う。
從來の日本の學者の解釋の方式は、日本文化の由來を、樹木の種子が最初から存して、それを支那文化の養分に依つて栽培せられた
「日本文化とは何ぞや(其一) 内藤 湖南」
*支那とは中国のこと。いまは侮辱語だからNGワード。
從來は従来、解釋は解釈、依つてはよって。
日本にははじめから文化のタネがあって、中国文化を養分として、日本風のものに変えていった。
パンケーキについてもアメリカのパンケーキを養分にして、日本独特のものを生み出した。
それ以前からあった、おやきやどら焼きを種子と言えなくてもない。
「つくりかえる」という日本文化の特徴は、基本的にはいまも変わっていないのだ。
森永ホットケーキミックスの公式キャラクター「ふわりーちゃん」。
ホットケーキ界の妖精で性格はツンデレ系。
こういう擬人化も日本人の真骨頂。
木や木などの自然物に命が宿る(神)という、神道の影響と無関係ではないとおもう。
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