【日中交流の歴史】古代日本は中国に学び、近代はそれが逆転

 

前回の記事で、人類の歴史を変えた中国の4大発明「紙・印刷術・火薬・羅針盤」に触れたんで、今回はそのオマケとして、日本と中国の交流の歴史について書いていこうと思うのだ。

中国人・米国人が選んだ、世界を変えた日本の発明の数々

 

「人類の発展に貢献した日本の発明品には何があるだろう?」と中国の人たちが考えとき、こんなものが思い浮かんだという。

顔文字や絵文字、グルタミン酸、インスタントヌードル、デジタルカメラ、ノートパソコン、電気炊飯器、フラッシュメモリ、カラオケ、青色LED、QRコード、リチウムイオン電池

たしかにこれらの発明品は中国人をはじめ世界中の人たちが使っていて、生活を快適に豊かにしているし、欠かせない必需品も多い。
でも歴史をみるとだね、古代においては中国の発明が日本の発展に貢献していたのだよ。

 

日本では昔から文字の読み書きのできる人が多く、庶民レベルでもそれができたから、江戸時代に来日した西洋人の中にはそこに母国との違いを感じた人はたくさんいる。

例えばドイツ人のヴェルナーはこんな信じられない思いをしたそうだ。

「民衆教育についてわれわれが観察したところによれば、読み書きが全然できない文盲は全体の1パーセントにすぎない。世界の他のどこの国が、自国についてこのようなことを主張できようか?」

 

ドイツの考古学者・シュリーマンは当時のヨーロッパと比較してこう言う。

「教育はヨーロッパの文明国家以上にも行き渡っている。シナをも含めてアジアの他の国では女たちが完全な無知の中に放置されているのに対して、日本では、男も女もみな仮名と漢字で読み書きができる」

*シナはと中国のこと。でもいまは侮辱語だからNG。

 

ギリシア神話にでてくる伝説の都市トロイアを発掘したことで世界的に有名なシュリーマン

 

日本人の識字率が高かった理由には、漢字より簡単な「かな」という民族文字を考案したことなどがあるけど、古代中国から紙(製紙法)と印刷術が伝来した影響はやっぱりデカい。
さらに言えばこれがなかったら、竹取物語や源氏物語といった平安文学や日本文化も生まれなかったか、まったく別ものになっていたはず。

江戸時代にシュリーマンが感嘆した「日本では、男も女もみな仮名と漢字で読み書きができる」ということにも製紙法と印刷術は大きくかかわっているし、明治の近代化では、基本的な読み書きのできる国民が多かったことが成功の一因となった。

その意味では、世界的な文明国だった中国の近くにいたメリットはとても大きい。
けど、文化や文明の流入は一方通行ではなかった。
そのきっかけを作ったのが、清朝末期の詩人であり外交官でもあった黄遵憲(こう じゅんけん:1848年 – 1905年)。

 

明治の日本に約4年間住んでいた黄 遵憲は多くの日本人の友人をつくって、積極的に交流をしていた。
清朝の改革には明治維新にならうべき点があると考え、康有為や梁啓超にも影響を与えた。
日中友好の橋渡しをした人物。

 

黄遵憲が日本に来て驚いたことのひとつが、中国は日本のことをほとんど知らないのに、日本は中国のことをよく研究していたこと。
著書「日本雑事詩」の中でこのギャップに触れている。

「日本とわが国は、わずかに一衣帯水である。かの国のことを書いた書物は、屋に積み棟に満ちている。それなのに、わが国でかの国のことを記したものは、ただほんのお笑い草の種だけであるのは、非常に嘆かわしいことである。」

約2000年の歴史の中では、遣唐使に代表されるように日本は中国からいろいろなことを学んで吸収したけど、あちらはこちらに関心がなかった。
16世紀の日本の朝鮮出兵で日本と戦ったときに、「豊臣秀吉ってやつ、中国人だってよ」「マジかー」みたいな感じで話題に上がったことがあるていどで、中国は自国を世界最高の文明国と考えていたから遠くの島国についてよく知ろうと思わなかったのだ。

 

でも近代に入ると、そんな余裕が吹き飛ぶ。
アヘン戦争でイギリスに敗れて大きな衝撃を受けた清にとって、近代化に成功した日本にはキラリと輝くものがある。
それで清朝から派遣された黄遵憲は「日本には学ぶべきものがある」と確信し、日本の理解に努めて、歴史上はじめて中国に本当の日本の姿を伝えた。

明治日本から中国人が吸収して、社会に大きな影響を与えたのがことば。
幕末・明治の日本人は、デモクラシーやカルチャーといった西洋の言葉を次々と漢字翻訳していった。
そんな日本語(和製漢語)にはこんなものがある。

文化、文明、民族、思想、法律、経済、資本、階級、警察、分配、宗教、哲学、理性、感性、意識、主観、客観、科学、物理、化学、分子、原子、質量、固体、時間、空間、理論、文学、電話、美術、喜劇、悲劇、社会主義、共産主義などなど。

これらのことばを使わなかったら、いまの中国でTV・新聞・ネットの報道はできなくなる。(ゼロとはいわないが)
いまでは社会になくなてはならないもので、「中華人民共和国」のほとんどはじつは“日本語”だったりする。
くわしくはこの記事を。

「中華人民共和国」の7割は日本語。日本から伝わった言葉とは?

ルネサンスの3大発明「火薬・印刷術・羅針盤」も起源は中国の発明だけど、ヨーロッパ人が改良して別ものにした。
その意味で「人民」と「共和国」は和製漢語の日本語といえる。

現代においては、インスタントヌードル、ノートパソコン、電気炊飯器、フラッシュメモリ、カラオケ、青色LED、QRコード、リチウムイオン電池などは中国人の生活に欠かせないし、中国製の服や家電製品を使う日本人は山ほどいる。
オマケに言えば、中国料理はいつの時代も日本人に人気がある。

 

ということで、古代においては日本が中国から学んで国を発展させて、近代ではそれが逆転した。
これからも好き嫌いの感情には流されず、お互いの良いところは積極的に吸収していきたいですね。
とキレイにまとめてみますた。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。