【日本文化】土俵にある青白赤黒の房は四神をあらわす

 

きょう9月21日というと敬老の日、国際平和デー、ファッションショーの日といろいろあるけど、今回は土俵を取り上げようと思う。

この日に大相撲の土俵で大きな変化があったのだけど、それは何か、江戸時代の相撲の絵といまの相撲の写真を比べて考えてほしい。

 

日本相撲協会のホームページ「相撲の歴史」のキャプチャー

 

出典:Peter 111

 

江戸・大正・明治・昭和の初期まで、大相撲の土俵には四方に柱があったけど、昭和27年(1952年)9月21日にそれがなくなって、現在のような吊り屋根になった。
これは取り組みを見やすくするためで、テレビ中継も意識したものらしい。

ということで9月21日は土俵から柱がなくなって、つり屋根になった日でした。
…で終わると、読者さんの大量離脱を招くので話をつづけよう。

昭和27年に4本の柱が取っ払われたと同時に、「残したもの」もあるのがおわかりいただけただろうか。
江戸時代にあった土俵の柱には青(緑)、赤、白、黒の布を巻きつけていたけど、柱がなくなったあとは、代わりに4色の房(細い糸をたばねて垂らしたもの)を屋根に取り付けた。

というのはこの4色には日本の相撲にとって重要な意味があって、東西南北を守る四神を象徴しているから。

青は東を守護する青龍
白は西を守護する白虎
赤は南を守護する朱雀(すざく)
黒は北を守護する玄武(げんぶ)

 

四神とは古代中国の神話にでてくる四方を司る霊獣のこと。

 

青く見えないけど青龍。
土俵では緑に見える房がこの霊獣をあらわす。

 

高松塚古墳に描かれた白虎

「東京都港区虎ノ門」という地名の由来は、江戸城の西にあった門が白虎にちなんで虎ノ門と呼ばれていたことにちなむと言われる。

 

赤い鳥の朱雀

平城京と平安京の入口(南門)は朱雀門と呼ばれた。
アニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』にでてくる日本人の枢木スザクの名前はこれから取ったと思われ。
でもこのスザクは南の方角ではなくて、ブリタニアの皇女ナナリーを守護する騎士となった。

 

復元された平城京の朱雀門

 

 

四神の中で、個人にはいちばんグロテスクに見えるのがこの玄武。
玄は「黒」という意味で、霊獣の玄武には亀に蛇が巻き付いた姿のものが多い。(しっぽが蛇になっているバージョンもある)
これも主観だけど、四神の中でもっとも興味を引かれるのもこの玄武。

玄武は、(北にある)冥界と現世を往来して、冥界にて(亀卜=亀甲占いの)神託を受け、現世にその答えを持ち帰ることが出来ると信じられた。

玄武 

玄武岩の名称はこの霊獣に由来する。

 

兵庫県にある玄武洞公園

 

21世紀のグローバル社会のいま伝統行事も神事も、時代に応じて変えていけばいいってもんじゃない。
これをなくしたら本質を失う「コア」の部分は必ず守らないといけなくて、大相撲のばあい、テレビの「見栄え」を気にして柱を全部取ってもいいけど、土俵を守護してくれる4つの神獣は残さないといけなかったのだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。