【アメリカの多様性】コロンブスデーを祝う人・背を向ける人

 

きのう10月12日は「とう(10)にゅう(2)」で「豆乳の日」になっている。
日本ではそんな何でもない日だけど、世界中の人種や宗教の人たちが集まる多民族国家のアメリカで10月12日は「コロンバス・デー」(コロンブスの日)だから米国らしい多様性がよく表れる。

数十年前の日本の教科書でコロンブスはアメリカ大陸を「発見した」と書いてあったけど、これはヨーロッパ人社会からの見方で、「新しい大陸や人間を発見した」というような言葉は失礼だからと、最近の教科書ではアメリカ先住民に配慮し、「到達した」といった中立的な表現になっている。

ちょっと前の日本のテレビ番組では「第一村人発見!」なんて言っていたけど、いまでも同じなんだろうか。

 

1492年10月12日にコロンブスがアメリカ大陸へ到着/発見したことから、コロンブスと同じ出身国であるイタリア系アメリカ人が1866年10月12日に、ニューヨークで初めてこの日に彼の偉業を祝った。
それからこの日はアメリカの祝日となっている。
…と思っていました。このまえアメリカ人と話をするまでは。

 

2年前、ニューヨーク市で行われたコロンブスデーのパレード

 

英雄で侵略者のコロンブス

 

ヨーロッパに新世界を紹介して富をもたらす一方、アメリカ大陸のネイティブ・アメリカンにとってはまさに悪魔。

再び殺戮の船旅に出たコロンブスは、スペイン人の持ち込んだ病いに倒れ、非武装だったインディアンの村々を徹底的に攻撃し、数千人単位の虐殺を指揮した。コロンブスの襲撃戦略は以後10年間、スペイン人が繰り返した殺戮モデルとなった。

クリストファー・コロンブス

 

「そういや、もうすぐコロンブスの日だな」と思って、アメリカ人と話をしているときにこの話題をだしたら、コロンブス・デーは全米の祝日というわけではなく、州ごとに扱い方が違っていて、どの州がどう対応しているのかアメリカ人の自分でも分からないという。

いろんな人間が集まるアメリカは、日本と違って多種多様な価値観や見方がある。
それに日本の都道府県と違って、連邦制のアメリカでは州に強い自治権が認められている。
コロンブス・デーについて見てみると、盛大なパレードを行うところもあれば、ハワイ州、アラスカ州、オレゴン州、サウスダコタ州はこの日を祝日と認めていない。きっと平日。

ハワイではポリネシア人がハワイを発見したということで、10月の第2月曜日を「Discoverers’ Day 」(発見者たちの日)として独自に祝っているし、サウスダコタ州では「コロンブスの日」ではなく、逆の視点から「ネイティヴ・アメリカンの日」としてこの日を州の公式休日にしている。
*「ダコタ」はインディアンの部族・ダコタ族の「ダコタ(仲間)」という言葉に由来する。

 

なんせアメリカは広大な国で、カルフォルニア州だけで日本と同じぐらいの面積があるのだ。
そのカリフォルニア州ではコロンブス・デーを州の公式な休日と認めているけど、カリフォルニア州のバークレー市はこの日を「Indigenous People’s Day 」(先住民の日)として、コロンブスの“偉業”を祝うことを事実上、拒否している。
そんな市はカルフォルニア州でバークレー以外にいくつかある。

 

ひとりの人物に対する見方が、ここまでバラバラに分かれるというのはさすが多様性の国・アメリカ。「豆乳の日」とはワケとスケールが違う。

以下、空想。

13世紀の元寇でもし日本が負けていて、モンゴル人に支配された状態で新しい日本が始まっていたらどうなっていたか?

700年後のいまごろは支配する側とされた側、両者の混血などの立場の違いによって、元寇と新支配者に対する見方が分かれていて、まとまりにかける日本になっていたかも。
そんな面倒な事態を防いでくれた、鎌倉武士と神風には感謝しかない。

 

おまけ

オレゴン州のポートランドで抗議デモの参加者が暴徒化し、リンカーン元大統領やルーズベルト元大統領の銅像を倒して商店を破壊したという、米CNNのニュース(2020.10.13)をいま見つけた。

この日は「コロンブス・デー」の祝日の前日に当たり、「先住民の怒りの日」の抗議デモが開かれていた。

リンカーン像とルーズベルト像を引き倒す、「先住民の怒り」デモが暴徒化 米

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。