きょう10月31日、台湾人の間ではSNS上にこんなメッセージが飛び交っていた。
「萬聖節快樂🎉🎉」
萬聖節はハロウィーン、快樂は「おめでとう」の意味でこれは「ハッピーハロウィーン」を台湾の言葉にしたもの。
簡略化された漢字の中国語だとハロウィーンは「万圣节」となったり、これは面白い表現だなと思ったけど、「西洋鬼祭り(西方鬼节)」という言い方もある。
くわしくは中国のハロウィンを参照のこと。
国際化の時代になって西洋文化がどんどんドンドン中国社会に浸透している証拠だけど、でもこれがとつぜん政府によって、「ハロウィーン禁止!」となることがあるのが中国という国。
ちなみに日本では「ハロウィン」と「ハロウィーン」の2つの言い方があるけど、どっちも正解。
1950年代にあった「ハロウェー」はいまでは論外として、原音[hæ̀louíːn]に近いのは「ハロウィーン」だからメディアはこの呼び方を使っている。
なのでここではハロウィーンと言うことにしよう。
いまでは日本で大火葬、おっと大仮装大会と化したハロウィーン。
西洋由来のこのイベントの起源は古代アイルランドにあるといわれる。
現代のハロウィーンの元をたどっていくと、アイルランド語で「夏の終わり」を意味する祭り「サウィン」に到達する。
1000年以上前のケルト人は収穫が終わると、たき火をたき、ごちそうを食べてお祝いをしていたのだ。
そんなケルト文化とハロウィーンの関係について、アイルランド大使館が分かりやすく説明している。
#ハロウィーン 発祥の地 #アイルランド から、ハッピー・ハロウィーン🎃👻! Oíche Shamhna Shona Daoibh! pic.twitter.com/RIoTinvyWf
— アイルランド大使館 Ireland in Japan (@IrishEmbJapan) October 31, 2019
この動画で出てきた「ケルト人の時代、サウィンには死者の魂が家に帰ってくる」という説明が中国の「西洋鬼祭り(西方鬼节)」にあたる。
日本で「鬼」というとツノがあって虎皮の腰巻きを付けて、こんな金棒を持ったモンスターのことだけど、中国語の「鬼」はそうではなく、人が死んだあとの魂のことをいう。
だから日本でいう幽霊や亡霊が中国の鬼になるのだ。
中国ではこれが鬼
古代ケルト人はサウィンになると、この世とあの世を分ける「壁」が弱まり、死者の魂が墓からよみがえって現世に現れて自宅に戻ると信じていた。
この魂は幽霊や妖精、ゴブリン、悪魔の姿をしていて、家を訪れたそうした恐ろしいモノたちを怒らせないよう、人々は食べ物や飲み物を提供して、同時に自分も不気味な姿に変装して身を隠していた。
このへんのことは駐日アイルランド大使館のホームページにくわしい情報がある。
(ただしオール英語)
Ambassador of Ireland wishes everyone in Japan a Happy Halloween!
ということで、ハロウィーンのルーツは収穫期の終わりを祝う古代アイルランドの祭りにある。
ただ、あの世にいた死者の魂がリアル社会の自宅に帰ってくるというのは、中国でいうと「鬼」(霊・悪霊)が現世に戻ってくるのと同じだから、「西洋鬼祭り(西方鬼节)」という表現になる。
日本では田植えが終わってひと段落ついて、お盆になると地獄のフタが開いて、あちらの世界にいた魂(霊)がこちらの世界にやってくると言われる。
だからお盆とハロウィーンの発想は根本的には同じで、中国語だと日本のお盆は「東洋鬼祭り」になる。
ということはないけど、いま辞書で見たら中国語でお盆は「盂兰盆」とか「会托盘」と書くようだ。
でも中国語で「東洋」(东洋)とは日本を指すから(日本人=東洋人)、お盆を「東洋鬼祭り」と書いても意味は通じる気はする。
よかったらこちらもどうぞ。
>お盆になると地獄のフタが開いて、あちらの世界にいた魂(霊)がこちらの世界にやってくると言われる。
そうでしたっけ?
ただ単に、「ご先祖様の里帰り」じゃなかったでしたか? 少なくとも私は祖母からそう教わりましたけど。
そうでないと、地獄へ落とされなかった「極楽に成仏したご先祖様」は、帰ってこれないことになるじゃないですか。
>でも中国語で「東洋」(东洋)とは日本を指すから(日本人=東洋人)
つまり、中国から見て「東の海に住んでいる者」だから「東洋人」ですよね。「小東洋人」とか「小東洋鬼子」という言い方もありますね。この場合の「鬼子」は「化け物」という意味の侮蔑語ですが。
>ただ単に、「ご先祖様の里帰り」じゃなかったでしたか?
インターネットで調べたらわかりますよ。難しいことではないので。