日本のシンボルで静岡県民の自慢といえば、富士山しか思い浮かばない。
この日本一の山はむかしから全国に知られていたから、北海道の蝦夷富士、福島の会津富士、東京の八丈富士みたいに、日本の各地に富士山にちなんで名付けられた山がある。
ということは、本来付けられるはずだった固有の名前がないということだから、そろそろどっかの山が噴火するかも。
富士山はてっぺんに雪をいただいたときが特に美しい。
その姿は日本人・外国人を問わず魅了するから、明治時代のイギリスの外交官(たぶん)ミットフォードはあるとき見た光景をこう書いた。
午後のひととき、公使館のまわりをぶらぶらと歩いていると、不意に、水平線からなだらかに優美な曲線をえがき、白雪をいただく円錐形の山頂がくっきりと天空にそびえ立つ雄大な富士山の全容が、私の目に映った。私は名状しがたい強烈な興奮に駆られた
「日本絶賛語録 (小学館) 村岡正明」
修学院離宮の庭にある富士山を模した石
本物の富士山を見ることのできなかった天皇が、この石を富士山として見ていたという話を修学院離宮のガイドから聞いた。
ではここでクエスチョン。
いまから書く文の中で一か所、間違っているところがあるからそれを見つけてほしい。
日本を象徴する富士山は国民の関心も高いから、そこに雪が降るだけで全国ニュースになる。
ことしは平年より2日、去年よりも24日早く山頂で雪が観測された。
NHKニュース(2020年9月28日)
28日は朝から晴れて雪が積もっている様子が確認されたとして、気象台は、初冠雪が観測されたと発表しました。
富士山で初冠雪 平年より2日 去年より24日早く
ではここまでで、間違いがあったことに気づいただろうか?
答えは「雪が降る」ってとこ。
ことしはそれがいつか調べてみたけど見つからない。
冬になってから初めて降る雪を初雪、そしてその冬の最後に降った雪を終雪と呼ぶことになっている。
でも、富士山は一年じゅう雪の降る環境にあるから、「初雪(終雪)は〇月〇日だった」と判断することは激しくむずかしい。
というかムリだから、初雪の正確な日は発表されないのだろう。
人間がふもとから見て、山頂に雪が積もっているのが確認できたら「初冠雪」となる。
では、その1週間前のNHKニュースを見て混乱してほしい。(2020年9月21日)
富士山「初雪化粧宣言」去年より約1か月早く 山梨 富士吉田
初雪がいつかは謎だけど、9月21日に富士山の「初雪化粧宣言」が出されて、28日に「初冠雪」が発表されたことはハッキリしている。
では、富士山の初雪化粧と初冠雪はいったいどう違うのか?というと、それは発表する機関が違う。
初雪化粧宣言は「よし!山頂で雪を視認」と富士吉田市が確認したら発表して、初冠雪は「山頂で雪を視認」と甲府地方気象台が確認したら発表するのだ。
内容は同じだけど確認する人(機関)が別だから、発表する日も違う。
初雪化粧宣言は観光PRなどを目的に富士吉田市が独自に発表するものだから、こういうことになる。
「いやいや、紛らわしい。どっちかに統一しろよ」とツッコみたくなる人は全国にいるのでは?
日本各地にある「〇〇富士山」だったら、山頂の雪についてここまでの細かい違いはないだろうし、全国ニュースになることもない。
結局これは、それだけ日本人が富士山が好きで、関心があるということの表れだ。
こちらもどうですか?
>日本のシンボルで静岡県民の自慢といえば、富士山しか思い浮かばない。
いやいや、大井川上流の水源があるじゃないですか。何としても減らないように死守するのでしょ。
将来「21世紀初頭、日本の経済復興を妨げたのは静岡県民であった」などと言われなければいいのですがね。
大井川上流の水源を日本のシンボルと言ってくれる日本人がいたら嬉しいです。