日本の象徴、富士山を見て外国人はどう思うのか?
昭和のはじめごろに富士山を見たキャサリンという外国人女性はこんな感想を記した。
富士山はむしろ夢であり、詩であり、インスピレーションです。久しぶりに見た瞬間、心臓が止まってしまいました。それほど美しいのです。富士山が日本人の想像力と美的感性に強い影響を与えている理由がよくわかります。
「逝きし日の面影 (平凡社)渡辺 京二」
静岡県民のボクとしては万感の思いで誇らしい。
いままで欧米人、東南・南・中東のアジア人、カリブ人(トリニダード・トバゴ人)の外国人を連れて富士山を見に行ったことがあるけど、これに感動しなかった人はいない。
いまや富士山はボクの中では、四百戦無敗のヒクソン・グレイシーと同じ地位を確立している。
このまえ11月30日にもリトアニア人、ロシア人、タイ人、ベトナム人2人と富士山を見に愛鷹山へ行ったから、今回は彼らの反応を中心に書いていこうと思う。
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2016/06/m.png?resize=251%2C178&ssl=1)
高速道路を走行中、こんな富士山があらわれると、にぎやかな車内から「おお~っ」という声が上がって写真撮影が始まった。
外国のスマートフォンは撮影音がしないから、打って変わったように車内が静かになる。
遠足気分でやかましかった外国人から一瞬で言葉を奪うなんてさすが。
このときロシア人が富士山を「とてもユニーク(独特)」と表現する。
海外の山となにが違うかたずねると、そのロシア人が見たノルウェーやロシアの「高い山」というのは、山脈に連なった山の1つで、富士山のように巨大な単体としては存在していなかった。
他の外国人もこの感想に賛成。
ベトナムやタイにも高い山はあるけど、これほど大きくてきれいな三角を描いている山を見たことがないと言う。
リトアニアは平原の国で山といえるほどの山はない。
そんな彼らの話を聞いていて、富士山の由来を思い出した。
大和言葉(むかしの日本語)で「ふじ」とは裾(すそ)が長いことを意味していて、そこから「ふじさん」と言われるようになったという説があるのだ。
富士山より高い山なら、海外にも山ほどあるけど、稜線の美しさなら富士山はきっと世界屈指のレベル。
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2019/12/78688172_282009049400159_1626237075403571200_n.jpg?resize=300%2C200&ssl=1)
富士山は日本の代表的なアイコンで、シンボルにもなっている。
でということで、外国人に母国のシンボルをきいてみた。
みんなあんまり考えたことがなかったらしく、ちょっと考えてからロシア人は「熊」、タイ人は「象」、リトアニア人は「動物かな?たぶんキツネ」、ベトナム人は「ハスの花と一柱寺(仏教のお寺)」と言う。
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2019/12/964a6dcdb870e5d86870c64993d7d5f7.jpg?resize=300%2C212&ssl=1)
愛鷹山を約7時間あるき回って浜松へ戻ったあと、グループチャットで今回のハイキングの感想をきいたら、みんな富士山が最高だったと言う。
リトアニア人は上の写真と一緒にこんなメッセージを書く。
「it’s hard to choose 10 other photos, because the red Fuji beats them all」
夕日を浴びた富士山はとても素晴らしくて、この日に見た他のすべてを打ち負かすという。
ベトナム人にとっても、赤富士が今日のベストだった。
「I agree, Fuji is the best of course. I also like the wildlife and tiny stuff along the road.」
リトアニア人が上の写真を自分のSNSに投稿すると、友だちがこんな感想を送る。
「Norėčiau tokio namie」
(私はこれを家で欲しいと思います)
「Kaip gražu」
(なんて美しいの)
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2019/12/78748002_347964362739920_4229640882082545664_n-e1575238581593-300x154.jpg?resize=300%2C154&ssl=1)
ベトナム人がこの写真をSNSに投稿すると、友だちからこんなメッセージが寄せられた。
「Cảnh đẹp tuyệt vời」
(なんて美しい景色)
「Hình này bạn tự chụp đó hả?」
(この写真, 自分で撮ったの?)
夢や詩やインスピレーションかは分からないけど、令和のいまでも、富士山がそれほど美しいことに変わりはない。
おまけ
富士山にはじめて登った外国人はオールコックというイギリス人。
イギリス初代駐日公使だったオールコックは幕末の1860年に、みごと富士山登山をやってのけた。
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> 「ふじ」とは裾(すそ)が長いことを意味していて
その話は知りませんでした。
富士とは「不二」、つまり同じものが2つとしてない唯一のものという意味だとばかり思っていたので。
富士山が、他の国の高山のように山脈や連峰の中ではなく、独立峰である理由の一つは、ユーラシアプレート、北アメリカプレート、フィリピン海プレートという3つのプレートが重なるプレート境界のちょうど三重交点に位置するという世界でも珍しい地理的条件によります。ただしそれだけに、火山活動は活発であり、その姿は(地質学的な時間スケールでは)あまり安定したものではありません。
現在の美しい姿を少しでも長く保持したいのであれば、入山料をきちんと取るなどして財源を確保した上で、トイレ整備やゴミ撤去その他環境保護活動をしっかり行うべきでしょう。そもそも、誰でもいつでもどこにでも勝手に入山できるようにしておいて毎年あんな多くの観光客が押し寄せるままにしていれば、自然環境の保護なんかできっこない。自国の代表的な自然遺産をも守れないとは先進国として恥ずかしい。
「ふじ」という言葉が先にあって、あとから漢字がきました。
不二さんや不尽山などがあって、富士山に落ち着きました。
これについてはまたくわしく書こうと思っています。
富士山のごみ問題はたしかに恥部ですね。
増加する登山客に対策が追い付いていません。