【文化強国の韓国】“品格”を気にするなら、日本に仏像を返そう

 

「これほど惨めなことが他にあろうか」
「このような文化的大惨事は今回が初めてではない」
「あまりの悔しさと佗びしさで思わず涙が出た」

と韓国の美術史学科の教授ユ・ホンジュン氏が、全国紙・中央日報のコラムでなげいている。(2020.12.24)

【コラム】文化財鎖国が国の品格を落としてしまっている=韓国

 

世間はクリスマスイブだというのに、教授は韓国の品格を気にして怒りをあらわす。
そのワケは韓国の文化財に対する欧米諸国の評価があまりにも低く、“正当な扱い”を受けていないから。

たとえば世界的な有名なドイツのペルガモン博物館の3階にある東アジア館を見ると、韓国室の大きさは中国室や日本室の10分の1しかない。
しかも韓国室は中国室の末席に「添え物のように」作られているという。
そしてペルガモン博物館の見方は容赦ない。

それも展示遺物としては質が低いため現代美術プロジェクトとして展示するところだという。

 

35年前にはニューヨークのメトロポリタン博物館でも大きな中国室と日本室に比べ、「韓国の遺物が廊下にみすぼらしく陳列されている」のを見て悔しい思いをしたし、大英博物館でも韓国の文化財は廊下に陳列されていたという。

世界的な博物館で韓国文化がこんな扱いを受けていることから、「これほど惨めなことが」、「文化的大惨事」、「思わず涙が出た」と書いたあと教授はこう訴える。

なぜわれわれが遺物とお金を捧げて韓国室を作ってほしいと頼み込まなければならないのか。彼らが自ら東アジア文化史で韓国の地位にふさわしい扱いをするのが当然ではないだろうか。

 

「韓国の地位にふさわしい扱い」の考え方が教授と世界ではかけ離れているようだ。

ただ韓国内には素晴らしい美術品があるのだけど、国の規制で海外への持ち出しがすごくむずかしいという。
それが「文化財鎖国」の状態で、これが国際社会での韓国の品格を落としていると指摘する。
だから規制をゆるめて韓国の文化財が海外に出ていきやすくすることで、「韓流の国・大韓民国が歴史と伝統でも文化強国であることを堂々と証言できるようにしなければならない」というのがユ・ホンジュン教授の意見。

第三者の立場から言わせてもらうと、「なぜわれわれが遺物とお金を捧げて韓国室を作ってほしいと頼み込まなければならないのか」と怒るより、展示室の大きさで日本や中国と競うのを止めればいい。
と思うのだけど、でもそれは韓流の国・大韓民国の、文化強国としてのプライドが許さないのだろう。
まぁこれは韓国の問題だから、韓国さんにがんばってもらうしかない。

 

 

でも、こっちはそうはいかない。

中央日報の記事(2020.12.21)

対馬観音寺「盗難された高麗仏像関連の韓国裁判所裁判に参加」

2012年に韓国人窃盗団によって、対馬のお寺に安置されていた仏像が盗まれる事件が発生。
そらから8年たったいまでも、数億円の価値があるといわれるこの仏像は日本に返ってこない。
本来なら犯人逮捕のあと速やかに戻ってくるはずだけど、その国際常識が通じなかった。

それは数百年前に日本に略奪されたものだと韓国の寺がとんでもない主張をはじめると、事実は小説より奇なり、韓国の裁判所がそれを認めてしまった。
それで日本への返還が拒否さて、いま日韓の外交問題となっている。

このときメディアが反日世論をあおったことも影響しているはずだ。

浮石寺(プソクサ)が、「観音寺の銅造観世音菩薩坐像は、元々倭寇に略奪された仏像である」と主張して返還しないよう求め、韓国の主要メディアも、元は日本による略奪だったので返還する必要はないとの論調で報じた。

対馬仏像盗難事件

 

これこそ「文化的大惨事」では?

日本のお寺(観音寺)の側に立っていま裁判で争っているのが韓国政府で、観音寺に裁判への参加を呼びかけ、寺がそれに応じたというのが中央日報の記事。
韓国政府は判決に不服で仏像を日本へ返還するよう求めているから、“共闘”を持ちかけたことになる。
日本政府も動いてほしい。

 

 

文化財について「国の品格を落としてしまっている」となげくなら、まず先にこの問題を解決しないと。

「盗まれた物が返ってこない」という前例ができたことで実際このあと、日本国内の博物館は韓国への文化財貸し出しを拒否するようになった。
2018年には特別展「大高麗展」を開催するために韓国の国立中央博物館が、東京博物館へ高麗時代の仏像や仏画のレンタルを申し出たけど拒否された。
理由は明白。

東亜日報の記事(2018/10/16)

「レンタル後、安全に返してもらえる根拠を示してほしい」という日本側の要求を満たせなかったためだ。 (中略)このような雰囲気は、2012年に対馬で発生した高麗仏像盗難事件が決定的な影響を及ぼした。

日本、高麗遺物の貸出を拒否

 

貸したら戻ってくるか分からない相手に、重要な物を預けることはできない。
中央博物館は韓国で最大の博物館なのに、なんでその保証ができないのか。博物館も韓国社会を信用していないということか。

こんな様子をみて、韓国への貸し出し拒否は世界的な流れになっている。

その後韓国文化財を所蔵している海外の博物館や美術館は、遺物が韓国に行けば差し押さえられかねないという不安のため、展示貸出を避けているのが現状である。

 

韓国に文化財を貸すと、国内で押収されて返ってこないかもしれない。
世界の博物館や美術館にそう思わせる前例はある。

海外の有名博物館で韓国文化財の展示スペースが日本や中国より小さいと、「惨めなこと」や「思わず涙が出た」、「韓国の地位にふさわしい扱いをするのが当然ではないだろうか」と不満や悔しさをにじませる。
この感覚は日本人とは決定的に違うし、「国の品格を落としてしまっている」というポイントも日本人と大きくズレている。

そのへんの違いは仕方ないとしても、韓国が「文化強国であることを堂々と証言できるようにしなければならない」というのなら、まずは盗んだ物を本来の持ち主に返すことから始めよう。
カエサルのものはカエサルに」は世界の常識だ。

仏像が戻ってこなくて悔しい思いをしている高齢の住職に、“もしものこと”があったら日韓関係に悪影響を与えることは必至。

 

 

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1 個のコメント

  • >「カエサルのものはカエサルに」は世界の常識だ。

    一方、「カエサルのものは返さざる」が常識ですから。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。