日本語を学ぶ外国人の前に立ちはだかる巨大な壁、それが漢字。
たとえば「行」という文字を前にしたら、前後の状況からイ、ユ、ギョウ、コウ、オコナといった読み方を使い分けないといけないのだから、外国人にとっては敵に応じて武器を変えるようなもの。
だから漢字は日本語学習のラスボスと言っていい。
そのほかでは「数の数え方が複雑ですよ~」と言うもよくいる。
日本語には「イチ、ニイ、サン…」という中国式の数え方と、「ひい・ふう・みい…」という日本の伝統的な数え方の2種類があって、日常生活ではこれがミックスされているから外国人にはその判断がむずかしい。
1月1日は「イチニチ」ではなくて「ついたち」、2日は「ニニチ」ではなくて「ふつか」と「日」の読み方さえ変わってしまうから外国人にはむずかしい。
ことしの10月から日本企業で働き始めたベトナム人は、1日に「イッピ」という読み方があるのを知って日本語の奥深さを知ったという。
そんな数の読み方について、インドネシア人から前にこんな質問をされた。
「日本では10日を「とおか」、20日を「はつか」といいますけど、30日は「みそか」ではなくて「さんじゅうにち」といいます。なんで30日は違うのですか?」
このインドネシア人は1月10日を「ジュウニチ」と言ったら日本人から「トウカが正解」と訂正され、1月30日を「ミソカ」と読むと、今度は「サンジュウニチが正しい」と訂正されて不思議に思ったらしい。
*彼は日本語クラスで「みそか」という単語を知った。
たしかに「三十路(みそじ)」のように30を「みそ」と読むことはあって、「みそか」を漢字変換すると「三十日」が出てくる。
でも、30日は「サンジュー」と言うのが普通。
なんでそれが普通になったのかというと、「みそか」は月の最終日である「晦日」も表すからだろう。
その月の最後の日が29日でも30日でも31日でも、すべて晦日になるから「みそか=30日」と覚えると混乱するのでは?
月の終わりの日が「みそか」で、一年の最後の日はそれに大を付けて「大晦日(おおみそか)」となったわけだ。
この日に食べる「年越しそば」の起源は、江戸時代に商家が月の末日にそばを食べていた「三十日蕎麦」(みそかそば)といわれる。
ちなみに大晦日の前日、12月30日を「小晦日」という。
読み方は「しょうみそか」ではなくて、「こつごもり」だから日本語はホントにむずかしい。
大晦日の日には、日本人にとって重要な「大祓」(おおはらえ)という行事がおこなわれる。
最後の日に心身の穢れを払い落とすことで、キレイな状態で新年を迎えることができるのだ。
大祓では茅の輪という輪をくぐるのがお約束。
おまけ
このあと日本語を学ぶ韓国人から、「110番はなんで「ひゃくじゅう」ではなくて「ひゃくとお」と読むのか?」という質問をもらった。
もちろん分からない。
反論できる?「日本人が、外国人の日本料理をインチキと言うな!」
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