【かわいそうな大根】日本での歴史・和名・いろんな表現

 

2月17日は「千切り大根の日」。

千切り大根が2月によくとれることと、「千」の字を「二」と「1」に分解し、さらに「切」の中にある「七」を合わせて2月17日をこの記念日をつくったらしい。
もう、言ったもん勝ち。
ということで今回の主人公は冬野菜の代表格・大根だ。
コンビニのレジでおいしく待機しているあの白いヤツ。

日本人とこの野菜の付き合いはとても長い。
大根は弥生時代に日本へ伝わったとされ、奈良時代に書かれた『日本書紀』には仁徳天皇の歌で大根が「於朋泥」(おほね)がとして出てくる。
大根についてはこれが日本最古の記録だ。
古い日本語(和名)は「大根(おおね)」で、これが音読みされるようになって現在の「ダイコン」となったという。
つまりいまの日本人の言う「ダイコン」は中国語読みだから、いなくなってしまった「おおね」のこと、時々でいいから……思い出してください。
このおおねが一般的に食べられるようになったのは、江戸時代になってからのこと。

その後、日本は世界的な大根大国へと成長した。
世界一大きくて重い大根として桜島大根、世界一長い大根として守口ダイコンがそれぞれギネスブックによって認定されている。

 

 

大根は日本人の食文化だけではなく、ことばの世界も広げてくれた。
以下、大根が使われた代表的なことばをみていこう。

・大根足

女性のふっとい足をやゆしてこう言うことがある。
でもいまの時代ふつうは「女性蔑視!」とたたかれること必至な、かなりハイリスクなことばになっている。

 

・大根役者

消化の良い大根はとても優秀で、いろんな調理をしても食あたりになることがめったにない。
「あたらない」ことから、どんな役を演じても当たらない(ヒットしない)役者を「大根役者」というようになった。
このほかに演技のヘタな素人同然の役者を、白い大根にひっかけてこう呼ばれたという説もある。
でも、一般的には言われる「大根役者」の由来は前者だ。
ちなみにフグの毒もめったにあたることがないことから、大阪でこの魚は「テッポウ」と呼ばれている。

 

・大根バッター

なかなかヒットやホームランを打てない野球の打者を同じ理由で「大根バッター」と言う。
でも最近、このことばはあまり耳にしないような。

・大根切り

大根バッターと関係してるか知らんが、極端なダウンスイングを野球界では「大根切り(打法)」と呼ぶ。
ゴルフ界にも、変な方向に球が飛んで行ってしまう「大根切り」という悪打ちがある。
「大根切り」は基本ダメだけど、バンカーショットなどでは有効なこともある。
いつもはヘタレでも特定の状況になると強みを発揮するという人物は、マンガのキャラ設定では重宝される。

 

 

・大根を正宗で切る

正宗(まさむね)は鎌倉~南北朝時代にいた伝説的な刀工。
日本の刀剣史上もっとも有名な人物で、遠慮なく「日本刀の神」と言っていい人。
正宗のつくった刀は東京国立博物館で数年に一度展示されるレベルで、見る人が見たら拝みだすかもしれない。
そんな名刀でそこらにある野菜を切るという「大根を正宗で切る」は、やり過ぎや大げさなこと、または優秀な人にくだらない仕事をさせるといった意味になる。
アニメでたとえるのなら、駆け出しの新人冒険者にいきなりラスボスをぶつけるようなもので、現実世界でいうなら、町内会のイベントでアリアナグランデを呼ぶようなものだ。
「君にそんな仕事をさせるなんて、大根を正宗で切るようなものだ!」とかいつか言われてみたいセリフ。

 

本日のまとめ

弥生時代に来日した大根、和名の「おおね」はもはや死語。
日本語の表現をみると日本人は大根に対して伝統的に、不格好、へたくそ、使えない、高級の反対側にあるものといったイメージを持っているらしい。
それだけ庶民的で身近ということでもある。
でも、全国の大根はたまには怒って食あたりを起こしてやって、人間どもにありがたみを知らしめてもいい。

 

 

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5 件のコメント

  • >演技のヘタな素人同然の役者を、白い大根にひっかけて・・・
    確か、素人同然の役者は「白粉を塗って真っ白な顔や手足をさらして突っ立っているだけ」なので、それが「大根を並べたように見える」からであると、聞いたような気もするのですが。

    >極端なダウンスイングを野球界では「大根切り(打法)」と呼ぶ。
    昔のマンガ「巨人の星」で、主人公・星飛雄馬(←すごい名前だなぁ、キラキラネームの元祖?)が投げる大リーグボール3号に対し、かつての大親友・相方から中日へ移籍しライバルとなった伴宙太がそれを攻略すべく採用したのが「超大根切り打法」でした。でも結局、その打法ではかすりもせず失敗でしたけど。あーなつかしい。

  • ところで、
    > 【かさいそうな大根】
    って、どういう意味ですか? もしかして「かわいそう」の間違いでしょうか?
    でも、このブログを読んでも、さほどかわいそうとは思えないのですが。

  • 大根足も昔はほめ言葉だったらしいので、万が一くちがすべったときは「白くてスラっとしてるから」とごまかしてください。ムリだけど

    タイトルかさいそうな大根になってます。コメじゃないので消してください

  • そうなんですよね。平安時代のころの大根は細かったらしいです。
    タイトルの件はすみません、すぐに直しました。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。