ニューヨークで1908年3月8日、参政権のなかった女性が「労働条件をもっとよくしろ!」とデモを行った。
これを知ったドイツの社会主義者がこの日を「女性の政治的自由と平等のためにたたかう」記念の日とするよう提唱したことから、3月8日は「国際女性の日」(International Women’s Day)となる。
ということで今回は、最近の日本であった3つの“女性蔑視”騒動をみていこう。
東京五輪・組織委員会の森会長が先月、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」と発言して「女性蔑視だっ!」と袋叩きにあって、“元”会長となったのは周知のとおり。
これは、「真意を伝えきれなかった」では済まされない完全アウトな案件だ。
でも、「嫁」はどうだろうか。
同じく先月、俳優の松山ケンイチさんがテレビ番組で「髪が伸びてしょうがない時は自分で切ってる。あと嫁に切ってもらってる」と言ったところ、この発言がネットで批判を浴びて話題になった。
「女+家」でできる嫁は、両親が息子の結婚相手(妻)に対して使うことばで、新しくその家族に迎え入れられる女性という意味がある。
でもいまでは、「昨日うちの嫁に怒られました」と夫が言うようなカジュアルな表現になっている。
これを“女性蔑視”とみる人はこう言う。
・妻のことを嫁というのが、どうも個人的にだめ。嫁って…
・嫁という間違った言葉を広めないでもらいたい
・嫁って言ってほしくなかったなぁ
・この発言はマズかった。「嫁」なんていったものなら、日本女性から袋叩きに合うのが今の日本ですよ
これに対してノープロブレム派は、
・関西人が嫁呼びするから下品さがアップしてんだよなw
・普通ワイフだよね
・またピラニアが餌見つけたんか
・妻ってなんかよそよそしい
嫁の方がちょっと照れてて嬉しそう感が出て親しみがもてる
政治家のように重い社会的責任のある人間の発言ならともかく、芸能人がプライベートで使うことばなら、当人同士が納得してたらそれでよし。
他人がどーこー言うべきじゃない。と言ってもネット社会でそれは無理だから、興味のある人たちで議論するのもよし。
ところで以前、嫁や家内という呼称をやめて、互いに敬意をもって「妻さん」「夫さん」と呼びましょう、と呼びかけた市民団体がいたけど、その後はさっぱり聞かなくなった。
社会を変えるためには「正しい価値観」を強調するだけではダメで、やっぱり人びとの共感や支持を得ながらでないとうまくいかない。
そのへんはまさに空気嫁。
江戸時代の男尊女卑の考え方を象徴することばに「三従の教え」がある。
高校日本史でならうことだから覚えておこう。
三従の教え
家にあっては父、嫁としては夫、夫死しては子に従う三つの道のこと。特に江戸時代は、女性の心構えとして教えられた。
「日本史用語集 (山川出版)」
いまの日本なら女性蔑視・軽視の発想だ。
「女性蔑視騒動」が起こる背景には、こういう考え方がまだあるかもしれない。
女性の参政権獲得を提唱する国際女性デーのポスター
最後は、「女性の自由と平等のためにたたかう」と考える一部の人たちが敵視しているスマホゲームの『ウマ娘』だ。
これは擬人化(美少女化)された馬を育成するという内容で、やったことないからよくわからんけど、ダービースタリオンのようなゲームらしい。
設定は馬でも見た目は少女。
だから、それを「育成する」という内容では話がうまくいかなかったようで、「気持ち悪い」「日本人の男性は狂っているのか」といった批判がネットでいま上がっている。
少子高齢化を心配するならともかく、これを「女性軽視」というのはさすがに行きすぎ。
この逆バージョン、美少年に擬人化された馬を育てるゲームがあっても、やりたい人がやって好きなだけ課金しても、個人的にはまったく問題ない。
それを問題視しないぐらいの寛容は必要だ。
ここまで主観的な基準を日本の社会に当てはめたら、いろんな表現やビジネスチャンスが失われてしまう。自由がなくなり、世の中が息苦しくなる。
いまは何をやっても言っても批判の出る世の中で、ネットならいろいろな操作できるから「批判殺到!」と書いてあっても、実はごく少数が騒いでいるだけだったりする。
そんな例外的発想を社会のスタンダード(標準)にしてはいけない。
「今回いただきました貴重なご意見を参考にさせていただきます。」と言って実質無視する態度も必要だ。
こちらもどうですか?
アメリカ人と京都旅行 ~日本人とキリスト教徒の宗教観の違い~ 1~5
【日本の女性観】鎌倉時代は“フェミニズム”、江戸は男性優位に
> 設定は馬でも見た目は少女。
> だから、それを「育成する」という内容では話がうまくいかなかったようで、「気持ち悪い」「日本人の男性は狂っているのか」といった批判がネットでいま上がっている。
うーん、どっちかと言えば私はその意見に賛成ですね。キモチワルイ。
少女は家畜じゃないんだから、それを「育成する」ってポリシーは、たとえゲーム上のことであってもとても理解できません。おそらくこれを非難する人の頭には、「幼い少女を誘拐して大人になるまで自宅で囲い込んでいた」誘拐魔のことでしょうね。欧米では、日本よりもこの種の事件の発生頻度が高く、しばしば大きな社会非難を伴う話題となります。
リーアム・ニーソンのアクション映画「96時間」なんかを見ても、この種のことに対する欧米人の感覚が分ると思いますが。「日本人の男性は狂っているのか」といった批判が(特に欧米人を中心に)ネットで上がるのも、無理はないと思いますよ。
> この逆バージョン、美少年に擬人化された馬を育てるゲームがあっても・・・
それはおそらく国際社会では絶対に不可ですね。あまりにも、幼児への性的虐待に行動・概念が近すぎる。わからんかなぁ・・・。この種のヘンタイ野郎は、欧米人の犯罪者には結構多いのですよ。
ブログ主さんもちょっと発言に注意した方がいい。
郷に入っては郷に従えで、日本では日本の法と価値観に合っていれば問題ありません。
これはウマ娘を育てるゲームで人をペットにするわけではありませんし、性的描写もなく欧米でいうヘンタイとは違います。
実際のゲームは想像とかなり違って健全と思います。
あのゲームに難癖つけるような人は基本何でもクレームいれるし。
刀剣乱舞なんて刀の擬人化した男を審神者の女が侍らすゲームだけど何も言わないし。
これと関係して(してないか?)思い出したのが、最近の「艦これ風」自衛官募集ポスターですね。
そりゃイメージをソフト化して、女性含め若い人達をなるべく多く募集したいという意味は分かるのですが。
あまりにやり過ぎてしまうと、入隊してから「こんなはずじゃなかった、騙された!」と誤解してくる希望者が増えるのではないか? と心配になります。
もちろん、体力勝負ではない自衛官の職場もたくさんありますけど。