【動物虐待】日本大好きのイギリス人が悲しく思ったこと

 

5年ぐらい前に知人のイギリス人から、「もうすぐ友人のカップルが新婚旅行で日本へやってくるから、彼らを案内してあげてほしい」と頼まれた。
そのカップルは日本の文化や歴史なんかが大好きだけど、知人はそういうことをあまり知らないから、ボクに白羽の矢が立った。
もともと「白羽の矢が立つ」のは生贄(いけにえ)にされるという不幸なことなんだが、この場合は名誉としよう。

そんな新婚さんをまずは浜松城へご案内。
そこでこんな江戸時代(戦国時代?)のごっつい銃を見つけた新妻が「プリンセス・モノノケ!」と、周囲の人が振り返るぐらいの声で叫ぶ。
そういえば『もののけ姫』にこんな銃が出てきたっけ。

 

 

そのカップルが日本を大好きになった理由に、木や石などに”神”の存在を感じる日本人は自然を大事にしているから、ということがある。
こういう考え方はキリスト教にはない。
この2人はあらゆる自然物に敬意を示す神道の考え方が好きだった。

そのへんは古代の日本に仏教という新しい宗教が伝わったとき、それまであった神道という古い信仰を排除することなく、神仏が共存する道を選んだご先祖のチョイスがよかった。

浜松城の次に車で向かったのが北部にある有名なお寺・方広寺。
その途中、信号待ちをしていると、助手席に座っていた新妻さんが「オオ~」と悲しそうな声を出す。
何かと思ったら視線の先にはペットショップがあって、店先にはケージ(おり)に入れられた状態で犬や猫が売られている。
一段10こ以上のケージを3段ほど積み重ねていて、細い鉄柵の向こうから、犬や猫が小さな目でこちらを見ている。

「イギリスでは犬をケージに入れて売るのは違法なんです。だから、ああいう姿を見るのはすごく心が痛みます」と言われても、それはボクのせいじゃないんだが。

もちろんイギリスでも犬の売買はある。
でも”犬の権利”が重視されていて、日本でいうペットショップに犬はなく、ブリーダーか体調や環境に気を配って育てた犬を買うか、動物保護団体から購入することが一般的らしい。
途中で捨てたり虐待することがないよう買う側も、犬を責任もって飼うことができるかどうかチェックされる。

それが常識だから、狭いケージに入れられた状態で大量の犬を飼育するのは、イギリス人の感覚では違法な悪質業者のイメージしかしない。
それで、「プリンセス・モノノケは人間と動物の共存がテーマなのに、この現実はわたしにとってはとてもツライ」となる。
日本では一般的なペットショップが「動物虐待」に映る人もいる。
とはいえ、イギリスの正解や正義がそのまま日本に当てはまることはないから、隣でそうつぶやかれても返事に困る。
「そんなことより野球しようぜ!」と言える空気でもなかったし、やや居心地が悪くなった。

でも、そんな状況は6月から少し変わるようだ。
毎日新聞のコラム「余禄」(2021/3/25)

犬猫の繁殖業者やペットショップのケージ(おり)の大きさや飼育状態の新たな基準を示す環境省令が6月から段階的に施行されるという。

将軍綱吉の生類憐れみの令により…

 

これによるとケージの大きさは、猫の体のサイズに対して縦と横がそれぞれ2倍と1・5倍、高さは3倍以上になる。
また従業員1人あたりの飼育数もきめて、きめ細かい世話ができるようにする。

いま時代は「お犬さま」。
動物虐待を厳しく非難して、生き物の権利や自由を尊重する欧米社会の価値観がアジアに広がっている。
この新しい環境省令もその表れだろう。
ペットショップのおりなんてメではないほど、すさまじい非難が殺到するのが韓国や中国の「犬肉食」。
欧米メディアの報道や国際的な評判を気にする韓国や中国をみると、徳川綱吉が生類憐れみの令を断行したのは英断だった。

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あのまま日本でも犬食が続いたら、いまごろどんなことを言われていたか。

 

 

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2 件のコメント

  • まず、よく分からないので聞きたいのですが。日本人はどうして動物の檻のことをgauge(ゲージまたはゲイジ)と言うんですかね? gaugeは物差しのことですよ。檻は、cage(ケージまたはケイジ・ニコラス、じゃなくて!)だと思いますよ。それとも何か私の知らない英単語があるのかな? 檻のことをgaugeだなんて、エンジニアの私としては許しがたいです。

    それはともかく、生体展示販売は確かに問題ですね。先進国で今もやっているのは、たぶん日本だけでしょう。だけど、あの方式のおかげで、日本人は誰でもある程度の金さえあれば、分け隔てなくペットを入手して可愛がることができるのです。つまり消費者ニーズに応えているからこその販売形態ということです。
    将来的には日本も次第に変わっていくでしょうけどね。
    米国では州にもよりますが、正式にブリーダーからペットを入手しようとすればとても高価で、一部のハイソな人にしか情報ルートもなくてなかなか入手できないらしい。結局、貧困層庶民は、都会の真ん中に生体展示販売こそないけど、郊外の粗悪環境悪質ブリーダーや盗難ペット買取り業者へ求めに行くか、知り合いからもらうしかないみたいです。まあ、日本に比べて、金のかかる血統書付き大型ペット犬が多く、飼い主側は貧富の差が著しいからこその事情なのですけどね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。