きのうアメリカ人、イギリス人、カナダ人と花見をした。
それぞれが食べ物・飲み物を持ってきて、テーブルの上に並べてシェアするスタイルは日本人と同じとしても、「3割引き」「5割引き」とかいうシールをそのままにしている雑な感覚は日本人とはちょっと違うような。
ワインにチーズ、それとヴェジタリアン用の食べ物があるのは欧米人っぽい。
そんな花見の席で、日本には3年以上住んでいるカナダ人女性と話をしているときに、日本での生活で良いところと大嫌いなところをきいてみた。
まず日本については、全体的には気に入っていることのほうが多い。
来日前、日本の治安はいいと聞いていたけどカナダもけっこう安全だし、自分はその中でも犯罪件数の少ない地方都市に住んでいから、これについてはどっちもどっち。
という想像をこの国は超えていて、夜中にひとりで歩いてもいても不安がないという日本の平和は、女性にとってはこの上なく最高。
カナダなら後ろをたまに振り返って安全を確認したと思う。
日本の自然も大好き。
春になってきれいな桜が咲くのを見ると心が明るくなるし、公園や堤防沿いとか、桜が家の近くにあるから気軽にピクニックを楽しむことができる。
このカナダ人的には、人であふれる花見の名所より、桜の木が2、3本ある近所の小さな公園でのんびり過ごす方がいいらしい。
秋には紅葉というご褒美がある。
でも、桜が散るのを見るのはとても悲しいと言う。
それを聞いて思わず感心。
このカナダ人にも、こんなに穏やかな春の日になんであわただしく桜の花は散ってしまうのか、となげく平安貴族のような感性があるのか。
まるで紀友則(きのとものり)のこの句のような。
「ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ」
それとも国籍を問わず、桜は人にそう思わせるのか。
と思ったらまったく違いやがった。
英語圏の人が大文字の「G」を見ればきっと「ゴッド」を連想し、日本語圏の人なら「ゴキブリ」が頭に思い浮かぶだろう。
「春に虫2つ」で「蠢(うごめ)く」というように、暖かくなるとやつらが活動を開始する。
このカナダ人が日本で生活していて、嫌で嫌でたまらなく、いまだに1ミリも慣れないのが虫。
ムカデ・ゴキブリ・デカいクモの「黒い三連星」が彼女の天敵で、これらの虫は日本にきて初めて見た。
カナダでもゴキブリがいないことはないけれど、とても汚い場所だけにいるし大きさも小さい。自分に縁はなく、それまで見たことなかった。
日本では清潔な環境でも、Gはよく侵入して我が物顔で走り回る。
生まれて初めて部屋の中で、ゴキブリやムカデが動いているのを見たときには脳も体も完全フリーズしてしまい、アパートごと燃やしたくなった。
そういえばイギリス人からも、日本に来て初めてゴキブリを見て気を失いそうになったと聞いたことがある。
ちなみに北海道出身の友人は、京都に来て初めてGを見たと話していた。
そんな話を聞いて去年、彼女がこんな写真とメッセージをSNSにアップしていたのを思い出した。
I am SO DONE with this year already. Just burn it to the ground like I’m about to do to my apartment.
桜が散るのを見ると、このカナダ人の頭の中にはヤツラの姿が浮かんで憂うつになるらしい。
「黒い三連星」が現れないように、こちらが早めに動いて対策を完了しておく必要がある。
日本人は基本親切で好きだけど、ゴキブリに慣れているようでキライになることもある。
「このまえ家にゴキブリがでた!」と日本人の友人(女性)に話をしても、特に同情する様子はなく、「気をつけてね。あれの繁殖力は半端ないから。1匹見かけたら100匹はいるからね」と言われて泣きそうになった。
わたしはゴキブリが死ぬほど嫌いなの、という話を英会話スクールに通う中学生にしたら、次のレッスンのときには、おもちゃのゴキブリを教室の床に置きやがった。
知らずにそれを見て叫び声を上げると、そんな自分を見て生徒は爆笑。
いつもはかわいい生徒が悪魔に見えた。
そんな「魔のシーズン」はこれから始まる。
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まー確かに、北米大陸の北半分とか、ヨーロッパのアルプス以北とか、昆虫の類がほとんど見かけないですからねぇ。欧米人は、虫をとっても嫌がるのですよ。ほとんどビョーキです。
だけど私に言わせりゃ、アライグマ(狂犬病の感染源)とか、リスとかドブネズミ(ラッサ熱の感染源)とか、米国南部諸州でよく見かけるガラガラヘビとかタランチュラとかの方が、日本のゴキブリなんかよりずっと恐ろしかったのですが。
ゴキブリはじめ昆虫類(あるいはムカデとかサソリとか)が欧米人にいかに嫌われているかは、たとえば多数のBEM(Bug Eyed Monster)が登場するハリウッド映画などを見ればよく分かりますよ。昔の映画だったらMiBとか Starship troopers とか。最近では、パシフィック・リム(1と2の両方とも)で、怪獣の皮膚にくっついていた多数の昆虫が「オオグソクムシ」に似ていて、ゴキブリを連想せずにはいられない形でしたね。色をゴキブリとは変えることによって、少し嫌悪感を抑えてはいましたが。あの外観、欧米人にはどれほど不気味に映るか、まあ日本人の比じゃないでしょうね。