【唐揚げの歴史】中国の精進料理から戦後、日本で独自の発展

 

きょう4月15日は「からあげくん」の誕生日。
1986年のこの日に初めてローソンの店頭に並んだから、『デビューの日』といったほうが正確か。
ということは、実は35才のおっさんだったという衝撃。

それまでの惣菜のイメージをなくして“おやつ感覚”で唐揚げを食べられるように、一口サイズにしたところ若者を中心にばかうけ。
そして現在の不動の地位を占めるにいたる。

ボクのまわりの外国人の中でも、からあげくんのファンはけっこう多い。
「うましっ」という味以外に、豚肉を食べられないイスラーム教徒や牛肉を食べられないインド人でも、鶏肉ならOKという宗教的な理由もある。

ちなみに「からあげくん」の2020年の売上ランキングは1位が岡山県、2位が山口県、3位・和歌山県、4位・奈良県、そして5位が静岡県という順。
ワイ、静岡県民だけど全国5位の理由がわからない。

これにネットの反応は?

・よく考えたら結構食ってるわ
ちな岡山県民
・差別だ!唐揚げさんにしないと駄目だ!
・岡山ではご馳走
・県の形もつくねみたいだしね
・きび団子と勘違いしたのかも

 

画像はローソン公式サイトから
「からあげクン王国に住む妖精」という設定だから35才は無意味だった。

 

浜松市内にも専門店が登場したり、コロナ禍でガストが扱うようになったとか、最近の日本で存在感を増しているのが唐あげ。
学校の給食メニューとして絶大な人気を誇るこの食べ物は大人の好物でもあり、もう日本の国民食と言って間違いない。
その歴史が始まるのは江戸時代から。

『和漢精進料理抄』(1697年)や『普茶料理抄』(1772年)といった当時の料理本に「唐揚」のことばが登場している。
ただその唐揚はいまと違って、中国から伝わった普茶(ふちゃ)料理の一品だったようだ。

「普(あまね)く衆人に茶を施す」の意味という普茶料理は、17世紀に日本へやって来た中国の仏教僧・隠元隆琦(いんげん りゅうき)が伝えたもの。
隠元さんは他にも、名前の由来となったいわれるインゲンマメやスイカ、レンコンなどを日本へ持ってきた。

豆のほかにも、日本へいろいろ伝えた中国の仏教僧・隠元さん

 

普茶料理は精進料理だから肉は使わない。
だからここでいう「唐揚」も、豆腐を切って油で揚げた食べ物だったらしい。
いまの日本にある唐揚げに近い食べ物は、魚や野菜を素揚げにしたり、小麦粉を付けて揚げたりする「衣かけ」だった。
現在の「唐揚げ」は調理法ではなくて、中国語の名前を継承しているのだろう。

それにしても唐揚が肉なし料理だったというのは、いまの日本なら詐欺行為で訴えられる案件だ。でもヴェジタリアンは歓喜。

 

普茶料理

 

現在の日本人がイメージする唐揚げがうまれたのは昭和初期。
深刻な営業不振に悩んでいた「食堂・三笠」(いまの東京・銀座にある三笠会館)の料理長が店を閉店から救うため、全身全霊で考え出したメニューが「若鶏の唐揚げ」だった。
外食のメニューで「から揚げ」が載ったのはこのときが日本で初めて。

そしてこのあと日本は戦争に突入し、敗北して焼け野原となる。

終戦後、食糧難を見すえて政府は養鶏場をたくさん作ることにした。
この政策によって国民には鶏肉の入手が簡単になり、それを使った料理が各地で発展していき、同時に唐揚げも一般的な食べ物になっていく。
だから唐揚げの歴史はわりと浅い。
ここ40年ほどで全国区の人気料理になっていったのだ。

中国の精進料理(それとおそらくヨーロッパの天ぷら料理)の影響を受けた唐揚げは「からあげくん」をはじめとし、日本で独特の進化をとげていまの国民食としての地位を築いた。
いまでは専門店が街のあちこちにできたりファミリーレストランが参入したりと、日本は「唐揚げ戦国時代」に突入した感がある。

 

参照:日本唐揚協会のHP「唐揚げの歴史

 

 

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2 件のコメント

  • > 「普(あまね)く衆人に茶を施す」の意味という普茶料理

    普茶料理という単語の意味を明らかにしておくことも意義深いとは思いますが、それだけでなく、唐揚げの「唐」が「中国」という意味であることを指摘してあげないと、今では分からない人も多いのでは?
    最近の若い人達なんか、「カラッと揚げたもの」だから「から揚げ」だと思っているかも。
    (実を言うと、私自身もずっと昔はそう思っていました。)

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。