このまえリトアニア人(東ヨーロッパの国)・トルコ人・ベトナム人・バングラデシュ人と一緒にハイキングへ行ってきた。
でそのときに季節の話題になって、バングラデシュ人が母国には夏、雨季、秋、霜季、冬、春の六つの季節があると言う。
季節というのは春夏秋冬の四つにきまってる、というアタリマエが簡単にぶち壊された瞬間。
いまの日本では四季が常識なんだが、昔はそうでもなかった。
江戸時代には1年を24に分けた二十四節気、さらにそれを小分けにした七十二候という季節区分もあったのだ。
そんな話をすると、リトアニア人が「ちょっと待ってくれ。いやだいぶ待ってくれ。それは季節なのか?」と理解不能という顔をする。
まあそうだろう。
約5日ごとに季節が変わるなんて感覚は、現代の日本人だってついていけない。
2021年は5月21日から二十四節気の「小満(しょうまん)」、七十二候の「蚕起食桑」(かいこおきてくわをはむ)の季節がはじまる。
梅雨ごろのこの時期は暖かくなって雨も降るようになるから、いろいろな植物や生き物がだんだんと成長し動き出す。
「小満」とはそうした“生気”が天地に満ち始めることを意味するらしい。
「蚕起食桑」は、虫の蚕(かいこ)がよく食べよく成長するといった意味だ。
この話にリトアニア人とトルコ人が深く納得。
基本的に寒くて乾燥しているリトアニアでは日本に比べると、圧倒的に虫が少ない。
日本は安全でどこでもコンビニがあって超便利だけど、梅雨ごろになってゴキブリやムカデといった害虫が出はじめると心底ウンザリさせられる。
彼はリトアニアでゴキブリなんて見たことがなく、それはウワサで聞いていた”想像上の昆虫”だった。(もちろんネットで見たことはある)
日本に来てから、ある日何の前触れもなく、アパートの自室でカサカサ動く黒い物体を見て全身の機能が停止した。
ヨーロッパではそれを「G-SHOCK」という。しらんけど。
彼は人生初のムカデもこの極東の島国で初めて見て、やっぱり全身が凍り付いたらしい。
トルコは場所によって気温や湿度が違うから、害虫の発生状況もそれぞれの地域によるらしい。
このとき一緒にいたトルコ人が住んでいたところは日本の気候と似ているから、冬は問題ないけど暖かくなるとGが姿を現す。
それが原因で大統領が何百億円をかけて家を建て直したという話を聞いたから、いま調べてみたらこんなAFPの記事を発見。(2015年6月8日)
トルコ大統領、1150室の公邸建設の理由は「旧官邸のゴキブリ」
個人の家ではなくて、約772億円の費用を投じてエルドアン大統領が1150室ある公邸を新しく建てた。
これはもちろん税金で。
「以前の公邸にはゴキブリが住み着いていたので、新しい大統領公邸が必要だった」というエルドアン大統領の主張は、日本の首相がしたら、空前絶後のバッシングを浴びて内閣総辞職に発展するレベルだ。
その点、バングラデシュ人とベトナム人は強かった。
母国でもゴキブリやムカデなんかは当たり前のようにいるし、しかも日本にいるものより体がデカいらしい。
ベトナムにはとても凶暴で強い毒性を持ち、しかも攻撃性が高く、さらに脱皮をくり返して最大30cmほどにまで成長する「ベトナムオオムカデ」とかいうバケモノが生息している。
30センチのコレが部屋の中で蠢(うごめ)ているのを見たら、日本人なら「ビックリした!」を越えて死を覚悟するかも。
日本の殺虫剤でこれを倒せる気がしない。
リトアニア人が日本で人生初のムカデを見たときも、それぐらいのショックだったのでは。
ベトナム人やバングラデシュ人は日本のGやMを見ても、体長は小さいし出てくる数も少ないから、「慣れてるから大丈夫です」と涼しい顔で言う。
彼らにとってはドラゴンやヒュドラを倒したあとに、ゴブリンを見つけるようなもので雑魚も同然のはず。
とはいっても害虫は嫌いだから、ジメジメムシムシして、虫どもが動き出す梅雨はあまりうれしくないと言う。
リトアニア人もトルコ人もそれはまったく同じ。
日本には春夏秋冬のほかに、外国人が納得する五つ目の季節があるらしい。
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ゴキブリは英語では「コックローチ(またはローチ)」なんですが、それよりもっとピッタシな英語があります。それは「ゴブリン(魔物、妖怪)」です。ゴキブリとゴブリンって、何だか似ているでしょ?
ムカデもそうですが、こういう見た目が不気味な虫たちは、きっと日本各地に多数存在する「妖怪」の元ネタにもなっているのでしょうね。
① 数年前、マレーシアの大学の舎監室のような部屋で暮らしていたら、全く面識のない日本の国立大学の学長から私のマレーシアの携帯電話に突然、国際電話があった。
② 彼は、『うちの学生が3ヶ月、マレーシアの大学に留学するプログラムを行っているが、参加している学生の親達から、息子や娘が留学しているマレーシアの大学の学生寮の窓に大蛇(ヘビ)が毎晩、表れ、窓ガラスをヘビの頭でコンコンとたたくので、怖くて寝れないという苦情を受け苦慮しているが、危険かどうか知りたい。』と尋ねてきた。
2021年6月8日
桂 秀光(かつら ひでみつ)
大蛇が窓ガラスをたたくというのは日本だと、アニメの世界です。
さすがマレーシア。
いまとなっては良い思い出や話のネタになったでしょうかね。