母国で軍事クーデター!で日本にいるミャンマー人の思いは?

 

はじめに日本史の話をしたいんだが、いま日本にいるミャンマー人の立場とつながると思うからまあ読んでくれ。

大河ドラマ『青天を衝け』に出てくる渋沢栄一には日本の歴史上、ほかにないようなスーパーレアな体験がある。
慶応2(1867)年に徳川最後の将軍・慶喜の名代として、弟の徳川 昭武(とくがわ あきたけ)がパリで行われた万博万国博覧会に参加するよう命じられる、渋沢も随員として一緒にヨーロッパへ向かうことになった。
がその年に慶喜が政権を朝廷に返上して(大政奉還)、徳川幕府が事実上、消滅してしまう。

選挙で政権が交代するというレベルじゃなくて、幕府崩壊という天地がひっくり返るような事実を海外で知った渋沢や昭武はそのとき何を思ったか。
日本や自分たちの未来がこれからどうなるか、不安は当然あったはず。
慶喜は昭武をヨーロッパへ派遣し広い視野を持たせて、ゆくゆくは第16代徳川将軍にしようと考えていたらしい。これもすべて白紙になった。

でも結果的には渋沢栄一は帰国後、明治政府で働いて日本の近代化に貢献することとなる。

 

大政奉還

 

江戸日本の終わりをヨーロッパで知った徳川昭武

 

ことし2月、ミャンマーで軍事クーデターがぼっ発。
2020年11月に行われた総選挙で国軍系の野党が惨敗すると、選挙で不正行為があったと主張するミャンマー軍が選挙結果を力で否定して政権を握り、いまもその状態が続いている。
日本にいる知人のミャンマー人に話を聞くと、これはまったく予想していなかったことで、「どうしてこんなことになったのか分からない!」と天変地異の驚天動地。

これからミャンマーという国や、自分と家族がどうなってしまうか不安で仕方ないという彼の話を聞いて、異国で幕府崩壊を知った渋沢栄一が頭によぎったのですよ。
その後ミャンマーではクーデターを認めない民衆が街で抗議デモを行ったものの、軍に鎮圧されて最近では大きな反対運動は起きていない。

長く軍事政権の時代が続いたミャンマーでは1988年に、民主化を求める市民や仏教僧らが大規模な抗議デモを行い、その結果、数千人が殺されたといわれる。
一時はそんな「8888民主化運動」の再来かとも思われたが、今回は軍がその動きを抑え込んでいるようだ。

日本の大学を卒業して日本の企業で働いている先ほどのミャンマー人は、この国が好きだしもう長く住んでいるから、日本へ帰化するかどうか迷っていた。
客観的に見れば、日本国籍を持っていることのメリットのほうが大きい。
でもミャンマー人としての誇りや母国への愛着は強いから、いざ国籍を変更するとなると、抵抗感がわき上がってきてどうも踏ん切りがつかない。

そんな気持ちが、軍に乗っ取られたミャンマーを見て霧消した。
これから先、民主化が達成されても、また軍が力で政権を奪取かもしれないから、国の将来が見通せないし何を信用していいかもわからない。
家族も日本国籍を取るようすすめてくれたから、結果としてはクーデターが最後の一押しとなり、迷いがなくなって彼はミャンマー人から日本人になることを決意した。
これには抗議の意味もあるというから、いまの母国(軍事政権)のために働く気はなさそう。
こんな思いのミャンマー人はいま世界中にいるのでは。

 

ミャンマーのヤンゴンにあるシュエダゴンパゴダ

 

 

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1 個のコメント

  • ミャンマーと同様に、しばしば軍によるクーデターが発生するエジプトもそうなんですが、基本的に単一民族で文化・宗教・言語が同じ国民を、どうやって「仲間/仲間でない」と見分けるのですかね? 軍服を着ているから? 武器を持っているから?
    日本だと、自衛隊じゃなくて、警察全員がクーデターを起こしたような感じなのかな? わからんなぁ。

    その点、やはり中国人は一般民衆でもなかなか一筋縄では行かない、したたかさを持ってますよ。
    NHKドラマ「大地の子」で、川上隆也が演じた主人公(中国の日系残留孤児)が、文化大革命の時に何とかして「日本人であるがゆえの差別と迫害」から逃れようと、紅衛兵の扇動にそのまま賛同している(フリをしていた)姿がとても印象に残りました。
    天安門事件や、現在の香港情勢なんか、きっと他国の者には窺い知ることのできない複雑な「裏の事情」があるのでしょうね。

    戦後の日本だと、三島由紀夫が自衛隊に向かって革命(クーデター)を呼びかけたようですが、「楯の会」という名の三島ファンクラブ(?)以外には誰も反応してくれませんでした。
    そりゃそうだよな。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。