世界は裸をどう思う? 日本が“ヌーディスト大国”である理由

 

人間が本来の姿に戻って、自由に行動する楽園。
人はそれを「ヌーディスト・ビーチ」とよぶ。
日本では何といっても、美木杉 愛九郎(みきすぎ あいくろう)率いる反制服ゲリラ、ヌーディスト・ビーチが有名だ。(by 『キルラキル』)

アニメではなくて、ボクが初めてリアルを見たのはタイを旅行中、南部のクラビーというリゾート地に行ったときのこと。
そこが「ヌードも可」のヌーディスト・ビーチということを知らずに海岸を歩いていたら、トップレスの白人女性2人が寝転がっていて、下半身以外のすべてを太陽にさらけ出していた。
それが不意に視界に入ってきたから最初は「see」、でも「マジか!」と驚いて見てしまったからこれは「look」になる。
ヌーディスト・ビーチではseeはいいけど、lookはマナー違反になるらしい。
焼き鳥を売るタイ人のおっさんがすぐ横を通っても、トップレスの2人はまったくおかまいなしだ。

宿に戻ってタイ人スタッフに聞いて、初めてそこがヌードもOKのビーチと知った。
それは欧米人観光客のためで、これはタイ人の価値観とは合わないから、ビーチで裸になるタイ人はいないと言う。

それは日本人も同じだ。
欧米でヌード(トップレス)の風習があって、日本もその影響を受け始めたと政府が察したようで、1964年に警察がトップレス姿の人を軽犯罪法で取り締まるよう方針を出した。
1970年代に和歌山県の白浜海岸でヌーディストビーチを作る計画が持ち上がったが、反対続出で結局はなくなった。
食べ物や服装なんかで社会が欧米化しても、やっぱりこれは日本人の価値観や文化とは合わないのだ。

もちろん欧米社会でも、公共の場で女性が上半身裸になることに反感をおぼえる人はいる。
くわしいことはトップレスをクリック。

ちなみに1970年代まで裸で暮らしていて、「人類最後の裸族」と呼ばれるバタマリバ人が西アフリカのトーゴ(クタマク)にいた。
いまの世界で裸族なんていないだろう。

 

タイのビーチ

 

それでも欧米は世界的にも理解や受容が進んでいて、公の場で裸になりたい人はたくさんいる。
そんなへんt、いや愛好家のために、最近イギリスのスイムウエアブランド「Pour Moi」が各国のヌーディービーチ事情をまとめた世界地図を発表した。
人前で裸になることについて、それぞれの国では法律的・文化的にどれぐらい認められているかが3色で表されている。

A GLOBAL GUIDE TO NUDE & TOPLESS SUNBATHING

著作権の関係でここにその地図を表示できないので、くわしいことは上をクリックしてくれ。

この「ヌーディスト・ビーチ世界地図」を見ると、アイルランドが例外的に厳しい(赤)ものの、欧米では裸に最も寛容な「緑」の国が多い。
中でもドイツでは「topless sunbathing acceptable and common」と、トップレスで日光浴ができるビーチや公園が多くあるらしい。
カナダがアメリカにより、裸に対してオープンだったのは意外。

イスラム教の影響の強いサウジアラビアやUAEが最も厳しい「赤」なのは当然として、エジプトやトルコはややるい「オレンジ色」になっている。
このへんは世俗化が進んでいるということか。

 

さらに東に行くと中国・インドが赤で、社会的にはヌードに対してとても厳しいようだ。でもその理由は前者は政治、後者は宗教でそれぞれ違うはず。
共産党・ヒンドゥー教・イスラム教の考え方からしたら、公衆の場でのヌードはもはや犯罪行為というのはわかる。
韓国はそれよりはユルイ程度かと思いきや、まさかの緑で欧米なみの評価だ。
その理由はこれ。

South Korea – Green: There are designated nude spots, naked forest bathing and nude beaches on Jeju Island.

チェジュ島には、裸で森林浴ができるスポットやビーチがあるから、こんな高評価をゲットしたようだ。
これは韓国人のためか、それとも外国人用かはわからない。
そもそもネットで調べてみても、そんな場所はヒットしないのだが?

 

そして気になる日本は「Green」、まさかの世界最高ランクをゲット。
日本人の見方は置いといて、日本はエジプトやトルコ、オーストラリアをも上回る「ヌーディストビーチ大国」という評価が海外ではある。
「いやいや、そんなビーチは知らないし、軽犯罪法という巨大な壁があるのになぜ?」とイマイチ腑に落ちない人はその理由を見てみよう。

「Japan – Green: Although there aren’t many nudist beaches, onsens (hot water springs) are usually attended in the nude.」

温泉にはふつう裸で入るから、それをカウントすれば日本は「緑」になる。
もちろんこれは海岸ではないけれど、ヌーディスト・ビーチの概念を広くすれば、温泉も同じ「裸の楽園」に含まれるというオチ。
より正確に言うとヌーディスト大国だ。
日本以上の温泉国はないだろうし、考え方を柔軟にしたら、日本にも欧米レベルの解放感があることは否定できない。

 

 

こちらの記事もいかがですか?

ヨーロッパ 「目次」

人類最古の公衆トイレ。古代ローマの温泉とプライバシーという考え

メソポタミア文明の特徴とは?「60進法や7日=1週間」は今でも使うね。

英会話を学ぼう㊻英語のテーマ:「トイレに行ってきます」

満州の旅⑧中国の「ニーハオ(你好)トイレ」入門編 ~知る~

旅㉝飛行機に乗れば分かる!「文化」と「文明」の違いとは?

 

2 件のコメント

  • > ヌーディスト・ビーチの概念を広くすれば、温泉も同じ「裸の楽園」に含まれるというオチ。
    > より正確に言うとヌーディスト大国だ。
    > 日本以上の温泉国はないだろうし、考え方を柔軟にしたら、日本にも欧米レベルの解放感があることは否定できない。

    いやいや、それは話が全然違いますよ。
    なぜならば、海外のヌーディスト・ビーチには男女の「エリア分け」はありません。でも日本の温泉は「男湯・女湯」に分かれているのが普通です。(ま、そりゃ僅かに混浴もあるでしょうけど。)
    それに、温泉は、男湯でも女湯でも「中に入っている人だけの目に触れる」構造となっていて、一般に誰からでも見られるような形式にはなっていません。あくまで、一種の「プライベート空間」なんです。

    このデータをまとめた人は、そのことに気づいてないのでしょう。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。