親日国のワケ:中国人「なぜタイは日本を選んだのか?」

 

中国にはかれこれ20年以上前から、ちょくちょく行っている。
中国旅行が決定的に変わったのは高速鉄道(日本でいう新幹線)が登場してからで、あれによって移動時間が大幅に短縮したから、訪問できる都市や日帰り旅行できる場所がかなり増えた。
新幹線に比べても、乗り心地や時間通りの運行でそれほど大きな差は感じなかった。が、料金は高速鉄道のほうがめちゃ安い。

そんな高速鉄道は中国人の自慢のタネ。
それで近年では、海外での売り込みでは日本の新幹線と張り合うライバルになっている。
タイが以前、首都バンコク~チェンマイ間の約700キロに高速鉄道を走らせたいと発表すると、「ウチのをぜひ!」と日本・ドイツ・中国が名乗りをあげた。
費用など条件的には中国優位だったけど、結局タイが選んだのはジャパン。
それがよほど悔しく不思議だったようで、中国メディアの国の網易が「タイの人びとは、どうして中国の高速鉄道より日本の新幹線の方がいいと思っているのか」という記事でその理由を分析したという。

サーチナの記事(2021-07-08)

タイの人はなぜ、中国の高速鉄道より日本の新幹線を信頼するのか=中国メディア

なぜかって?
そのワケを超シンプルに言うと、タイの人たちは中国より日本が好きだから。

この中国メディアによると日本は16世紀から、タイと経済や文化で交流を持っていて関係を深めてきた。
一方、中国はその時代、明がタイに対して皇帝の恩恵と王朝の強大さで、”上から目線”で接触を図っていたという。
たしかに昔の中国人は、

「我が国の文明は世界一ィィィィーーーーッ! できんことはないイイィーーーーーーッ!!」

みたいな自己中心的な考え方をしていて(中華思想)、中国と対等な国なんて絶対に認めなかった。
タイ人の日本と中国に対する印象では、この影響があると網易は指摘する。

それに日タイでは天皇と国王の付き合いがあって、良好な王室外交がタイ国民の日本観にポジティブなイメージを与えている。
いまのタイでは日本料理やアニメなど日本文化が広く愛されているし、国民の日本に対する好感度は97%と「は?」と思うほど高い。
こうしたことで「世界的に見ても最も親日的な国である」と中国メディアは分析し、これが日本を選んだ理由につながったという。

ただ中国人的には、高速鉄道の技術力では日本に負けていない、と考えているようだ。
それと記事にはタイのおける中国の好感度が書いてないんだが、それはつまり読者への配慮なのか。

でこれに日本のネットの声は?

・信頼かな
・事故車両を埋めたのはマズかったね
・まっすぐで高低差のない線路なら中国製でもいいらしい
・ただより高いものはないってことを知っている
・なんたって宇宙始まって以来車両事故での死者ゼロだからな新幹線は
・鉄道車両の世界シェアだと中国が圧倒的な世界一で
日本は5位

 

バンコクの街並み

 

バンコク~チェンマイ間の高速鉄道については、バンコクに住んでいたタイ人から話を聞いたことがある。
中国か日本かどちらに頼むのかという前に、「いやいや、そもそも高速鉄道なんていらないでしょ」というのが彼の意見。
チェンマイへの航空券なら片道数千円であるし、彼はキャンペーン中に1000円以下でチケットを購入したこともある。
*これはコロナ前の話。

それにチェンマイまでは安い長距離バスがいくつもあるし、きっと運賃の高い高速鉄道をあえて選ぶ人は少ないだろうと彼はみる。

タイが親日的である理由を聞くと、日本文化のほかに、彼は戦後の日本がおこなってきた支援を挙げる。
日本の技術支援を受けて完成した道路や学校などはよくあるし、日本の援助で経済的ピンチから脱したこともあった。
それに車や家電など国内にある日本製品は壊れにくいし高品質だから、それが日本への信頼につながっている。
中国製品についてはその逆だ。
最近は高性能のモノも増えてきたけれど、「安物買いの銭失い」のイメージはまだ強くある。

そんな話をした彼は中国系タイ人なのに、中国より日本のほうが好き。
タイが日本をチョイスしたのは新幹線と高速鉄道の技術力の違いより、これまで積み上げてきた信頼の大きさの違いだったらしい。

 

おまけ

タイのショッピングモールで開かれていた日本祭り

 

 

 

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2 件のコメント

  • 今朝2021/7/21の新聞で、「中国が、時速600km走行できるリニアモーター高速鉄道の独自技術開発に成功!」と発表されていましたね。果たして、いつ走行できるのかはまだ分かりませんが。
    日本の中央リニア新幹線は、これまで山梨実験線での試験走行の歴史も古く、東京~名古屋間で既にトンネル掘削が始まっています。おそらく、「時速600km走行の高速鉄道」は世界で最初に日本で実用化されることになるでしょう。
    ただし「もはや鉄道ではない」という気がしないでもないですが・・・。

  • 日本の中央リニアの営業時最高速度は、毎時500kmの予定でした。これまでに達成した最高速度は毎時603kmです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。