【日本のお約束】立秋までが暑中、そのあと始まるのが残暑

 

きのう8月14日、SNSを見てたらイタリア在住の日本人がこんな投稿をしてた。

「Buon Ferragosto!
暑中見舞い申し上げます。
動画でセミの鳴き声でも送ろうと思いましたが、いまは40度を超す猛暑でセミが鳴かなくなってしまいました。
皆様も暑さにめげず、お元気にお過ごしください。」

ああ、Buon Ferragostoか。で何だそれは?
と思って調べてみたら、「8月おめでとうございます(ハッピーオーガスト)」という意味らしいから、イタリアでの夏のあいさつと思われ。
セミが死んだのか、それとも鳴く元気がなくなったのかしらんけど、40度超えの猛暑とはオソロシイ。
日本(気象庁)では25℃以上の日を夏日(なつび)、30℃以上の日を真夏日、そして2007年からは35℃以上の日を猛暑日と呼ぶことにしているから、イタリアのこの気温を猛暑と言うのは正しい。
でも残念ながら、このメッセージには”間違い”がある。

 

一年を春夏秋冬の四季に分けるというのは現代日本の常識で、昔は24の「二十四節気」に分けて考えることがあった。
いまでもこの季節区分はなくなったワケではなくて「大韓」、じゃなかった「大寒」や「春分」、「秋分」などの言葉はテレビやラジオなんかでよく聞く。

さて、二十四節気で昨日と今日を含めたいまの季節を見ると「立秋」になっている。
もう一度言いますね。
二十四節気によると2021年の8月7日~23日までの期間は、初めて秋の気配が立つという「立秋」で、実はもう秋の季節が始まっているのだ。
きょう「サンデーモーニング」で関口宏さんが番組はじめのあいさつで、「夏真っ盛りのはずなんですが、なぜか雨が多い」とコメントしていたように、「いやいや、この時期はまだ超絶暑いじゃん。絶賛夏休み中じゃん」と思う人もいるだろうけど、江戸時代の日本人の感覚だともう夏を過ぎて秋に突入しつつある。
もちろん地球温暖化の影響があるから、現代と数百年前の日本の夏は別もののはず。

 

日本では、暑さがピークを迎える立秋までの約18日間を「暑中」と言う。
*この暑中が夏の「土用」にあたる。

2021年をみると7月22日~8月6日までの「大暑」なら「暑中」になって、それを過ぎた7日の「立秋」に入ると「残暑」になる。
だから立秋までに相手先に届かないときは、「暑中見舞い」ではなくて「残暑見舞い」と書くのが日本のお約束。

だから8月14日なら、「Buon Ferragosto!」のイタリアンあいさつは良いとしても、「暑中見舞い申し上げます」はちょっと惜しかった。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。