秋の味覚・サンマの登場ですよ。
時事通信の記事(2021年08月20日)
初サンマ、キロ3万円の超高値 不漁で1カ月遅れ入荷―豊洲市場
今年はかなりの不漁で量が少なかったため、東京の豊洲市場に出荷されたサンマは卸値だと1キロ当たり3万円、1匹約3500円の超高級魚となった。
だいたいこれは例年の2倍の値段だとか。
それでも去年は1キロ当たり10万円という前代未聞の値を付けたから(もちろん過去最高値)、それに比べたらまだマシか。
ネットでは、このニュースを知って遠い目をする人が多かった。
・100円で秋刀魚が買えてた頃が懐かしい
・ウナギより高値って
・冷凍サンマなら今でも100円だろう
豊漁不漁はしょうがない
・昔は1匹50円とかだったのに。さんまも高級魚になるんだなぁ。
・中国がサンマ大好きになってる
サンマの由来については、狭い・細いを意味する「狭(サ)」をもとに「サマナ(細長い魚)」ができて、「サマナ、サマナ…」と言っているうちに、「マ」が「ン」に変化して現在のサンマになったという説がある。
「秋によくとれる刀の形のような魚」という「秋刀魚」の言葉が登場したのは大正時代だから、言葉としてはけっこう新しい。
明治時代の小説『吾輩は猫である』で夏目漱石はサンマを「三馬」と当て字で表現している。
ちなみにサンマを漢字一字で書くと「鰶」だ。
サンマ漁は江戸時代に始まってサンマが入荷すると、河岸がお祭り騒ぎのようになったことからこの漢字ができたとか。
(初サンマが出荷された東京の豊洲市場もこんな感じか?)
でも全国的にはあまり知られてなく、江戸時代の料理本にサンマはほとんど書いてないらしい。
刀のように見えることから、武士がサンマを食べるのを嫌がったという話もある。
江戸にいた和歌山藩士の下級武士・酒井伴四郎の日記には、イワシやマグロと同じようにサンマも年に2回食べたという記述があるから、武士でも食べる人は食べていたのだろう。
江戸時代の小話にサンマは登場しないし、“俳句神”の松尾芭蕉の句でサンマが出てくるものはない。サンマが俳句の季語になったのも現代になってからだ。
だからサンマが「国民的魚」の地位をゲットしたのは、第二次世界大戦のあとになる。
サンマの学名は「Cololabis saira」で、これは関西のあたりでのサンマの呼び方「サイラ」にちなんでつけられた。
ロシア語でもサンマは「сайра(saira)」という。
もともと欧米にサンマはなんて魚はなかったのだ。
1854年に日米和親条約を結ぶためにやって来たペリーが学術調査団を連れていて、その一員によって、この新種の魚が欧米社会に紹介されてこの学名が作られた。
なので、全国さんま棒受網漁業協同組合のホームページには「もしかすると調査隊にこの名前を教えた日本人は、関西の出身者だったのかもしれません。」とある。
そんなサンマが近年、1キロ当たり3万円や10万円とかいうクレイジーな値になった理由は、単純にとれなくなったから。
30年ぐらい前まではサンマを食べるのは日本がダントツで、世界の漁獲量のほとんどを占めていた。
だがしかし、和食の世界的な人気が要因となってサンマの需要も高まり、2019年の漁獲量は台湾(8.3万トン)、中国(5.1万トン)、日本(4.5万トン)という感じ。
日本が和食の魅力を世界にアピールしたら、とんでもないブーメランになってしまったとうオチ。
日本政府は国際会議で漁獲量の規制を強化しようとしているけど、それが今後どうなるかは未知数。
サンマが安値で庶民の味方だったのは、「昭和あるある」のひとつになる日も近いかも。
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